ワールドダイスター・第1話
演劇界の頂点ワールドダイスターを目指して上京するここな。
え?ちょっと待って。陸奥横浜駅?CLANNADの舞台をどうして選んだのか。他に地方の駅はいくらでもあるのに。
そして静香は見送りなんだと思ってたのに一緒に東京に出て来た。今の新幹線の東北口って必ずしも上野じゃないのに上野駅で下車かと思ったら、浅草が劇団シリウスのある地と言うのでそれは分かった。
ここなはここで金髪の女の子が案内板を見て迷っている風だったので声をかけた。あ、ドイツ語だ。行き先が同じ浅草だと言うので、一緒に浅草線のホームへ。
ドイツ少女カトリナ・グリーベルはそこでここなが小さい女の子に絵本を読んであげているのを見て棒読みねと感じた様だ。雷門で別れた筈だったが、行き先が同じシリウス。カトリナもここなと同じにシリウスの入団試験を受けに来ていた。
入団試験は人魚姫。海の魔女はシリウスのダイスターの柊望有(ひいらぎのあ)。それを見た劇団員の柳場ぱんだは柊さん受からせる気が無いのかと呟く。と言うのも全員柊の気魄に圧され、萎縮するかそうでなければ強く反発しすぎてしまう。全員あっさりと退けられてカトリナの番。
カトリナは両親がワールドダイスターと言うサラブレッド。照明も間合いもうまく使って見ていた柳場を唸らせた。
そして最後にここな。ダメだ完全にのまれている。ところがここに新妻八恵が来た事で少し状況が変わる。気まぐれの様に新妻はここなを手伝おうと言い出した。何を言ってるんだと柊は思ったが、スタッフ(演出家の工藤花だそうだ)がOKを出したのでじゃあ新妻と二人でやってみろと言う。その代わり人魚姫は新妻で、王子がここな。
混乱するここな。だが新妻の「どんな役者さんになりたいか」がここなを変えた。どうなりたいかが大事。なりたかった姿とは。それは静香が見せてくれた姿で、明日の自分を信じられる人がダイスターになれるのだと言われたのを思い出した。
これでここなの演技が全く変わる。
工藤もカトリナも驚く。カトリナは駅で見たあの子ではない。そして静香は誇る様に呟く。言ったでしょここななら出来ると。
それにしてもどうしてここまで変わるんだ。そんな素養を全然見せてなかったじゃないか。陸奥横浜駅でも上野駅でも。当然だろうかカトリナとそしてここなが入団試験に受かりそう。ただ柊は疑問にも感じていた。ここなが演じた王子の仮面の下にはここなが見えなかった。
ここからここなのダイスターへの歩みが始まるのだろうが、陸奥横浜駅でここなを感心させた静香の演技を見ると、そしてわざわざ東京まで入団テストに付き合ったのを見ると、静香も入団するんじゃないか。