うちの師匠はしっぽがない・第7話
今日は天神祭。この天神祭の屋形船の上で今日のまめだのお披露目がある。まめだ、随分と良い場を貰ったものだと思ったけど、しららの中座昇格もある。しららは中座になったので羽織を着るのを許されたと言う。
東京の神田祭はまあ知っている。秋葉原に足繁く通っていた頃に知った。京都の祇園祭は有名だから知っている。でも大阪の天神祭は知らなかった。日本三大祭なの?三大祭にいれられるだけあって大規模だ。御鳳輦には何が入ってるのか。そりゃ天神さま。へーなんて見ていたらそこから女の子が出て来たぞ。
雷と共に空に飛んだので普通の巫女ではない。大変だ追わなくちゃとまめだが追いかけ、それを文狐もと思ったら文狐はファンに囲まれてまめだ一人で追いかける。
御鳳輦から出て来た天神ちゃん、何やらウロウロしていたのをまめだに発見される。まめだが帰るぞと手を掴んだら狸如きが気安く触るなとビリビリで逃げた。流石天神さまともなると何の問題もなくまめだを狸と認識している。
このまま逃しては大阪に天変地異が!そうなると自分の初舞台が!
その頃屋形船の方では出発が迫っていた。しらら達がヤキモキしている。他の船がつかえるからグズグズもしていられない。
正攻法では駄目かと思ったまめだは化ける姿を変えて法被姿に。これなら雷様の大好物へそが見えるぞと思ったものの、こんなのでおびき出せるかと考えが浅かったと後悔したが、見事にかかったよ。
これで捕まえたと思ったが、電撃は厳しい。それでも耐えて天神ちゃんから事情を聞く。天神ちゃんは日頃神社の中に居る。ところが氏子達が盛んに落語の噂話をするのだ。それが面白そうなのでどんなものか見てみたくなって外に出たのだ。
でも今日は寄席に行っても落語は見られないよ。今日は屋形船の上でやるから。なんとそんな事を知っているお前は何者だ。落語家見習いだ。
天神ちゃんが外にでて大阪の天候は大荒れになって来ていた。既にしらら達を乗せた船は岸壁を離れていた。まめだが居なければ前座を飛ばしてやろうかと思っていた落語協会だったが、それどころかしららの舞台も出来なくなりそう。
まめだは天神ちゃんを船に乗せて落語を聞かせたかったが既に船は出てしまっている。どうしたものかと途方に暮れている所でらくだと出会った。船に乗りたいのなら付いてこいとなにわ橋の方へ。
歩きながらこの荒天に周囲の人々がこれでは祭は中止だと言っているのを聞いて天神ちゃんは自分のせいだと思う。外に出てしまったせいでこんな事になってしまった。大丈夫だと言ってまめだは天神ちゃんの手を引く。だが、人混みでなかなかなにわ橋に近づけない。それを見たらくだが道をあけろと大声で怒鳴った。あの黒駒の若頭がと人が引く。そこをまめだは天神ちゃんを連れてなにわ橋へ。
文狐の船のみながもうだめだと思ったその時に雷鳴とともに天神ちゃんが船の上に。そしてまめだは橋の上から船に飛び降りた。
ようよう落ちて来ました私が初席一番叟で御座います、と東の旅を開始。ようよう落ちて来ましたで掴みは上々だった模様。その後も早口でまくしたてて噛んだりりするから、しららがあーと言う顔をしたものの、客はそのまま引き込まれて行く。そしてとうとう辿り着いた
「その陽気なことー!」
客も笑うが、天神ちゃんも笑う。天神ちゃんが笑ったら天気も良くなる。さっきまでの嵐がウソの様に綺麗な空になった。
終わって高座から降りたまめだはしららに迎えられたものの、うつむいたまま。自分でも出来が良くなかったと分かっているのだが、文狐ははじめの一歩は転んでなんぼとまめだを労ってくれた。
今回は新しい噺は無かったので、しっぽなのしっぽは天神祭についての解説。