ブルーピリオド・第2話
絵を描く魅力に取り憑かれた矢口は佐伯先生に唆されて進学希望を東京藝術大学にする。でも第一から第三まで全部それにしちゃって担任に呼び出された。もっと真面目に考えろ。お前は成績も良いのだしと。それに親はこれを認めているのか?いや、未だ話してない。
そんな時に佐伯先生が矢口を呼んだ。さ、行きますよ。何かと思ったら矢口が美術部に入るのだ。唖然とする美術部員。そりゃこれまでは不良で名前が知れていたから。でも何だか真面目そうな発言なのでいいやつかもしれんと。
そしてもう夏休みなので佐伯先生から出されるスペシャルメニュー。デッサン7枚、水彩3枚、スクラップブッキング、写真1日1枚、作品1点。大した量じゃないでしょと佐伯先生が言うので矢口が素直に大した量じゃないのかと呟くと、いやいや大した量だからと突っ込まれた。
さっそくデッサンの時間。水差しとかを描く訳だが、素人の矢口に佐伯先生が色々教えてくれる。私は素人の、ちょっとばかし絵を描く人間なのだが、絵の描き方は小学校の低学年の時にちょっと習っただけでこんな体系的なのは一度も習っていない。なんだろう、このブルーピリオドを筆頭にひだまりスケッチとかGA芸術科アートデザインクラスとかスケッチブックとか見る度に「あー私も美術をちゃんと習いたかった」といつも思う。
そして講評。あの森先輩でも佐伯先生からは色々言われる。でも矢口の時は影がちゃんとありますね程度で終わる。そう、家に帰って矢口が凹んだ様に矢口はこの時点では別枠なのだ。まあ仕方あるまい。でも悔しい矢口。そして疲れてベッドで寝てしまったが、そこに入って来た母が鞄からはみ出していた進路志望を見て驚いた。どうしてまた東京藝術大学に。この時点では母も何を思ってるのか程度だった。
夏休みに入って矢口は美術室に行って絵の練習。先生の課題もこなしていく。それが楽しい。次々と絵を描きまくった。いつか親に言わなくちゃと思いつつ。
そして絵を描いて突っ伏してる姿を母は見た。周りにやっくん(八虎)の描いた絵を見た。綺麗な絵。本気だったんだ。
提出したデッサンを見てみんなが矢口のデッサンが格段に成長しているのが分かった。うん、確かにもう素人の絵ではない。急成長してる。でも未だ美術部の中でうまい段階には至らない。そりゃ一ヶ月じゃ。でもあの憧れの森先輩ですら予備校で下から5番目だと知る。一体どれだけ成長しなくちゃ東京藝術大学に入れるのか。
そしてクリスマスが近づいた日。武蔵野美術大学の推薦発表。みんな森先輩の合否が気になっていた。矢口が漫然とした不安を持ってるのはレベルを知らないからだと佐伯先生は予備校の東京美術学院の冬期講習に行ってみるかと言う。矢口どうなんだ。家にお金があまりないんじゃ。
矢口と以前からの馴染みの長身の子。当初は女の子かと思ったけど名前が「鮎川龍二」だそうで、こりゃ男の子か。男の娘とも違うな。いつも学ラン+ズボンとセーラー服+スカートの組み合わせを互い違いにしてる。そして祖母に行けと言われていて日本画のコース。
そこに森先輩が入って来た。昼には結果が出ていたのに来るのが遅くなってたって、それってと思ったら、母がお寿司取ろうって言うので遅くなったのだ。それって合格だよね。
矢口は予備校の冬期講習に行きたいし、次に出す進路志望はちゃんと親のサインを貰わないとならないし。そう悩んでいた矢口は荷物を取りに来た森先輩に親にはどう言われていたのか聞いてみたら、森先輩は小さい頃から描いていたから特に問題はなかった。
そして森先輩からお互いに絵を描いて卒業記念にしようと提案される。森先輩から貰った記念の絵。矢口は卒業式の日まで待っていて欲しいと言う。
八虎は母に絵を描いて渡した。それは母が台所に立つ後ろ姿。それを描いているうちに気づいたのだ。母がどれだけ家庭の為に苦労していたのか。絵を描く事で気づいた。今まで親不孝で、これからも親不孝でごめんなさい。でも芸大に行かせて下さい。こんなわが子を見たらもう泣くしかない。
そして矢口が森先輩に渡したのは森先輩の絵。
森先輩だって泣くしかない。
一気に二年生の一年間を駆け抜けたね。