【推しの子】・第3話
重曹を舐める子の有馬かなと受験して面接に行った陽東高校で出会う。かなは当然アクアが芸能科だと思っていたが、でも一般科だと聞いて驚いた。とは言えかなはそのままアクアに着いて行く。積もる話もあったが、かなは一応芸能人に入るので普通の喫茶店で話をする訳に行かない。人目につかない場所、と言う事でアクアは五反田の所へ連れて行った。五反田の暫く見ないうちにはかなにこたえた。うん、活動がほとんど無いって事なので。
例によって五反田のおかあさんからごはん食べて行ってと言われて食事に。そこでかなが明かしたが、両親が田舎に帰ったので一人でuberなのだそうだ。ただ、子役の時に稼いだお金がたっぷりあるから、費用の問題はない。ふーん、でも一人暮らしなんだね。お金がたっぷりあるなら時間限定のハウスキーパーさん雇うって手があるよ。
かながアクアのやった映像みたいと言うが、アクアは駄目だと。自分に才能があると勘違いした黒歴史だと言うのだ。あとで「あの時」は中見の年齢と外見の年齢のギャップで大きな効果を生んだが、今はもう年齢がほぼ同じになっちゃったからそれが使えないと自分を語る場面があった。うん、でも高校生と医師だと未だかなり年齢ギャップあると思うよ。
それでかなはアクアに役者をやらせようと、自分がヒロインやってる作品で役者が決まってないのがあるからねじ込もうかと言って来た。でも今のアクアにはその気はない。無い筈だったのに、その作品のプロデューサーが鏑木と聞いて反応が変わる。
アイが残した三台の携帯の中で、二台はお仕事などの普通のログしか残っていない。だが残りの一台はそうではない。ただ、そこに辿り着く迄が大変で、バッテリー交換は未だ序の口でパスワードを当てる迄が大変だった。45510番目でやっと突破出来る。この数字何だ?昭和45年5月10日?
そこには十数名の芸能関係の人の連絡先があった。その中に鏑木勝也と言うのがあった。だからプロデューサーの名前を聞いてアクアは受ける事にする。
ただ、問題のある現場だから覚悟しておけと。鏑木はアクアのプロフィールを見て簡単にOK。どうせ誰でも良いと言うのは仲間にだけ言うけど。
「今日は甘口で」に出るとルビーとミヤコに明かしたら、さっそくそのドラマをネットで見る事にする。ストリーミング会社の独自ドラマで全6話。既に3話まで公開してる。メインの役者は新人。アクアがやるのは最終話の悪役。
とりあえず見てみたが....こ れ は ひ ど い
相手の役者が大根なのは置いておいて、ルビーに言わせるとかなの演技ってもっと上手かったのではと言う。これを聞いた瞬間はブランクのせいかなとチラと思ったが、そうじゃないんだ。逆なんだ。
合わせているのだ。今回のドラマの主眼はイケメンの男性俳優を売りにする為の物。だから演技力は二の次。かなは周りの大根に合わせている。企画が悪いのだ。だから1話の撮影の時に原作者が現場に来た時の失望感が酷かった。ああ、ああ、これは本当に気の毒。
ただ、裏方はちゃんとしてる。イケメン共は酷くとも何とか見られる作品にしようと頑張っていた。だからかなもそれに合わせている。アクアはそれじゃかなの評判が下がるだろうと言うが、かなは役者に大事なのはコミュ力、それを昔、あの時から知った。子役の時は好き勝手やったが、子役でなくなったら周囲から人が居なくなった。それでもうやめてしまおうかと思った時もあったけど、でも頑張って続けたのだ。演技を磨いて。だからアクアが陽東高校に来たと知った時、まだ続けてたんだと言う反応したんだな。自分もそうで。
鏑木とは長い付き合いで、使いやすい役者として見られている。そう言いつつ自分の演技力を買われているんだと言う思いがある。この片側からの想いがアクアに伝わったのが後できいてくる。
アクアが台本やこれまでの出来栄えから制作陣はしっかりしてるのは理解した。台本も演出も大根に合わせて書かれている。それを踏まえたやり方を考えるアクア。
現場で鏑木と挨拶。こいつが父親かもしれない。この雰囲気、悪そうな面もあるけど悪役じゃない感じだな。どちらかと言うと五反田に近いのでは。それに物語的に一発で張本人に辿り着く訳には行かないし。
アクア、どうやら現場に合わせた程度の演技をした様だ。でもかなにはアクアが努力して来た演技だと分かった。かな、やめようと思った時もあったけど、10年ぶりに主役が貰えて演技力が認められて良かったと喜んでいた。だからアクアの演技力も分かる。
ところがそんな訳ではない。それが残念な大人の社会。アクアは鏑木の会話を聞く。かなは使い勝手が良くて雑に据えておくには良い。安くてネームバリューが使える。演技にうるさいのだけが面倒だけど。おいおい、全然かなの想いとは違うじゃないか。だからアクアの心に火がつく。最後の最後の撮影、やってやろうじゃないか。鏑木の煙草の吸殻を拾ったらもう後はどうなっても関係ない。