新米錬金術師の店舗経営・第8話
冒頭で氷っぽいのが出たので何だろうまた冷却系のアイテム作るのかなと思ったら、サラサがちゃんと魔力制御出来るかのテストだった。テストでそんな近くから見てちゃ駄目なんじゃ。氷は無事に細かく砕かれる。なるほどこれはかき氷になる流れだなと思ったら案の定かき氷としてロレア達に提供される。ヨック村は田舎なので三人ともかき氷は初めてみたいで感動して食べた。
ふふーん、これは行けるね。
サラサ、悪い顔キャラが板についた。
一気に食べると凄く美味しいよ。
そこにアンドレがやって来た。また素材を買ってくれ、そしてポーションを売ってくれと。そしてそのついでに悪い噂を伝えてくれた。
今、村に商人が来てるが、その商人は氷牙コウモリの牙をサラサの店より1割高く買ってる。だから古参の採集者以外はそちらに流れている。どうりで最近氷牙コウモリの牙の在庫が無くなって来ていた。
値付け自体は競争原理なのでとやかく言う筋合いではない。でもこの世界、競争相手と筋を通すのがマナーだそうだ。時代設定的に少し前時代的。
これだけなら単なる筋を通さない競争相手。でもアンドレがそこの様子を見に行ったらその商人が盗賊と何か相談していたのだ。盗賊と繋がりのある商人。盗賊と聞くとサラサの顔色が変わる。
サラサとみんなで今後の話をしてみた。元々サラサは高い値段で買っていた。それを超える値付けをすると赤字になる筈。では何故そこまでして氷牙コウモリの牙を買い集めているのか。
ケイトが契約上どうしても欲しかったのか、相場操作の為なのかと考えたものの、それだと盗賊が絡んで来る理由が無い。
だとしたら怨恨。サラサは恨まれる覚えは無いが、でも社会ってそうじゃないから。別に悪い事をしていなくとも相手が競争相手だと考えて勝手に攻撃的になって来る場合はいくらでもある。
そこにロレアが強く反応した。と言うのも実はロレアの祖父母も盗賊に襲撃されて死んだのだ。サラサだけじゃなかった。
動機は分からないが、当面の対策はどうするか。まずは買取価格をあちらと同じにしよう。信用度はサラサの方がこのヨック村では高い。でも赤字にならないだろうか。それは錬金に失敗さえしなければ大丈夫。氷牙コウモリの牙の錬金程度ならオフィーリアの弟子たる自分なら大丈夫。
ここでケイトとアイリスが驚愕。あのマスタークラスの中でも超有名なオフィーリアの弟子だったのかと。前回会ってるんじゃと思ったら、あの時には誰だか知らないで会っていたらしい。そんなに慌ただしかったんだ。
サラサが相手と同額にしてそれで相手が諦めればそれで良し。さらに値段を吊り上げたら今度はこちらが氷牙コウモリを沢山狩って、氷牙コウモリの牙を売り浴びせる。氷牙コウモリが尽きるのが先か、相手の資金がショートするのが先か。フッフッフッ。
相手は買取価格を5割増しに値上げして来た。さらにアイリスが探る為に牙を売りに行ったら「あっちは苦しくなって来たろう」と呟いたと言うのだ。この後もそうだけど、客相手に不用意な奴。
そう来たのであれば、売り浴びせ作戦だ。サラサは採集者に変装してシンジーニを名乗ってアンドレ達と氷牙コウモリの採集へ。もう手慣れたものでごっそり採集。
シンジーニ、強欲な商人は潰れろとばかりに乗っている。商売は誠実にがうちの家訓だから。ここで初めてサラサは両親が盗賊に殺されたのを明かした。但しロレアには言わないでね。
問題の商人、サラサが未だ音を上げないのに苛立ってるとの事。だから口が軽いって。さらには馬車で牙を頻繁に売りに行ってるらしい。この辺で牙を売るとしたらあのサウス・ストラグ。だったらレオノーラに手を回して買い取りが出来ない様にしておこう。
と言う事でサラサはサウス・ストラグのレオノーラの所へ。確かに商人は売りに来ている。牙は大量に出回ったせいで相場が下がっているのにそれでも売っている。それで気になったレオノーラが調べてみた。
あの商人はサウス・ストラグでバール商会を営んでいるヨク・バール。うわ、あまりにあまりな名前だ。錬金術の素材だけでなくポーションも売っている。ポーションは錬金術師を抱えていないと商売にするのは難しい。ヨク・バールは抱えているのだ。借金を背負わせた錬金術師を働かせている。その借金の背負わせ方がまた汚い。これはもう完全に成敗の対象。その過程で盗賊を使っている。だから盗賊が居たのだ。
サウス・ストラグからの帰り道、サラサは盗賊団に囲まれた。有り金全部置いて行け。サラサは父の言葉を思い出した。人が頑張って稼いだ金を持って行く盗賊は許せない。
盗賊団、今まで駆け出しの錬金術師を襲っていたので錬金術なんぞ容易く殺せると思ったのだろうが、オフィーリアの弟子たるサラサを狙ったのは大間違いだった。サラサによって一瞬にして全滅。情け無用。
売り先とか盗賊団とか失ってしまったヨク・バール、サラサを潰す為にどうもヤバい借金をしたらしい。不良在庫になった氷牙コウモリの牙1万本を買い取って欲しい。値段はいくらでも良い。サラサに僅かばかりの金貨を差し出されて、これでも無いよりはマシと言って売って逃げて行く。
流石に疲れたサラサ。
今回の儲けは被害に遭った錬金術師の救済に使ったそうだ。サラサ、毎回の決算表見るとずっと孤児院に寄付してるので、慈善事業を最初から続けている姿勢が良いね。