とんでもスキルで異世界放浪メシ・第1話
異世界勇者召喚が行われた。よくある話(普通はよくある話ではないが)。
屡々魔王や魔物の攻撃を受けて来たレイセヘル王国ではそれに手を焼いて勇者召喚したのだ。それに応えたのは三人の若者。だがそれに巻き込まれてしまった者がいる。それがこの作品の主人公の向田剛志。少年少女には鑑定の結果勇者に相応しいスキルが備わっていた。しかしただの巻き込まれの向田には固有スキルは「ネットスーパー」しかなかった。それを聞いた三人の少年少女はなにそれと笑い飛ばす。
意識高い系な三人の少年少女は民草が苦しんでいるのであれば座視できませんと国王に勇者としての働きを誓った。なにこれ、なんでこんなに意識高いの?私が能力持たされて召喚したらやってやる代わりにちゃんと優遇しろとか(露骨に言うと角が立つのでやんわりと)言うよ。あと、勇者たるものたかが王ふぜいの権威にはひざまずかないとか言うだろうし。天子様じゃないとね。
魔物や魔王軍に脅かされていると言ってる割には国王が贅沢三昧をしている風を感じ取った向田は、自分には特段の固有スキルが無いので普通の市民として暮らして行きたいと申し出たら、金貨20枚を渡されて外に出された。
ところがそのままのスーツ姿で街を歩いていると周りから奇異の目で見られるので先ずは服を調達へ。ここまでは召喚されたけど白い目で見られてるとか、街でも変な目で見られているとか不穏な雰囲気だなと思っていた。
ところがこの後は結構順調に進むのだ。
宿もぼったくりじゃなくて一息ついて自分のステータスを確認。固有スキルは相変わらずの「ネットスーパー」で、念じてみたが何も出てこない。なんだよとステータスのネットスーパーをタップしてみたらあら不思議ネットスーパーの画面が出てきました。
水とパンを注文してみたらあっと言う間に届いた。なるほど、これは生活するには使えるし、ひょっとしたらこちらの世界で高く売れる物で稼げるかもしれない。何しろネットスーパー有料だから。
少しづつ情報収集をして、王宮で見た王族の贅沢三昧さからこの国に居たら駄目なのではと隣国へ向かう。その馬車の中で商人の男からちょっとした情報をもらえた。彼はめったにない石鹸を商うところだと言う。石鹸が高く売れそう。
国境の街に到着したら移動手段が封鎖されてしまっていた。歩いて国境を越えねばならない。多分この世界だと物騒。と言う事で向田は冒険者ギルドに行って用心棒となるパーティーを依頼する。金貨8枚。
このパーティーも良い人ばかりで、ちゃんと護衛してくれる。代わりに向田はネットスーパーで仕入れた道具と材料で食事を提供した。
文明の力は凄よ。サンドイッチとスープを用意したらこんなに柔らかいパンは初めてだとかスープもこくがあるとか凄く喜んでくれる。これ以降、冒険者達は向田の作る食事を楽しみにする。巨大なイノシシを倒したものの、肉が多すぎて捨てるしかないなと言うのを引き取ってアイテム袋に保存してそれも材料にしたり。
この様子を遠くから眺めるモノありけり。ああ、これがアバンで登場した凄い魔物かな。
そしてその時が来た。倒したイノシシ魔獣の肉を切ってどう料理するのかと思ったらエバラ焼肉のタレ生姜焼きを使って生姜焼きを作ったら、もうあのにおいの段階で冒険者達はこれ絶対おいしいにおいだと集まって食べ始めると喜ぶ事喜ぶ事。
しかし次のタイミングで彼らは顔面蒼白になる。向田の背後に巨大な魔獣が出現した。あの強い冒険者達ですら固まってしまう程の相手、それは伝説の魔獣フェンリル。フェンリルはそれを食べさせろと言う。ガクブルの向田は焼いてあった生姜焼きを差し出すとフェンリルは一口で食べてしまい、次をよこせと言う。それから後は向田は保存しておいたイノシシの肉で大量に生姜焼きを作って差し出し、フェンリルは何とか満足してくれた。
自分をこれだけの物で満足させるとは大したヤツだとフェンリルは自分と従属契約を結べと迫る。これ、断っちゃ駄目なヤツだと向田は従属契約を結んだが、その結果向田は今後フェンリルの食事の世話をしてやらねばならなくなった。
面白い。今期、話として一番おもしろい。
そして今回もタイトルを最後までよく見たら、そうか「異世界放浪メシ」って今後も食べ物で向田はこの世界を生きて行くのか。