シュガーアップル・フェアリーテイル(第2クール)・第16話
ペイジ工房として新聖祭の選品に出すとグレンが決意し、グレンが言っていた雪をテーマにした作品をと皆の方向が決まりだしたと思っていた矢先にエリオットが傷を負って帰って来た。
何だろう。この時点でどこかの工房が妨害をして来たとは思えないし、誰かに恨みをかけられていたとも思えないし、犯人の目星がつかない。エリオットが辛うじて覚えていたのは赤い武器の使い手。でもこれでシャルは思い当たる事があった様だ。襲撃したのは妖精。
幸いエリオットの傷はそれ程の深手ではなく、処置をして休んだらまあ動ける程度にはなった。それよりもアン達には新聖祭の選品を作れと言う。グレンの決意を無駄にするなと。
アンは新聖祭の雪の砂糖菓子を作るにあたって雪の結晶を作って見せる。雪の砂糖菓子と言われてイメージが沸いていなかったオーランド達もそれを見て成程雪を表現するとはこれかと思い思いの雪を作り出した。そこには「皆はバラバラだから統合した物は作れない」と言われていたのとは反して、各々の個性があればこその雪の結晶が出て来る。これを沢山沢山作って雪の塔を作る。
どんな物が出来るのかと思ったら、これはこれは何と綺麗な塔ではないか。
いつも思うが、この作品のアンなどが作る綺麗な砂糖菓子のデザインはどうやって生まれて来るんだ。これを見たエリオットも驚くし、そして何よりもグレンが感動した。これは自分が思っていた雪の景色ではないか。自分の工房でこれだけの物が出来るのか。アン、これを持ってペイジ工房派の職人頭としてルイストンへ行け。
シャルの護衛で砂糖菓子を積んで馬車は進む。そして出現した。赤髪のフードの奴が。シャルはこいつは自分に任せて先へ進めと行かせた。赤い奴はシャルを見て黒曜石の貴石の妖精かと理解した。お前を助けてやろうと。赤い奴は羽を支配されていない。そしてシャルの様な妖精は、羽を持っている奴を倒して羽を取り戻してやろうと言うのだ。でもシャルはそんな事は望んでいない。自分の羽を取り戻す人間はもう決まっている=アンだ。
馬車は日の出とともにルイストンに近づいた。そして教会に到着。ラドクリフのマーカスは驚いた。参加しないと言っていたではないか。
こうしてラドクリフ工房派本工房、マーキュリー工房派本工房、そしてペイジ工房派本工房の三者から品が並べられる。マーカスはアンが到着した時は驚いたものの、しかし自分の所の作品には自信を持っていた。見て驚けよとばかりにアンを笑い、祖王の像を見せた。あれはキースが作ったのだろうか。
最後にペイジ工房の砂糖菓子の幕が取られる。あれ?でも何だかくすんでいる。これって光が無いからか?でも工房ではあれだけ輝いていたではないか。期待外れの色合いにアンは戸惑うし、見ていた教父達もガッカリした様子だった。
そこにシャルが入って来た。傷ついてはいたが、あの赤い奴を退けた様だ。そしてそのシャルが光を持ち込んだのを見てアンは気がついた。新聖祭の時と同じ灯りの中で見て欲しい。燭台に灯りが点って雪の砂糖菓子は光り輝いた。
新聖祭の砂糖菓子はペイジ工房派本工房の物と決まった。
選品が終わって二人になったところでエリオットがアンにシャルの羽を返した。ちゃんとグレンとは話をしていたのだ。新聖祭の砂糖菓子に選ばれたらアンに返そうと。やはりアンは最初の銀砂糖なのだ。ペイジ工房では砂糖リンゴから銀砂糖を作る時、冷水につけた所に銀砂糖を少し加える。これで苦味が取れる。変化を齎すのが最初の銀砂糖なのだ。だからアンはペイジ工房に変化を齎す最初の銀砂糖だとエリオットは言う。
アンはこれでグレンとの約束を果たしてシャルの羽も取り戻したからもうペイジ工房派からは自由になった。でもペイジ工房の問題は全部は解決していないよね。工房職人とグレンの考え方には変化が現れたけど、一人ブリジットが取り残されたままだ。その事をアンは言わないが、それは別にして未だ新聖祭の砂糖菓子を作り終えた訳じゃないとシャルとミスリルに告げる。ミスリルは勿論、シャルもそれがアンの決めた事なら異存はない。
ミスリルがこの事をエリオット達に教えに行くと言って出ていくから、アンとシャルが完全に二人きり。アンはシャルに羽を返し、シャルはアンにこれでおまえは本当の銀砂糖師だと祝福を与えた。