リコリス・リコイル・第5話
千束が張り切っている。
今回の依頼は嘗て日本で命を狙われて妻子を殺された男がもう余命も長くないと言う事で最後に日本に一度帰国して見て回りたいと言う事なのだ。その男は大企業の幹部なのでお金もがっぽり払ってくれてミズキも乗り気。
その男性、松下と言う男は筋萎縮性側索硬化症。もう自分では動けない。会話は機械経由。旅の栞を頑張って作ったけど自分では見られないのでクルミがデータ変換した。松下は機械に生かされているんだと言うが、実は千束もそうだと言う。そう言って胸にハートを描く。つまりは人工心臓。これはたきなには初耳でびっくりした。
先ずは水上バスで墨田区周辺を観光。そして雷門から仲見世、浅草寺へ。
同じ頃阿部と三谷は北押上駅の現場に潜入して銃撃の痕跡を探っていた。あんな状態で衝突事故な筈が無いが。
見つかって慌てて地上に出たら千束に見つけて貰った。阿部はあんな子が笑って暮らせる社会が維持されるのなら隠蔽されていても仕方ないと言うけど、その隠蔽をする組織と関係してるのが千束なんだけどね。
観光を堪能している千束達を見てあれだけ動いて何ともない人工心臓とは凄い技術だ。DAのサーバを見てみたいと言うクルミ。でもミカに言わせるとあれはDAの技術じゃない。なるほど、アラン機関か。そうだったか。やけに千束がアラン・アダムスにこだわっていると思ったら、自分が元気に生きていける人工心臓をもたらしたのがアラン機関だったのだ。ただ単に金銭的援助してくれたとかそんなものではなかった。
建設中の円空母(?)を見て松下はあれは知り合いが設計した物だと言う。それを聞いてじゃあ完成したらまた来て下さいよと言うのだが、それに対して松下の返事は遅れた。何かがある。でもまたお願いします、君は素晴らしいガイドだからと言ってくれた。
その後松下は中で休むと言って船内に入ったが、千束もたきなも外に居て良かったのだろうか。片方だけでもそばに居なくて。でもこれでたきなは千束から人工心臓の事を聞けるんだけど。
その水上バスを見ていた男が居た。この次点では北押上駅事件を起こしたあいつかなと思ったけど、違った。
この男、クルミの監視に補足されていた。彼を見てミカはサイレントだと言う。15年前に同じ警備会社で裏の仕事を担当していた。サイレントそのものでミカですら声を聞いた事が無い。北押上駅でギャーギャー言ってた真島とは違うな。
ミズキが追いかけるがやられてしまった。追加のドローンを発進。たきながジンに向かった。松下一行は美術館に来てると言うが、地図は東京駅だ。何の美術館だ。
千束は松下を連れて東京駅の中央線ホームに上がっていた。しかしミカからの連絡を聞いてるうちに松下を見失った。千束が探し回ったら松下は丸の内側の貴賓室前に居た。ジンが来たのだなと。自分の妻子を殺したジンは絶対自分を殺しに来る筈だと。自分には時間が無い。
そして松下は言う。自分の本当の依頼はジンを殺して貰う事だ。君のペンダントの意味も知っている。君には使命がある筈だ。
たきなに加えて千束がジンとの交戦に参加。相変わらず千束は不殺の弾でジンを倒す。そこに松下がやって来た。殺せ、そいつを殺せ。そいつは私の家族を殺した。20年前に。いや、それは計算が合わない。ミカがジンと一緒だったのは15年前まで。20年前に殺しをやったとは思えない。
この依頼は千束を試す依頼?
君はアランチルドレンの筈だ。
でも千束はアラン機関の様に誰かを助ける仕事をしたい。
これで松下が何か気づいた?
でも松下の生命維持装置がシャットダウンしてしまった。この時は外から乗っ取られたのかと思ったが、事の顛末は違っていた。
松下と言っていたのはダミー。末期患者を利用したもの。話していたのはネット経由の別人。それが松下を名乗る人物か。その人物が千束の正体を知って驚いたと言う事は少なくとも千束を試すと言うのはその人物の本心ではないか。だがジンに殺されたと吹き込まれてこの仕事を依頼する、それを仕向けた誰かが居るのだろう。だから千束に良いガイドだと言ってくれたのは本心から。
その頃、真島が一人のリコリスを殺す。
貴重なリコリスが。