ハコヅメ~交番女子の逆襲~・第7話
署をあげてシャブの売人とその情婦を捕まえる。もう特定はしているが、証拠を掴んで逮捕するのだ。その為に薬物班のみならず捜査一課と交番からの応援も要請した。当然その組み合わせだと藤巡査部長と川合巡査、源巡査部長と山田巡査長が動員される。
絶対私達で捕まえようと思う藤巡査部長と川合巡査。だがその理由が違う。川合巡査はこんな奴許せないと言う正義感からだったが、藤巡査部長は成功したら有給申請できるからと。これを邪な思いと思うか、そう言う事が無いと有給申請出来ない職場がブラック過ぎると言うか。
尾行はいつもの四人に任された。なぜ自分がこんな大事な役にと思った川合巡査ではあったが、他の連中がどこからどう見ても刑事なので。そこで川合巡査と源巡査部長、藤巡査部長と山田巡査長がカップルに扮して尾行する。あのパトカーの時と同じ組み合わせか。まあ階級の高いのと低いのを組み合わせるよね。
緊張する川合巡査が折角の尾行欺瞞だったのに、顔が険しい。尾行初めてだし、デートした事ないし。
しかし源巡査部長は背水の陣だった。例の署長の車ご傷だらけにしてもうこれは駄目と言う状況で副署長からこれが最後のチャンスだ、薬物班を手伝って手柄を立てて来い。そうしたら許してやると。
だからカップルらしさを演出する為に川合巡査に手をつなごうと提案したら、え?やだセクハラですと。
一方藤巡査部長の方は自然に山田巡査長と手を繋ぐのだが、しかし口から出て来る言葉が酷い。これで山田巡査長は気がついた。中身は酷いが外見は人間だったのだ。しかも道行く男性共が目をみはる程の。
目標がレストランに入ったので尾行班は路地から見張る。その時に山田巡査長は源巡査部長にこの人(藤巡査部長)と一緒だとxxなんですけどと言う。ここ聞こえない。何て言ったんだ。カットされた?
川合巡査は呑気に刑事ドラマ風にアンパンを食べる。ところがこの時に源巡査部長と山田巡査長が藤巡査部長に対して言い放題だったので、こりゃ怒るなと思ったらやっぱり怒った。最悪藤巡査部長は尾行に失敗しても失う物はあまりない。対して源巡査部長と山田巡査長は後がないのだ。弱い立場の源巡査部長と山田巡査長はワンと語尾につけて犬風に謝罪した。
目標はラブホに入る。当然尾行班もラブホへ。あのカップルで。藤巡査部長と山田巡査長の入った部屋からは目標の声が壁ごしに聞こえた。アレな声でなくてソレな声が聞こえる。ハイテンションな笑い声なので薬物をキメてるのが分かる。
しかし源巡査部長と川合巡査の部屋からは声が聞こえない。だから目標が部屋から出るタイミングを教えろ、こっちも任意同行に入るからと告げた。
しかしいくら待っても源巡査部長の方に連絡が来ない。山田巡査長、源巡査部長の罠にはまってしまったのだ。これで連絡出来なくなった。そのうちに薬物班の東岩係長から電話。何やってるんだ、もう藤巡査部長は対象を任意同行してるぞと。相変わらず藤巡査部長、悪どい。
シャブの売人と情婦を勾留したものの、黙秘を決め込んで全く証拠が掴めない。そこで「人たらし」の定評が高い源巡査部長が指名され、その補助に川合巡査が動員された。女性の取り調べに男性が入ると、セクハラどうのと言いがかりを付けられる時があるので、必ず女性の補助を付けるのだそうだ。
刑事課長曰く、源巡査部長はこれしか能がないのでツケを払わせろ。
最初は副署長の態度から署長かと思ったけど、そう言えば署長は朝礼の時に見て違うよね。先輩後輩の関係らしい。
さて、人たらしの源巡査部長、貝のごとく口も心も閉ざしている売人情婦に世間話から入って言った。そうなんだろうなとは思ったけど。お母さんもきれいな方なんですか。お母さんに似てると言われませんか。美人親子なんだ。川合巡査曰く心のシャッターガシャガシャ開けてる。
とは言え、身上調査書が分厚くなって副署長から責められる。
刑事課長からは絶対落とせよと睨まれる。
なのに何日経っても源巡査部長は身の上話しかしていない。段々身の上話も深くなって行った。売人情婦も大変な人生を送っていた。そして意外な事実。売人情婦の息子がどうも学校でイジメを目撃して間に入ろうかと彼女に相談したが、売人情婦はそれをやったら今度はあんたがイジメられると止める。だが、売人は違った。正しいと思う事をしろ。それで教師やクラスメートがおまえを守ってくれないならそんな学校やめちまえ。いざとなったら教師を含めて全員俺がボコボコにしてやると言うのだ。ありゃ、この辺はいいやつなんだ。
こんな話を聞かされた川合巡査が堪えた。あんな良い人達なのに、麻薬の売買で逮捕へ向かうなんて。でも藤巡査部長の方は明確な線引をしていた。麻薬で身を持ち崩す人も出ればその金が暴力団に流れる。そこはどうあっても赦す事は出来ない。腹をくくるしかない。
だからこう言う突き上げ捜査(組織的犯罪を捜査する為に、末端から突き上げていく捜査だそうだ)には全戦力を注ぎ込み、聞き出せない取調官には幹部から強いプレッシャーがかかる。それで心を病む取調官はザラなのだそうだ。
川合ちゃん、今日は何日だったっけ。3月8日、勾留最終日ですと聞いても源巡査部長はそうかそうかとしか言わない。
最終日でも源巡査部長は世間話しかしない。これでは源巡査部長の立場がと思った川合巡査が我慢出来ずに口を挟んだ。売買ルートを言ってくれないと麻薬で苦しむ人がまた出る。今まで聞いてあなたがそれを望むとは思えない。
だが源巡査部長は川合巡査を止めた。ゆかりさんに聞くつもりなかったから。好きな男の事を警察に話すなんてゆかりさんには出来ないでしょ。
でもこれだけは約束して欲しい。これからは麻薬と手を切って息子とお母さんを幸せにしてと。
川合、今日って何日?(また聞く)
3月8日です。
ここで落とすかー!
「知ってる全てを話します」
面会に母と息子が来た。お母さん、お誕生日、おめでとう。
勾留最終日が母の誕生日と知って仕組んだのか。川合巡査が突っ込むのも計算ずくか。
これが人たらしの天才なのか。しかも悔悛させてるし。