うちの師匠はしっぽがない・第12話
早く文狐師匠の所に戻るんだと歌緑の所へ行こうとするまめだ。そこに歌緑がやって来た。何しに来たのかと言うとわざわざまめだの試練をしに来たのではなく、大黒亭文鳥のお参りに来たのだ。あれ?ここに位牌があるの?
でもまめだは位牌を理解していない。あれが師匠の師匠?ただの木じゃん。
お参りを済ませた歌緑にまめだは試練をやってくれと頼む。歌緑、嫌だよ君が文狐の所に戻れないのは自分と関係ないと言うものの、白團治が自分の顔を立てて頼むと言うのでああまあやってみなさいとここでまめだに一席やらせてみた。まめだがやったのは第9話でリアル牛ほめになった牛ほめ。秋葉様のお札を貼ってへの用心になるでサゲる。
歌緑ははいはい分かりましたとパチパチと拍手するが、不合格。確かに面白かった。でも君が面白くちゃ意味がない。サブタイ回収。これ実は割合最近NHKの日本の話芸だったかでチラと聞いた。もう何で聞いたか忘れちゃったけど、そこでは同じく師匠におまえが面白いんじゃ駄目なのだと言われたとの事だった。でも今回は歌緑がそれしか言わないでまめだを置いて帰ってしまったのでまめだ困惑。その場に白團治が居たので白團治は分かっていたんじゃないのか。言ったら筋違いと言わなかったかもしれないが。
歌緑に逃げられてしまったまめだ、白團治に歌緑の居そうな場所はどこだと聞くが、白團治の歯切れの悪い視線を逸した言い方からしてさては花街だなと思ったらその通り。でもまめだは怯まないと言うかそもそも花街の意味も分からないだろうから正面から店に乗り込む。そしてこれまた当然ながら遊郭の女将はガキの来る場所じゃないし、そうでなくとも客の話など出来る訳が無いとっとと帰れと言う。粘るまめだに遊女達が興味を持ち出して、さらにはあまりにうるさいのでうっかり歌緑が帰れ帰れと自分から居場所を知らせてしまった。
女将は仕方ない、じゃあ働いてみろと言うのでまめだは遊郭で働く。まめだ、既に文狐の所で働いていたからまめに働く。だから遊郭の遊女の間では評判が良さそう。その間を縫って歌緑にはたしじょうをしつこく投げ込む。決闘受けてやれよと言う遊女に歌緑はいいヤツじゃ駄目なんだよと。そう言って文鳥を思い出す。昔弱い自分を助けてくれたあいつを。
何日か経ったろうか相変わらず歌緑は外に出て来ない。そんな時にまめだに声がかかった。お座敷にお酒を運んでおいて。とびきり上客のお客さんの所へ。あれ?これまるでお得意さんの宴席に文鳥が行ったのを彷彿とさせるじゃないか。まさかあいつが?
と思ったらあのまるまると太った大尽ではなくて、もう老境に入って歯がかけたおっさん。君、落語家なんだって?ちょっとここで一席やってみせてよと。まめだ、ここで鼻を高くしてやってあげましょうと言う。
ところが文鳥の時と同じだ。誰もまめだの落語を聞いていない。こう言う時の芸って辛かろう。そこの喧騒は歌緑の所にも聞こえていた。下品な連中だと思う歌緑に遊女はまめだが落語やってあげてるよ行ってあげたらと言うが、歌緑はまっぴらだと。
まめだの様子を見かねて一人が平兵衛にあれで良いのかと聞くが、そいつは自分は落語家が大嫌いなのだと言う。ああ、やはり文鳥の時のあのお大尽かよ。そうかもう何年も経ってるから年老いてるんだ。
でもがむしゃらなまめだは負けない。転ぶ時は前のめり。正気だったら芸はやってられない(白團治)。芸はその時が全て(圓紫)。二人の教えを受けてまめだが声をあげて落語を続ける。その勢いに宴席のみながまめだの方を向く。気に食わないのは平兵衛。折角自分の奢りなんだからもっと高い酒で盛り上がれと。またも客を引き剥がされるまめだ。そこに出て来る歌緑。代われ、自分がこいつらに落語を見せてやる。
宴席だから艶っぽい噺をと歌緑が始めたのはあの三枚起請。第3話で文狐がやった噺。今回は歌緑だから男が遊女役をするのだが、それが色っぽい。そうか艶噺をやる噺家だから石田彰さんを採用したのか。昭和元禄落語心中でもうまかったからね。そして宴席の客はおろか女衆までもが歌緑に魅了されてしまった。
実はBパートが始まる時のアイキャッチは先に中央に居る女性みたいなキャラが目に入って「あれ?歌緑?いや右に歌緑が居るな、誰だ?」と思ったが、これだったか。平兵衛、またも落語家にしてやられた。
席が終わって歌緑に感謝するまめだ。歌緑、どうだいい女だったろう。これまで随分いい女と遊んだが、それが自分の中にあるのだと言う。そう、噺に出て来る面白い人間は演者の中に居るのを出す。だから器のまめだが面白いだけじゃ駄目なのだ。一週間後、もう一度やってみろ、それが最後だ。宴席の騒音に負けないまめだに大黒亭の芸が伝わるのか見てみたくなった歌緑。
その頃文狐は圓紫の所に来ていた。何のようだ。やる気かと言う圓紫に文狐はうちの弟子に稽古をつけてくれてありがとうございました、姉さん。姉さんだぞ。
このまま次回最終回では歌緑に中の人間を見せる芸ができるのかまめだ、なんて思ったらあの平兵衛、まめだが大黒亭文鳥の弟子の弟子と聞いて懲らしめてやろうと算段する。意外な妨害が入ったぞ。
しっぽなのしっぽ、また三枚起請の解説だけど、それって第3話でやったんじゃと思ったらメインの中で解説しただけでしっぽなのしっぽではやらなかったか。