« リコリス・リコイル・第9話 | Start | ようこそ実力至上主義の教室へ 2nd Season・第9話 »

異世界薬局・第8話

薬師ギルドでは会長のベロンがお怒り。店に泥を積んだ馬車が突っ込んだのにすぐに復旧しやがって。この冒頭の話だけ聞いていると単なるやっかみに聞こえた。でも後で違った理由が出て来る。ともかくあの薬局は許せぬ。当ギルド加盟者が関係を持ったらその薬局はギルドから追放だ。

ピエールの娘のマリーは相変わらず熱が下がっていない。ピエールが医師の所へ行って扉を叩くも返答なし。ファルマが通りかかってそこは来週までお休みだと教えてやる。ファルマとピエールが面と向かって会ったのは多分これが初めて。ファルマは当然ピエールの素性を知らないし、ピエールはファルマの宮廷薬師の紋章を見て初めてこれが異世界薬局の店主と言う子供かと理解した筈。

異世界薬局と関わりを持った薬局はギルド追放と言うのは聞いていた。だが娘の命に関わる事ならそんな事は言っていられない。ピエールはファルマに一縷の望みを託す事にした。

異世界薬局について行って正面の入口ではなくて、裏口から入れられた。これっててっきりずらっと並んでいる客を差し置いて中に入れると問題になりかねないからかなとこの時は思った。一方ピエールは自分の様な身分だと裏口がお似合いかとこの時思った。でもどちらも違う。ファルマは病気の子から感染するリスクがあるから入口を変えたのだ。

ファルマは を診察台に寝かせてピエールにはマスクをさせた。ここでピエールは病の伝染の事に気がついた。だから表口から入らなかったのか。結構あっさり誤解が解けた。

ファルマは診察を始める。名前とか年齢とかいつから熱が出てるのかとかそうやって細かくメモするファルマにピエールは驚いた。そしてマリーの体重を計る。ピエールがマリーを抱いてる状態と抱いていない状態の差分で体重が分かると言う事だが、その前にピエールはヘルスメーターに驚け。
参考資料

体重が何の関係があるのかと聞いたら、薬の量が変わるからとファルマが答える。自分達は子供は単純に大人の半分の量としていたのに、こんなに細かく調べるのかと驚く。

喉の腫れを診て最後に診眼で脳に症状が出ていないのを確認。そしてファルマは診断を下した。インフルエンザです。と言ってもピエールには分からない。病原体(と言う言葉も分かるのかどうか)によって引き起こされる風邪の重い病気みたいなもの。でもピエールはそう言われても納得出来なかった。高熱が続き口から泡を吹いたり痙攣したりしたから。子供は高熱でそうなったりするからな。

そう言ってファルマは引き出しからザナミビルを取り出した。所謂リレンザ。抗ウイルス薬。熱が出てから未だ一日程度だから。それにしても以前は分子量の大きい薬は思い出すのが困難で精製が難しいとか言っていたのに。もうリレンザを用意してたの?あとリレンザはドライパウダーなのでそれを封じる容器がちゃんとしていないといけないが、この世界でそれが作れたのか。ひょっとして神術?

ファルマはピエールに病原体と身体の防御機能が「戦争」してると解説した。それで熱が出ている。だから一概に熱を下げずに、それでいて身体の負担にならない程度にとアセトアミノフェンも処方した。

マリーの容態も落ち着いた。カロナールも一時間程度で効き始めるしリレンザも半日程度で効果が出始めるから。ただピエールからみたらこんな短時間で良くなるなんて驚きだった。一体どれだけ高価なのかと思ったらファルマはパン一つ分だと言う。子供には積極的に薬を処方したいからと。

ピエールは異世界薬局の凄さを知り、それに対して自分の無力さを感じてしまった。そして葛藤を抱える。

また薬師ギルドの会合。ここで初めて異世界薬局のせいで売上が相当落ちたと語られた。皇帝は平民の営業を妨げるなと言ったが、流石に影響ゼロではなかったか。そして売上が落ちると薬局をやり続ける事に支障を来す。

ここで何故かベロンは「木漏れ日薬局」のピエールに意見を求めた。と思ったらピエールの店が異世界薬局に一番近くて一番損害を受けてるだろうと言う理由で。ここでとうとうピエールは率直な意見を述べ始める。一度異世界薬局に言ってみたら良い。あそこに行けば客がもう二度と来なくなるのが分かる。この私の様に!

まるでヴェーヌスベルクにタンホイザーが行ったと言うのをぶちまけた時の様に周囲は驚く。ベロンは激高。所詮は貴族のおあそび。以前貴族は神力に限りがあるからと平民の治療も薬の処方もしてくれなかった。それが貴族だ。そしてベロンの子供は助からなかった。
参考資料

あ、ベロンもただのやっかみだけじゃなかったのか。貴族が自分の子供を救ってくれなかった。だから平民も使える薬師ギルドを作った。それなのに異世界薬局が我々を潰しておいて薬局をやめてしまったらただ焼け野原が残るだけではないか。また平民は救われなくなる。

その点はみんなも賛成だった。だが、だからと言って今のままの薬で良いのか。ピエールは平民を救うには、もし異世界薬局が無くなってしまった時には、その時の為に我々こそが異世界薬局から学まねばならない。今の我々は先人の教えにただただ従って効くかどうか分からない薬を売っている。それで良いのか。

それを遮ってベロンが宣言する。ギルドの方針が気に食わないのなら出て行け。

こうして木漏れ日薬局は廃業した。ただ単に営業免許が奪われただけじゃなくて嫌がらせの襲撃まで受けていた。その様子を見て驚くファルマ。ピエールさんは薬師だったのですか。異世界薬局との関わりをギルドで話したら何もかも没収された挙げ句にこの状態。ああ、奥さんとマリーが。
参考資料

ギルドから追放されてもうこの国では営業出来ない。他国に移ってやり直すしかない。それを聞いたファルマは他のギルドに入れば続けられるのかと聞いて、自分のギルドへの参加をしてはどうかと申し出る。

そして薬局をやり直すピエール。あまりに立派だからてっきり異世界薬局に入ったのかと思ったら別に建てたみたい。それでもこの薬局に人が来てくれるだろうかと不安だったピエールを娘が励ます。開店の扉を開いてみたらそこには大勢の人が待っていた。異世界薬局と同じ薬があるそうよ。うーん、それで来る客ってのはどうなんだ。最初は仕方ないけど。

ピエールは客を向かい入れる。
「ようこそ、夜明け薬局へ」

このエントリーをはてなブックマークに追加

|

« リコリス・リコイル・第9話 | Start | ようこそ実力至上主義の教室へ 2nd Season・第9話 »