ブルーピリオド・第12話・最終回
スケッチブックにオイルをたらしてどんな凄い事がと思ったが、一般人の私にはどんな凄い結果になったのかよく分からなかった。
八虎は絵を進める。自信の無い自分はありのままの姿は恥ずかしい。裸は恥ずかしいから色々な物を身に纏う。そして肌の部分はカンバスの地を出す事でありのまま感を、周囲を盛って背景には奥行きを、人物は着込んだ様子を描いて行く。こうして二日目は終わった。
帰りの上野駅では世田介と一緒になった。世田介君、もう八虎を見ても逃げなくなっていた。その世田介、八虎から自信があるなと言われたのに、自信じゃないよ、上手いのは事実だからって返しちゃう。
そして三日目。頭痛は消えたし蕁麻疹も消えた。あれって一晩で無くなる物だっけ。確かに子供の頃に出て、病院で注射をうったらあれよと言う間に軽快した様な記憶はあるけど。
母が精一杯のお弁当で八虎を送り出す。最初の頃、八虎が描いてくれた自身の絵を持ちながら。後ろでは父が新聞を見ていた。何か言うかなと思ったけど、ここでは無言。
午前中で油画を仕上げる。昼に母の弁当を食べ終わったら隣に世田介がやって来た。もう世田介の方から隣に来てるよ。そして言うのだ、八虎の絵を見た、悔しいと。おお、これは天才君からの賛辞ではないか。世田介にそんな事を言われたら八虎は涙が出る程嬉しいに決まってる。午後はそれを胸にスケッチブックを仕上げる。三日間が終わった。
外で橋田と桑名に会ったが、橋田がこの後ラーメンって言っても桑名と世田介はパス。ところで桑名が荷物が無いのは専攻が違うんだっけ?
後は合格発表を待つばかり。藝大の合格発表と卒業式が同じ日で、八虎は卒業式には出られないけど。
美術室の掃除をしてる途中で八虎は佐伯先生からどうだったと聞かれた。反省はあるけど後悔は無い。それを聞いた佐伯先生はそれなら大丈夫ねと言う顔をした。
合格発表の日、藝大に向かいながら八虎は藝大合格の袋を持つ人を見てビビる。あれって最初は何かのおみやげ袋かと思ったのだが、本物の合格袋なんだ。行く途中で桑名に会ってしまい、二人で合格発表を見る事に。
え?桑名さん、駄目だったの?このまま手ぶらでライブに行く事になった。その時は比較的平静だったけど、ライブ後に泣き崩れていた。
一方の八虎は合格。本当に俺が合格?まさかと思っていたので尚更嬉しい。合格書類を受け取りに行ったら世田介が平然とした様子で合格書類を受け取っていた。八虎は家に合格の電話をしたら母親は勿論だったが、父親が喜びを爆発させている。ああ、八虎の家庭は龍二とは違って両親が応援してくれてたんだっけ。お金はないよとは言っても。
予備校に報告に行くと、大葉先生も大喜び。じゃあ再現絵描いてねとカンバスを渡される。大葉先生自身は何もしてないよって言うけど、この先生あっての八虎の今だよね。感謝してもし足りない。
八虎はそのカンバスを美術室に持ち込んで再現絵を描く。佐伯先生はそれを見て良い絵ですねと目を細める。そこに後藤先生がやって来た。卒業式に来なかったんだから卒業証書を取りに来いと。こいつ、お絵描き受験って揶揄して、そこから変わってないな。本当に合格したんだすげーなおめでとうとか言えないのか。
そうやって八虎を連れ出した後に森先輩がやって来る。本当にいつもすれ違い。でも絵だけはお互いに見ている。八虎の絵を見て素敵な絵だと思う森先輩の声が優しい。
この森先輩が居たからこそ、八虎の全てが始まった。
この作品中で森先輩がとても素敵だった。あのおっとりした喋り方も相俟って。
一方でこれまで見たどの美術部アニメも楽しそうに高校生活を送っていたのに、この作品はスポ根だったなあ。