便利屋斎藤さん、異世界に行く・第1話
現世日本で便利屋をやっていた斎藤さんが異世界に召喚された。現世日本で磨いた技術で異世界の鍵など造作もなく開けられる。これって異世界ではすごい便利な技術。あと便利屋だったのでちょっとした品物の修理も出来る。
斎藤の居るパーティーはこの他に魔術師のモーロックが居る。もう名前どおりに耄碌していて肝心の魔法の詠唱を忘れる。日常生活でも色々な物を忘れる。日常生活でちょっと仕出かす程度なら未だ良いが、魔物と戦っている時に魔法の呪文を忘れて発動出来ないのは大問題だ。
今回、自分がパーティーの足手まといになっているのではないかと思った斎藤がモーロックに魔法の使い方を教わった。教わったものの、魔力がないせいで魔法が使えないみたいだが、呪文を暗記したおかげでモーロックが途中で忘れても斎藤が教えてやる事で魔法が発動出来る様になった。これは便利。
重戦士のラエルザは強い女性戦士。このパーティーで一番まともに戦える。ただ、どうも顔に傷があるのを気にしているみたいだ。乙女だから仕方ない。でも斎藤はそんなの全く気にしないで兜の修理をしてくれるのだ。そんな斎藤に想いを寄せている感じがある。
月光妖精のラファンパンは神聖魔術師で、もっぱらヒーリングを行う。ちょっとした負傷なら簡単に治せるみたいだが、どこまで治す能力があるのだろう。そしてそのヒーリングは有償なのだ。小銭を集めている。ただの守銭奴かよと思ったけど、Wikipediaを見たらとある理由がある模様。
斎藤は現世日本では雇用主からお前の代わりなどいくらでもいるとか、折角鍵開けをしたのに1分もかかってないのに7000円なのかとか文句を言われたり、随分と酷い目に遭っていた。だが、異世界では頼りにされていた。
そして自分のミスで罠にかかって遥か下に落下して負傷した時、モーロックもラエルザもラファンパンも魔法が使えないエリアとか関係なく斎藤を探しに来てくれた。現世日本とは大違いだ。斎藤は異世界で充実した生活を送っていた。