とんでもスキルで異世界放浪メシ・第9話
「デスヨネー」
前回ゴブリン討伐でごっそりゴブリンの右耳をギルドに持ち帰ったら騒ぎになってしまった。おかげで「向田【様】、ギルドマスターがお会いになりたいとの事です」と呼ばれてしまった。
ギルドマスターのヴィレム、これだけのゴブリンを討伐したと言うのはゴブリンの集落があったのかと。これだと集落討伐の報酬も出さねば。
面白いパーティーだと笑うヴィレム。そして王宮からの通達を知らせた。国内で自由にして構わない、貴族達にも通達済み。ここで一瞬、向田を召喚したあの王の顔が浮かんだが、向田はあの王は駄目だと思ってもう別の国に来ていたんだった。こっちの王は話が分かりそう。ただ、有事の際は力添えが欲しい。確か冒険者って国家間の紛争には加わらないと言う話が異世界物では一般なのでこの有事とは魔物が出現した場合なんだろう。
ともかく向田はこれで自由に行動できる様になった。
ヴィレムはGからランクアップしたいのだろうと言って来た。ギルドマスターの特権でCランクにしようと言う。但しSやAランクの依頼をやって欲しい。高レベル冒険者は多くないので上位ランクの依頼が滞ってるのだそうだ。これは従魔フェンリルへの依頼みたいなものだ。誇り高いフェルさん、自分に出来ない事などないとあっさり受けた。
他の冒険者にもつまらないチャチャを入れない様に言っておこうと、ヴィレムも話が分かりそうなギルドマスターだったので向田は前回一度引っ込めた魔獣の買い取りを切り出してみた。
あの解体屋ヨハン、今度はキマイラとオルトロスを目の前にしてこれを見たのは初めてだと驚いた。だが流石にキマイラとオルトロスは引き取れないと言う。何故かと言えば正当な報酬を払うだけの金貨がこのギルドには無いから。正直だから払えないから引き取れない。
ヨハン、ブルーオーガはSランクで、オークキングはAランクなものの常に他のオークを多く従えているので事実上Sランクだとも言う。それをしれっと狩ってくるフェルさん。
宿に戻って本日の夕食。当然フェルもスイも肉を所望するが、最近脂っこい物が続いていたのでさっぱりしたのが良いなと何かに決めた向田。ロックバードの胸肉を茹でてどうするのかと見ていたら、茹で上がってから手で引きちぎる。この状態なんだったっけと思ったら、棒々鶏でした。棒々鶏、胡麻ドレッシングかけたら出来るのか。
ついでにロックバードの肉とピーマンの炒めもの。こちらはオイスター・醤油味の中華ペースト。なるほど。
スイが美味しいと言うので、日本の食品会社に感謝。
翌日ギルドに行ったらCランクの銀色のギルドカードが貰えた。そして昨日までの報酬が払われた。あれもこれも合計して金貨2000枚近く。異世界の金貨を日本円に換算するレートは色々あって、本好きの下剋上のレートだと途方もない額になりそう。今並行して放送中の「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」がはっきりしたレートを出していてミツハが老後の為に20億円を貯める目標で、それをは表題の金貨8万枚になる。この場合は金貨の換算レートは金貨1枚=25,000円。だからこのレートの場合だと向田は現時点で5000万円手にしてる。これがバレたら強盗に狙われちゃう。
ヴィレムから昨日言っていた依頼が来た。メタルリザードの討伐とブラッディホーンブルの群れの討伐。どちらも現下でこの付近を悩ませている。まずはメタルリザードからやって欲しい。それを聞いてフェルはホーンブルの肉はうまいぞと舌なめずり。向田も牛肉相当と聞いてアレで料理しようとフェルと合意が取れた。ヴィレムの方もホーンブルの肉はうまいから半分ギルドに卸して欲しいとの事だった。
フェルはホーンブルが食べたくてすぐに行きたいと言ったが、メタルリザードが先だし時間もかかるし、明日以降にまわす事にした。そして今日向かったのはランベルトの革の店。
何を買うのかなと思ったら、確かに今スイが入ってる鞄は随分ヘタれて来てる。と言う事でいくつか候補を見せて貰ったらスイが気に入ったのは一番安い(と言っても金貨2枚)の鞄。
他に色々見て回ったらナイフが入る腰ベルト。それから財布。そして目に入ったのは靴。向田はネットスーパーの靴を思い出したが、この世界で変に目立ったらいかんと靴もここで買う事にした。
うーん、靴こそはネットスーパーで買った方が良かったのでは。ハイキングシューズの出来具体は現代技術の靴の方が遥かに出来が良いから。登山して本当にそう思う。どうせ保存空間あるので、平地ハイキング用(この世界、平地も舗装されていないし)、山岳ハイキング用、沢沿い歩き用と揃えておくと凄く良いよ。まあフェルに乗っちゃったらあまり変わらないけど。
全部で金貨11枚になったけど、ランベルトはただで良いと言う。命の恩人だし、あの時に食べた唐揚げ肉が高級肉だったし。向田、それじゃ困ると言うが、次回からはちゃんとお金をいただくと言う事で成立。
そしてランベルトからのお願い。ブラックサーペントの肉をごちそうになったと言う事はブラックサーペントを狩ったと言う事。今度ブラックサーペントを狩ったらその革を売って欲しい。ただ決まりとしてギルドを通さないと本当は駄目だが、少しばかりならギルドも目こぼししてくれるだろと。なかなか手に入らないのだそうだ。
さらにはギルドでは先日レッドサーペントの革が出たらしいと言う。あれはものすごく良い物で垂涎の的。但しあまりに高くてランベルトでは手が出ない。今回もどこぞの貴族が買ったのだそうだ。いや、そのレッドサーペントをギルドに買い取らせたのが目の前の向田なんだけど。
さて今晩のメニュー。サーペントの話をしていたので今回もサーペントの唐揚げ。今回は大量に作ろう。そして二度揚げする。唐揚げってそうなのか。食べるけど作った事ないから知らなかった。
二度揚げしたのをフェルとスイに出したら二人共喜んで食べる。中はジューシー外はカリっとしてる二度揚げ。
あ!ここで初めて気づいた。
スイってエンドサイトーシスみたいな事してるので食感が無いのでは?
その辺どうなんだ。
今度こそ向田は自分で唐揚げが食べられる。フェルもスイも満足したから。
今回のおかわり劇場。今週の向田からのお供えは和菓子。これも良い物じゃーと喜ぶニンニル。そしてそれを見ている三女神。どうやって手に入れたかは理解した。水臭いじゃないか。いよいよ本編に登場か?向田、大変だな。