天才王子の赤字国家再生術・第4話
ウェイン王太子とロウェルミナ皇女の腹の探り合い。
先ずはウェイン王太子から。春頃に帝国に征服された嘗ての諸国で一斉蜂起が起きるのだろう。ロウェルミナ皇女はそれを阻止したくてナトラ王国に来た。これはナトラ王国内で流通が見つかった武器からの予想。それらが均等に帝位を争っている三皇子の商人に渡っている。均等に。つまり三皇子にはずっと骨肉の争いをして貰いたい者がいる。そしてその間に準備をして蜂起する手はずだろう。
これを自分が知ってナトラ王国に来たと言うのなら、先に自分が兄達に忠告してるだろうと言うロウェルミナ皇女だが、ウェイン王太子は、君はもう既に兄達に諫言したものの、聞く耳を持たれなかったのだろうと突く。そこまで第二皇女の立場は弱いのか。
そこでロウェルミナ皇女は別の手段に訴える。反乱を画策している一勢力をつついて取り敢えず決起させ、それを証拠としようと。
見抜かれましたかと言うロウェルミナ皇女。確かに自分を餌にすべくナトラ王国に来た。三人の兄が共倒れしたら帝位は残ったロウェルミナ皇女に来る...と言うのが分からない。ロウェルミナは第二皇女だと言う。では第一皇女は?あまりにあまりな人間だから誰も帝位継承者と見なしていない?いや、そうだとしたら逆に操れるから都合が良いと思われるのではないか。
ともかくそう言う前提でロウェルミナ皇女はアントガダル侯爵をターゲットにした。東側諸国が帝国に併呑される時に一国だけ裏切ったアントガダルは味方が居ない。だからこそ後ろ盾になる者を模索するだろうと。その時にナトラ王国と交戦させれば良い。でもウェイン王太子が交戦せずあっさりロウェルミナ皇女をアントガダルに引き渡したら?それは無いとロウェルミナ皇女は言う。帝国が弱体化して西側諸国が力を増してナトラ王国に影響する様になると、西側諸国はフラム人差別が激しいのでニニムが危機に陥る。それをウェイン王太子は絶対良しとしない筈だと。読み合ってるな。
ロウェルミナ皇女が弱っちいナトラ王国に居ると知ったアントガダルは軍を発してナトラ王国に攻め込みロウェルミナ皇女を奪いに来るだろう。そう考えてナトラ王国に来たロウェルミナ皇女だったが、ウェイン王太子は先手を打った。
前回ウェイン王太子は書簡を用意しろと言っていたが、帝国のさる高貴なお方は王国に滞在しているが近いうちにアントガダルを経由して帝都に戻るだろうと。ロウェルミナ皇女が向こうからやって来るのならわざわざナトラ王国に軍を発する理由は無い。だからアントガダルは座して待つだけだ。
今ここでニニムが突然扉を開けて大変ですアントガダル軍が侵攻して来ました、なんて事は絶対にありえないとニヤリとするウェイン王太子。
ニニム「殿下!ご歓談中の所を申し訳ありません!」
あれ?アントガダル軍、来ちゃった?
来たのはアントガダル侯爵の息子のゲラルトだった。前回入浴中にこいつが求愛して来て鬱陶しいと言っていた奴。
ウェイン王太子が出迎えに行ってみると、すっかりウェイン王太子を見下した話ぶりで、これにはニニムがおかんむり。ロウェルミナ皇女が居ると聞いてさっそく会いに来たと言うのだ。
なんだこの迷惑な男はと思ったウェイン王太子だが、取り敢えず長旅をして来たのだから身支度を整えては。ロウェルミナ皇女とはその後の宴席をご用意しましょうと言うのでなるほどと納得するゲラルト。
その頃アントガダル侯爵グリナッヘはバカ息子を嘆いていた。だが、これでロウェルミナ皇女が手に入るならそれもよし。そして背後に居るオウルにおまえの帝国打倒計画に乗らずに済むなと言う。おや?アントガダル侯爵を焚き付けた誰かが居るんだな。
なんで来ちゃったんだよと嘆くウェイン王太子。こうなったらロウェルミナ皇女はゲラルトを籠絡して父の反乱計画を暴き、ナトラ王国も後ろ盾にして帝国に凱旋して地位を高めて帝位をうかがうだろうと予測するウェイン王太子。
ロウェルミナ皇女はそんな感じの計画を練っていた。ゲラルトを利用して父のグリナッヘを討伐させようと。ただ、ロウェルミナ皇女の手勢とゲラルトの手勢を合わせても兵力は少ない。そこでナトラ王国軍も動員しようと考えた。
ウェイン王太子もロウェルミナ皇女もお互いの腹を探って計画を立てる。最後に笑うのはこの私だ!
企みを腹に持ちつつウェイン王太子主催のロウェルミナ皇女とゲラルトの為の宴席が開始。ウェイン王太子もロウェルミナ皇女もゲラルトを持ち上げていい気にさせる。図に乗るゲラルトをフラーニャ王女が凄く嫌そうな顔で見ていた。
妙に話がはずんでいる(様に見えて牽制してる)二人を見てゲラルトはウェイン王太子は以前からロウェルミナ皇女との知己なのかと聞いた。ウェイン王太子が帝国留学時代にと言うと、何していたのかと聞いて来て、少しばかり剣の練習をと答えると、ここでゲラルトが乗って来た。
剣の腕に覚えがあると言うのならこの私と一勝負しようと。いいところ見せたかったのだ。
すげー迷惑な話になったなと思うウェイン王太子。自分も立場を守りつつゲラルトにも花をと思ったので同時に剣を落とすかと思ったのに、ゲラルトが勝手に足をもつらせて倒れて剣を落とす。ヤバい勝っちゃった。仕方ない今からでもわざと剣を落とすかと手から剣を離した。
ところがゲラルト、負けを認めないとばかりに剣を拾い上げて剣を落とした(事にした)ウェイン王太子に突っ込んで来る。このままでは負けたのにそれを認めず無防備のウェイン王太子につっかかる卑怯者になってしまう。兎に角回避だ。剣を拾うふりして回避。
回避したらゲラルトが勝手に突っ走ってベランダから転落して死亡。
大変な事になってしまった!
アントガダル侯爵の所には急を知らせる従者が駆け込みゲラルトの死亡を知らせる。ゲラルトの兵はナトラ王国で拘束。それ以上の情報は無い。
迷うアントガダル侯爵グリナッヘ。ゲラルトは事故死なのか暗殺なのか。もし暗殺だとしたらこれを口実にナトラ王国に攻め込める。しかし送られて来た書簡はウェイン王太子名義でロウェルミナ皇女の意向を伝える物。ならば皇女も加担した事になる。と言う事は帝国への反乱計画が皇女には知られていた?
グリナッヘを教唆していたオウル、どうしてこうなったと嘆く。ここでアントガダルとナトラ王国が開戦したら反乱計画前に耳目が集まってしまう。
ロウェルミナ皇女の方はこれで覚悟を決めた。もう帝位は望めないだろう。こうなった以上別の方法で帝国の安寧を図るしかない。自分がどうなろうと。
そして悩むウェイン王太子。どうすんのよ。方策を考える前にロウェルミナ皇女が面会に来た。降参します。ウェイン王太子に全てを委ねます。
ウェイン王太子はアントガダルの情報を元にどうするかを考えた。ガイラン州で兵を動員したら4000程。但しアントガダル軍は練度が低い上に騎馬は少なく歩兵中心。また弱点のある軍との交戦かなと思ったが、ナトラ王国は先のマーデン王国との戦争でもう軍資金が枯渇してるのだ。とても戦争など出来ない。
ウェイン王太子とロウェルミナ皇女の最終目的は戦争をする事ではない。グリナッヘの口から反乱計画を言わせる事だ。
兵を動かさずにどうするか。