スキップとローファー・第6話
文乃から衝撃の連絡。私、好きな人が出来たの。
恋ってどんな感じ?会えると思ったら学校へ行くのも楽しみになって、友達に会うフリして教室に行ってみたりする。会いたいのに逃げたい、話したいのに言葉につまる。うん、なるほど、これが今回美津未が聡介に感じちゃう感覚なんだな、きっと。
でもそんな浮かれた話どころではなかった。今日は前期期末考査出題範囲の発表の日。美津未自体はそれなりに準備はして来ている。だからそれはまあ良い。でもふと見ると聡介が今日はお休み。先生からは風邪でお休みとの事だった。
こんな大事な情報は早く聡介に知らせなくちゃとメッセージを送ったら聡介からすぐさま返事が来る。元気そうな上に返信が「寝てた」とは。風邪だったのではないのか。これはサボりなのか。学校が嫌になったのか。
迎井に聞いてみたら学校が嫌でサボったとかではない、聡介は中学生の頃からこんな感じで誰かに迷惑をかけない場合は遅れたりした事があったと言う。だがそう言う中学時代の聡介を知ってる迎井に女子が殺到。聡介の噂が本当なのかと聞いて来る。曰く、三人に一人は聡介に告白してたとか、それをちぎっては投げしてたとか、夜遊びしてたとか、他校の読モと付き合ってたとか。でも迎井は本人に聞けない事を自分に聞くなと逃げて行く。これが何気に真面目だよねと言う評判。
ただ、これを聞いた美津未がちょっとショック。とは言ってもこう言うのは鵜呑みにしないでおこうと。その姿勢は良い。良いけど貫けなかった。聡介が突如特攻服を着てバイクで学校に来て退学届を渡して来た。あんまりだから夢だろうなとは思ったが、夢だった。
その夢を見た日、聡介は今日も来ていない。先生に連絡が来ていない。色々心配になる美津未。この時は気にしすぎてテスト勉強が駄目になる方向かなと思ったけど美津未はその後飄々として登校して来た聡介に何だか心配させておいてとちょっと気まずい。
なのに先生からはプリントのホッチキスどめを頼まれて聡介と二人で残る事になる。だから心配した美津未が起きれないだけでテスト前に来ないのは良くない、そしてここで言葉を加えてしまう、夜遊びとかしてると思われたら駄目だと。
この場面、実は聡介的には口さがない噂話を美津未が取り上げたのがちょっと不満だった。それもあってか言ってしまう。期末テストは大事、と言うのは美津未にとってだろと、突き放す様に。この時思い出せなかったけど、あの入学式の日に美津未が聡介に言った言葉の跳ね返りだったんだな。
静かになった美津未に聡介が気がついた。今の言い方はまずかった。でももう衝撃を受けた美津未はホッチキスどめが終わったプリントを全部取り上げて職員室へ逃げる様に消えてしまう。
美津未が一番衝撃を受けたのは入学式の日に自分が言った言葉が跳ね返って来た事だった。あれが二ヶ月を経て来てしまう。あれはまずかったんだ、根に持たれていたんだ。明日それは話そう、今はテスト勉強しなくちゃ。これますますテスト勉強駄目になりそう。
聡介の方もあれを自分は根に持っていたのかなと悔やむ。そこ、どこ?どうも中学時代からの友人宅みたいだけど。玖里寿君と言う名前の相手。聡介がクラスで仲の良い子との事で悩むのを聞いて、玖里寿は今までからは変わったなと思っていた。だからそう言う事は本人に言ったらと玖里寿は言うけど、聡介は思ってる事を打ち明けるなんて無駄だと言う。そうやって今までは過ごして来た。
Aパートの開始の時は文乃の恋バナを聞いてホカホカで登校していたのに、美津未は目が充血した状態で登校。教室でなんとも思っていないと言おうと考えていたのに昇降口で会ってしまい、硬い表情に。その姿勢も硬い。
だから聡介から見たらめちゃくちゃ怒ってるみたいに見える。
様子がおかしいのはミカからはすぐに察せられた。そんなミカに美津未は私じゃなくて友達の話なんだけどと相談を持ちかけた。分かりやすすぎる。ただ、このおかげで美津未は悩んでる点の整理がついた。何故あんな事を言ったのか。発端は何だったのか。
それに気づいた美津未が聡介の所へ走って行って話がしたい。連れて行かれた聡介は自分の言い方がきつかったんだよねと言う。でも美津未はここで整理がついた本心を言えた。テスト勉強とかそんな上辺をつけたけど本心は聡介が学校に来ないのがつまらないからサボらないで来てと言いたかった。
そう言って立ち去ろうとする美津未を聡介が手を掴んで止める。
ああ、ここの動き、凄い。
聡介、美津未に自分の事情をつぶさに語った。玖里寿の所では思ってる事を語ったって無駄だと言っていたのに。夜の帰りが遅かったのは塾に行っていたとか。だから周囲の適当な憶測を美津未には聞いて欲しくない、聞いてそんな事にこだわって欲しくないと。
でも美津未の「ごめんね至らず」がツボに入った。こんな大袈裟な仲直りなんて小学校時代以来だと。なんだかとても恥ずかしくなった美津未、これが一緒に居たいけど逃げ出したい気持ちなのかと気づいた。
気持ちの高まりを抑えつつ走りながら文乃に電話する。
そう言う友情だってあるんだ!と。