やくならマグカップも 二番窯・第2話
姫乃が物を整理してたら古い年賀状が出てきて、その中で宛先も書かずに届いていたものがあった。よく見てみたら「なおこ」とあるのでお隣の直子から。手で持って来たんだな。でも「きのうはありがとう」って何だろう。あとで直接聞いてみようと思ったら直子が丁度やって来る。雰囲気から何かおかしいと思ったら、今日泊めて欲しいと言って荷物を持ってる。母と喧嘩して家を出て来たのだ。
直子が来たので例の年賀状の事を聞いてみた。年賀状だから消印が無くても切手部分や下のお年玉部分に年号が入ってるからいつのかは分かる。直子はちゃんと覚えていたが、それを教えるには条件があると言うのだ。
外に出て虎渓公園で桔梗の花を見つけたら教えてあげると言うのだ。そんな訳で外にでて桔梗の花を探したが無い。でも直子はもう既に一つあったよと言う。待って桔梗って花期が6月から9月迄じゃないのか。今はもう秋?。おかしいなと思って足元を見たらマンホールに桔梗の花がデザインされていた。これか。
と言う事で直子はあのありがとうの意味を語る。小学校2年生の頃、学校で好きな鋳物を作りましょうと言われ、最初はコーヒーカップを作っていた直子だったが大きくなりすぎた。その時に直子は気がついた。母が縫い物をしてる時に毛糸の玉を入れておくヤーンボールになるのではないかと。そこで横にぐるっと巻いた様なのを開けてそこから毛糸を引き出せる様にした。でもコーヒーカップしか頭にない他の子達は口を揃えて悉く変だおかしい間違ってると言う。
すっかり落ち込んでしまった直子の所に姫乃がやって来て、すごーい、おもしろーいと言って落ち込んでいた所から救ってくれた。
姫乃はまるで美濃焼みたいな子だよ。
でも姫乃から見たら直子は独創的な子で、その2年生の前の1年生の時(この頃は姫乃が毎年帰省で来ていた)、探検に行くみたいな格好で家を出て行く直子を発見してあとを付いて行ってみたら古い車にダンボールとか付けてコアラ完成とかやっていて面白い子だとその時から思っていたのだ。
仲良しさんの二人、ヤーンボールの思い出話から今でも母は使ってくれていると言うので、直子は母にごめんねとメッセージを送る。