白い砂のアクアトープ・第20話
新しいエリアの責任者を任されて毎日が忙しいくくる。発注書が来てないから急げと言われ、確かに三日前に言われたのならやっておいた方が良かった。発注書だと数字とフォーマットを揃えれば出せそうな気がするから。数字の根拠を出すのに時間がかかっているのなら仕方ないが。
この場面でくくるが「もう手一杯」と言ってる。明らかに残業が増えている部下から「手一杯」と言われた場合、労務管理としてはそのHELP信号をちゃんと受け取らないとならない。何かを夏凜とか他の営業部の者に回すとか。この時点ではくくるが「はいーーー!」と叫ぶ気力は残っていた。
そしてくくるは生き物成分を補充に水槽へ。櫂がまたパンチでストレス解消に付き合う。そんな所へ空也が来て、近くの湾に野生のイルカが迷い込んでるので作業変わってと櫂に言う。そんな話を聞いたらくくるが飛び出して行くのは分かっていた。分かって空也はストレス解消先を与えたのかも。
ウミやんとくくるは草をかき分けてイルカが迷い込んでる場所へ。ひょっとして漂着して息も絶え絶えかと思ったけど、怪我はしてるものの元気に泳いでいた。その場所には先客としておじいも来ていた。様子を見るのを頼まれたのだそうだ。元気だけど未だ幼い。本来なら母親が近くにいる程の。ひょっとして母と死別したかと言う場面でくくるが当然反応する。それは自分ではないか。だから益々このバンドウイルカにくくるが拘ってしまう。
おじいの意見は元気そうではあるから様子を見てるだけで手を出さない方が良いだろうとの事。ウミやんはうちのスタッフが定期的に見に来ると言っていた。
おじいは時間があったら近いうちにがまがまを見ておきなさいと。愈々解体工事が始まる。あれ以来キジムナーがずっと登場していないので、これで完全に登場しなくなるのだろうか。でもOPには出てるよね。
くくるは風花にバンドウイルカの事を話していた。自分も毎日見に行くと。でも風花は心配だった。くくるがあんなに忙しいのにそんな時間が取れるのだろうか。
翌朝出勤前にくくるは風花と一緒に見に行く。バンドウイルカのバンちゃん、妙に懐いてないか。そう言うのを見せるとくくるが益々関わり合いになりたくなるじゃないか。
だからくくるは昼休みになるのを気にして、12時になった途端に立ち上がってお昼を食べた後に取引先に行ってくると朱里に告げる。取引先と言っておいて実はバンちゃんだろうなとこっちは思うが、朱里まで「え?取引先」って反応していた。
案の定くくるはバンちゃんを見に行って戻りが14時過ぎになる。諏訪が睨むのを横目に座ったら間の悪い事に雅藍洞がイルカの様子を見に行ってくれてありがとうと言ってくるのだ。雅藍洞、多分悪気はなかったんだろうなあ。逆にうちの部署の為に動いてくれてると言うのを見せたかったのかもしれない。
でもこれがきっかけで諏訪と雅藍洞の軽い言い合い。くくるが謝ってそれを止めざるを得ない。
その夜、OHANAでこの噂をする朱里と夏凜。朱里、職場のいざこざが見てると楽しいとか、それってバイトとか完全に傍観者だと言える話なんだけど、ちょっとでも絡むとそうは言ってられない。
この場で夏凜がくくるに自分の仕事に一度集中してみたらと言う。本気でやらないと醍醐味は分からないよと。それはまあ正論ですが。
翌日くくるは諏訪から新エリアOPENのタイミングで水族館で結婚式をやる企画を考えている。ついては企画書を考えろと。この時のくくるの力ない反応に諏訪が気づく。その辺りの目は持ってるみたいだ。ともかくその企画案を持って結婚式の企画会社にプレゼンに行く。
そう言われて結婚式の企画案迄仕事が増えて頑張るくくる。雅藍洞からイルカの様子を海中から見てみないかとふられても、普段と違って乗り気にならないくくる。愈々危うい。
そしてプレゼンの日。企画会社のプランナーの三浦へプレゼン。既に色々やってるのを見せてくれたが、あの雲海の写真いいな。三浦は企画書を見てからいくつか質問をする。水槽前での照明やフラッシュ禁止。じゃあ記念撮影はどうするのか。それは別の場所で。折角水族館での挙式なのに?飾り付けも最低限?プチ披露宴の美味しい魚とは?どれもくくるの検討不足だった。それは分かったが、諏訪はチェックしてなかったのか?
三浦はティンガーラが魚を大事にしてるのは分かった、このプランで魚が結婚式を挙げるのなら良かったのにと、やんわりとダメ出し。
諏訪は貴重なご意見ありがとうございましたで、一度引き下がる。あの反応は想定内と言うけど、諏訪がもっとフォローしておけよ。
プレゼンに行ってるうちに愛梨が来て帰っている。仕方ないよ仕事だったんでしょと言われるけど、その仕事は何の為だったのか。思わずがまがまにタクシーを走らせるくくる。でももうがまがまは取り壊されていた。くくるの嘗ての拠り所だったがまがまが。
くくる、これでぷっつりと折れてしまったか。
翌日10時を過ぎてもティンガーラに来ない。