転生王女と天才令嬢の魔法革命・第5話
スタンピードが押し寄せる。騎士隊と冒険者ギルドは連合して魔物に対抗。王都からの救援は届かない。
ユフィリアは出発にあたってアニスに確認した。ドラゴンの魔石が欲しい理由は何なのか。アニスは言った。
「魔法使いになる為だよ」
いや、これだけ聞いたらヤバいんですけど。だってアニスの王位継承権放棄の理由の一つ、少なくとも大きな建前は王族だけど魔法が使えいないからと言う事になっている。素行の悪さとかは、別に悪事を働いているとか倫理に悖る行為ではなくてただの破天荒なので王位継承権放棄の理由にはほとんどならない。
なのにここでアニスが魔法を使えますなんて言い出したらどうなるのか。当然アルガルドに不足を感じている臣下達が黙っていない。あんな魔法が使えなくて素行が悪い状態ですらアニス支持を隠然と語る臣下が多いのだから。
でも今回の話全体を見れば分かるがアニスの望みはあくまでも「魔法使い」になりたいと言う純然たる物。これ前世からの望みなのかもね。
ともかく魔石で魔法を使うには触媒となる生物媒体が必要で、その生物媒体とは自分がなるつもりらしい。
普通の魔物との交戦は騎士隊も冒険者もよく戦っていた。だが、全員が全員強い訳でもないし、強い魔物も居る。王都からの救援など間に合う訳がない、生き残るのも考えろ。そんな時にアニス参上。
冒険者リーダーは驚いた。あんたなら王都からでも間に合うのか、マローダー・プリンセス。騎士団長も驚いた。こちらは何しろ自分の身分の上の王女殿下とマゼンタ公爵令嬢が救援に来たのだから。特にアニスの話は日頃から知っていてもユフィリアは意外だったろう。
アニスはドラゴンを自分に任せろと言う。何しろ王国で唯一飛べる戦力。そう言われては仕方ない。ユフィリアは騎士団や冒険者の戦いを守ってあげてとアニスは言うが、ユフィリアは納得出来ない。そしてアニスは魔石を砕いた薬、魔薬を取り出してそれを飲んでしまった。
アニス、昂ぶってまいりました。まるで戦闘狂のイングリスの様に。
アニス、ドラゴンに向かいながら雑魚魔物を片付けるけど、面倒くさそう。そこにユフィリアが来た。やはりやって来てしまった。ユフィリアは魔法が使えるので面攻撃が可能。エクスプロージョン。アニス、本物の魔法を見てやはり凄いと思った。
そしてドラゴン飛来。空を飛ぶ相手はもうアニスにしか対抗出来ない。でもアニス、ドラゴンを見て美しいと。あのドラゴンの魔石が欲しい。箒にまたがってアニス出撃。
でもなあ、普通ドラゴンって超強力だから敵うのか。やはりアニスの一撃はドラゴンに通じなかった。アニスの作ったマナブレードは物理も魔法も斬れる自信作なのに。攻撃が効かないとこれは辛い戦いになる。ドラゴンの攻撃を受けて箒を手放して落下するアニス。あれが無いと飛べないのに。
アニスの危機を見て必死で駆けるユフィリア。とうとう思いの強さで飛べる様になった。すんでのところでアニスを拾い上げた。
一度落下したアニス、未だ戦うんだとまた魔薬を飲もうとした。これユフィリアが止めるなとは思ったが、全身で止めた。こうまでしてアニスが戦うのは人々を襲う相手を倒さねばならない。それが魔法使い。やはり現世で魔法少女物見て憧れたのでは。
そうまでするアニスに、あなたがあなたでなくならない様に自分も連れて行ってくれ、一人で行かないでと泣くユフィリア。
それを受けてアニス、ユフィ付き合ってくれる?
ユフィリアの見立てではドラゴンは全身を魔法障壁で守っている。だがあの巨体を空中に浮かせるのはドラゴン固有魔法。それを発動させている翼。これを狙えばと言うユフィリア。ユフィリアがドラゴンを惑わせ、アニスがドラゴンの後ろから翼を斬る。ドラゴン落下。
とは言ってもこれでドラゴンが死ぬ訳でもなかろう。ドラゴンだから。ドラゴン、とうとう口から巨大な魔力弾を放とうとする。でもこれで逃げたら背後の騎士団と冒険者が全滅してしまう。だからアニスは覚悟した。あれも魔法。だったらマナブレードの最大出力で斬れる筈。魔力弾に立ち向かうアニス、そして背後から支えるユフィリア。
斬った、斬ったよドラゴンの魔力弾とドラゴンそのものを。
流石にドラゴンはこれで死んだかと思ったが、近寄ってみたらまだ生きては居た。そしてアニスに言うのだ。見事だまれびとよ。いやいやいや、話が出来るんだったら最初から話を聞けよ。
ドラゴン、話かけたアニスにドラゴンの知識や諸々をアニスに刻み込んだ。呪われてくれと言うけど、ある意味呪いである意味力になるんじゃないかな。
スタンピードとその元凶となったドラゴンから王国は守られた。戦勝会の宴はアニスには退屈。そしてユフィリアも男性ともうダンスはしたくない。あんな仕打ちをアルガルド達から受けたからね。二人は幸せな百合百合ダンスを踊る。
と、この場はそれで良いかもしれないが、上述したとおりにこれだけの事が出来る王女となるとやはり一部の臣下は放っておけないぞ。だって不可能な筈のドラゴン退治をして亡国の縁から国を救った「王女」だ。軍部が黙っている筈がない。そして軍事貴族が黙っている筈がない。私が軍事貴族だったら何が何でもアニスが次期王たる存在として担ぎ出すよ。