転生王女と天才令嬢の魔法革命・第10話
前回の感想で書いた事がそのまま浮上してしまった。
「それにしてもこれは王室の危機だなあ」
現国王の子供が王女と王子一人づつしか居なくて先に王女が王位継承権放棄したけど、王子の方が廃嫡。それ以外に作中で王族が見られないと書いたら今回の話だと本当に居ないみたい(但し、中世近世の王位継承って二親等とか三親等とかそんな近い場所だけで考えないので果てしなく遡ったりする場合がある)で、こうなったらアニスの王位継承権放棄が無かった事になってまずはアニスが継承候補になる。
作中では魔法が使えないのが国内貴族間で問題にされているみたいだが、ゲルマン系みたいなサリカ法を持ち出して他国が王位継承権を主張して来る可能性はある。
それらは置いておいて、アニスが将来の王とならねばならなくなった。現時点で。現時点で、と言うのは何しろ現国王オルファンスが37歳で現王妃シルフィーヌが37歳。二人を生んだ後に何か身体に問題でも起きて居なければ王と王妃が頑張って王子王女を生みまくるのが一番の解決方法なんだけど。
ともかくアニスは王位継承者に戻っちゃったと言う話をユフィリアとレイニに話した。残念そうな笑顔で。さらに加えて王配を迎える必要があるとも言う。さぁ、百合の危機だぞ。
でもここでユフィリアが立ち上がるが、それは違うんだ。ユフィリア、あなたはまた公爵令嬢と言う仮面の子に戻っちゃったよ。マゼンタ公爵家としてアニスの即位に反対する貴族に橋渡しをすると言い出した。それ、アニスの望んでいるのと違う。だからアニスは二人に無関係と言っちゃって、それを聞いたレイニがショックだった。
この件でティルティが呼ばれる(診察って言ってたけど、レイニの事?)。ティルティ、どうしたらどうなるを全部見通してるみたいだけど、アニスが養子を迎える程度で済む事なの?
そのティルティ、ユフィリアが仮面の子になってしまったのに不満。そこにアニスが帰って来たが、そのアニスの顔(表情)には大不満。こんにちはニューノーマルの私などとアニスが言い出したのでとうとう我慢出来なくなって鷲掴みに。それをこれ以上踏み込むのはとイリアが止めた。
ユフィリア、イマイチティルティが言った事は理解していないものの、その本質を掴みそうだったので夜にアニスに詰め寄ったらアニスが今からアルカンシェルを引き取りにとかはぐらかそうとした。いくらなんでもこんな夜中に行ける訳ないので、明日自分が一緒に行くとユフィリアが言ったらアニスからじゃあデートと言われちゃった。お忍び前提だよ。
と言う事でデートです。
鍛冶屋のトマスの所へ。初対面だけどトマスはアルカンシェルの使い手だと言うのは知っていた。アニスの事情を全部飲み込んでくれている男。
鍛え直したアルカンシェルをユフィリアに渡して確認させたら、なるほど尋常の使い手では無いと理解した。天才令嬢だからね。
なんて事をしていたら、外からアニスを確認した街の人々が来ちゃった。さっき「あれ?」みたいな顔してたのはただのワンカットじゃなかったんだ。そんな訳でアニスは集まって来た民衆に応えなくてはならなくなって、工房にはユフィリアとトマスを残して行く。
残った二人でアニスの王位継承について。トマスはアニスがやはり王位継承するのかと聞いて、そうだと知ると残念そうな顔になった。アニスをみんなは信頼している。でもアニスが王位継承するのはアニスにとってどうなのか。それをユフィリアは気づいていないのかと行きそうだったところでアニスが帰って来た。
そこを突いて来たのはイリア。アニスは確かに名君にはなれるだろう。でもアニス個人にそれが向いているのか。とは言っても王国の為に王になるしかないのではと言うユフィリアにイリアは工房を見せた。全部片付けられてしまった工房を。これはアニスが夢を捨てると言う事だ。魔学を捨てると言う事だ。
やっと気がついたユフィリアではあったが、未だ「公爵令嬢」としての考えが気持ちを妨げる。王国の為、王家の為には、アニスが王になるしかない。そう言いつつ自分でも涙が浮かぶ。
ユフィリア、どうすれば良いのか分からなくなってティルティの所に相談に。でも見通すティルティ、今のユフィリアの悩みはアニスの問題じゃなくてあなたの気持ちの問題でしょうと。やっと自分の葛藤に立ち向かえるユフィリア。
ティルティの助言で父マゼンタ公爵に相談に行くユフィリア。次の国王はアニスでなくてはならないのか。アニスに王になって欲しくない。と言われても貴族としてのマゼンタ公爵は王国のシステムとしてはアニスが王になる以外はない。そりゃそう答えるだろう。
でもユフィリアは引き下がらない。ただお慕いしてるのです。
そう言われてマゼンタ公爵は昔話をした。実はオルファンスも昔は植生の研究に没頭して臣籍降下したいと思っていたと。いや、オルファンスさん、今の王室の状態をみたらあなたこそ他に王位継承者いなさそうだよね。それを臣籍降下とか。若気の至り?
でもそれを捨てて、そして貴族の反乱を鎮めてオルファンスは王となった。ただあの時別の選択肢があったのだと言う。その時、精霊が動き出す。そして外に立っていたのは....誰?
精霊契約者のリュミだと言う。リュミはユフィリアに会いに来た。ここで奇妙な制度が出て来たぞ。この国において、精霊契約出来る者、普通なら王族が王位を継承する。精霊が認めたら王位はそちらへ動く。と言う事はユフィリアが精霊契約者になったらユフィリアが王位を継いでアニスがしたい事が出来る?うーん、どうなんでしょう。それをアニスが喜ぶ?
王国の未来がどこに落ち着くのかちょっと分からなくなって来た。
一応邪な提案としては、上述のとおりに現国王と現王妃が頑張って王子王女を産めばそれで何とかなるかも。
その他に少しアクロバティックだけどアルガルドは廃嫡であって未だ王族であると言う解釈の元にレイニと結婚して子供を作り、その子が王位継承すると言う手はある。あのオーストリア・ハンガリー帝国でフランツ・ヨーゼフI世が皇帝位を継ぐにあたり、フェルディナントI世に世継が無くて甥のフランツ・ヨーゼフが継いだ訳だが、フランツ・ヨーゼフの親のフランツ・カールは存命でも継がなかった。
何故レイニを引き合いに出したかと言うと、その子がめでたく魅了の力を引き継ぐかもしれないので。