おかしな転生・第4話
お金が無い。盗賊団迎撃で枝村の焦土作戦で復興資金が必要なのに。カセロールとアニエスの実家とは縁を切っていてお金が借りられない。と言うのも二人は駆け落ち同然で結婚したからだ。どんな問題があったんだ。
そんな話を子供同士でしてもまあ子供の考えだと現実的な解決策は出てこない。ただ、こう言うのはヒントにはなる。魔法を使ったら何か出来るんじゃないか。じゃあ使ってみましょう。と言う事でマルクとルミが地面に描いた絵を二人の手に転写した。それ転写しちゃって良いのかと思ったら人の肌だと二三日で消えるそうだ。じゃあ人の顔とか転写出来ないのかとルミが言ったのがヒントになった。
はて?何に使うの?
カセロール達が居る所に戻って来て良い金策が出来たと言う。話のふりは姉ジョゼの見合いのところから。あの時はカセロールの瞬間移動でジョゼをあちこちに連れて行って顔を見せて来た。あの時?回想で済ませちゃうの?
でも瞬間移動なんて誰もが使える訳ではない。そうでない場合は王都の夜会に参加して顔を売る。でも移動は大変。と言う事でペイスが見せたのは板に母アニエスの姿を転写する事だった。つまりこれはお見合い写真。これを貴族に売り込んだらどうだろうか。カセロールはこれだけ精密な絵なら金貨5枚や10枚になると言うが、そんなに需要があるのか?貴族の年頃の子供なんて数に限りがあるだろうに。
取り敢えずレーテシュ伯爵に会いに行った。レーテシュ伯爵と言うと盗賊団を討ち漏らしてモルテールン領の追いやってしまった、あの日笠さんの女伯爵。レーテシュ伯爵はその文句を言いに来たのか、追い払おうと思っていた。
とは言え、レーテシュ伯爵はお茶とお菓子でもてなす。お茶は自慢の品らしい。でも菓子はペイスの様な菓子職人から見たら満足出来ない。
話をペイスの方に流したと思ったレーテシュ伯爵だったが、そのペイスに盗賊団の話を切り出されてしまう。ペイスは捉えた盗賊団にレーテシュバルに居た者に見えると言う。つまりどうしてくれるんだと言う話だとすぐにレーテシュ伯爵は理解する。
レーテシュ伯爵はそれは初耳だとすっとぼけるが、ペイスは心当たりが無いのならこのまま王家に引き渡すと返した。レーテシュ伯爵、ではそれは当家が討伐したのとは別ではと言うが、ペイスは盗賊団は討伐軍を退けたと言っていたと言う。そしてその証拠が、ああ、カセロールが何か大きい物を持参してるなと思ったら、賊が持っていた剣はレーテシュ伯爵家の紋章が入ってると見せる為。つまり討伐軍は失敗してこの剣を奪われた。
そこでだ。ペイスはこれで騒ぎ立てたい訳ではない。但しこれを引き取るにあたって「御温情」が欲しいと言うのだ。なるほど。そこでレーテシュ伯爵は金貨100枚ではどうかと言う。でもペイスは当家の被害はそれでは済まないと言って、結局金貨150枚にさせた。
これ、レーテシュ伯爵の恨みを買わないか?
とは言え、表面上は穏やかに改めての挨拶。その時に最初のお菓子の場面のネタが来た。あの時何故首を傾げたのかと。ペイス、お菓子の話とあっては饒舌になる。あれは甘さが過剰。また父に叱られた。この辺は子供ねと少し警戒を解くレーテシュ伯爵。
そして別れ際にペイスはレーテシュ伯爵を転写した布をプレゼント。これも気に入ったのでそんなに酷い恨みにはならなかったかもしれない。