転生王女と天才令嬢の魔法革命・第11話
前回アニスが苦しそうに精霊信仰派の長老と会談して来ると言っていた場面があったが、その会談場面から。
この場面でアニスが王位継承者として復帰すると告げると精霊信仰派の連中から厭味ったらしいと言うか酷い言葉を投げかけられた。
曰く、そうとなったらもう魔学などは捨てて欲しい。これ、ただの素行の話かと思ったら魔学によって平民でも魔法を使える様になったら身分秩序を乱すからだと言うのだ。それじゃあ王位継承権以前の問題だった訳じゃないか。
曰く、女王となるのなら魔法の使えない王が玉座にそのまま居るのはよろしくないので、さっさと世継を生んでその世継が魔法を使えれば良い。だから誰でも良いから早く相手とつがって子を産め。家柄も年齢も関係ない。魔法を使う力さえあればよい。
それを聞いて吐き気を催すアニス。
アニスが先走ったのかもしれないが、こんな話をアニス一人で精霊信仰派とさせるとは、オルファンス何やってんの。
ただ、この精霊信仰派は王国をどうしたいの?確かに前回私が言及したとおりに現国王と王妃が未だ37歳だから二人が頑張ればヨシ!と言うのはある。それはある。彼らが国王と王妃が頑張ればと言うのだから可能性はあるのだろう。
嫌味だけで言ってるのかもしれないが、女王の王配がどんな家柄でも良いと言うのは軽はずみ過ぎると思う。だってその家はアニスの次の王の外戚になる。外戚が力を持つのは古今東西どの王朝でも起きた事であって、そこにどんな家でも入って良いなどとは貴族として口が裂けても言えない。それは自分達の立場を危うくする可能性があるのだから。
もう一点。このままアニスを王位継承者としなかった場合、現国王オルファンスに何かあった場合の王国の継承者はどうするつもりだろう。彼らに推戴する候補が居るなら別だが誰かを念頭に置いている訳でもない。そうなると世代を遡っても周辺国と婚姻関係が無い王室と言うのはほとんど考えられない(日本だけが1000年以上そうだったけど)ので、何世代も遡って血縁関係のある外国から王位継承を求めたパレッティア王国継承戦争を起こされるのは必至。それで良いの?
やはり前回書いたけど、アルガルドは確かに廃嫡された。ひょっとしたら臣籍降下したかもしれない。でもそれでも後嗣を残す手はあるのだ。勿論国の制度によって異なるが、日本では宇多天皇は光孝天皇の皇子として生まれ一度臣籍降下して源定省となったが、その後皇籍復帰をして宇多天皇として践祚したのだ。その子源維城も父と同時に皇籍復帰してその後に醍醐天皇になっている。
前回リュミから精霊契約者の話を聞いたユフィリア。アニスに対して話があるので時間を取って欲しいと言う。その場には王と王妃、そしてイリアとレイニも同席して。
アニスが王宮の王の所に行くとリュミも居た。なんだかアルフォンスが何の話なのかと胃の辺りをさすっていた。いきなり聞かされるのか。
この場でユフィリアは自分がリュミから精霊契約の資格があると言われたと告げる。リュミも今の世でユフィリアだけがその資格と意志があると言う。驚いた王と王妃。精霊契約者になると言う事がどんな事か分かっているのかと。単に不老長寿になるだけじゃなかったの?
寿命が全く違うのは良いだろう。それは覚悟出来るだろう。それに加えて記憶や感情を失うと言う。記憶だけは残るのでは。
それを覚悟の上でユフィリアは精霊契約者となったら王の養子となり、王位継承権が欲しい。アニスが王になるのが許せない。それはアニスが悪いのではない。精霊信仰派貴族からはどうしても認められないだろう。
でもアニスの反応が少し意外。ユフィリアが人間じゃなくなるのを反対するだけではなくて、自分から王女の立場を奪わないで。
これがまた分からない。アニスがどうして王女の立場にここまでこだわるのだろう。この作品の表題は「転生王女」で、ほんのちょっとだけどアニスが転生者と言うのがほのめかされている。転生者がどうしてここまで王女としての立場にこだわるのか。長い時間王室で育ってその意識に支配されたのか。ともかく、ここからアニスとユフィリアの葛藤が始まる。
行き場を失ったアニスが街中で泣いていたらティルティが拾ってくれた。取り敢えずうちに来い。
邪魔と言うティルティだけど、アニスが本気に取っちゃうからちょっと慌てる。そして話を聞いてあげた。そんなアニスに一緒にどこかに逃げちゃおうかと言うティルティ。それでも王女である事は捨てられないと言うアニス。そこに必死でドアを叩いて迎えに来たユフィリア。
誰も認めてくれなくても、ユフィリアが認めてくれるならもう諦めても良い。そんな顔になったアニス。
だったら最後に納得するにはユフィリアとの勝負だ。
どうしてもそれじゃないと心が納得出来なかったか。