ブルーピリオド・第5話
八虎、もう受験の年で、もう冬へ向かう。と言う訳で予備校では愈々受験直前の体制となり、クラスをさらに少人数のクラスに分ける。八虎は橋田と桑名と同じクラスになり、先生は大葉先生。
課題として出されたのはイメージ課題。「私の大事なもの」八虎、今までずっと何かを見て描いていたからどう描いて良いのか全く思いつかない。って言うけど、あの「芸術は爆発だ」みたいなのも何かを切り取ったの?
大事なものと言われて八虎は今のこの絵を描くと言う場所へ連れて来てくれた人達の縁を絵に描く事にした。縁は糸。そこで糸を描いたものの、大葉先生の評価はさっぱりだった。次の課題「タイトルをつけ描きなさい」でも思う様に描けない。描くほどにダメにして行く。
学校に行くと佐伯先生から森先輩が来ていたと言うのを教えて貰った。八虎は森先輩のあの大きな絵を見てこの道に入った。悩める八虎に佐伯先生は八虎もF100号で描いてみるかと言うが、八虎はこの時はもっと絵を描きたいからと断った。
次の課題は取材課題。室内を取材して描きなさい。モチーフ課題来たと喜ぶ八虎は時計を主役にしてみた。しかし筆が重い。離れて眺めてみようとして桑名とぶつかるのだが、その桑名の絵を見て飲み込まれてしまった。一方自分の絵は。
そこで八虎はやはりF100号の絵を描く事にした。カンバスってああやって作るのか。それを見てどうなんだと思う八虎に佐伯先生は絵に失敗なんてないんだと言う。
言いたい事を描けと言われて悩む八虎。そろそろ描き始めなくちゃと美術室に行ったら龍二が居た。龍二に誘われて武蔵野美術大学の森先輩の所へ向かう。国分寺からバスとか言っていた。地図を見たけど西武国分寺線の鷹の台駅から徒歩はちょっと距離あるのか。しかも龍二は国分寺の駅まで来て八虎に一人で行けという。
一人武蔵野美術大学に行った八虎は森先輩には会えなかったが、森先輩の絵には会えた。またも森先輩は凄い絵を描いていた。でも祈りって天使じゃなかったのかと思った八虎は気がついた。祈りは祈りなんだ。これが祈りを描くと言う事なんだ。今まで自分は構図の為に描いていた。構図は手段じゃないか。手段を手段で描いていたのだ。
それに気がついた八虎はF100号の絵を完成させる。佐伯先生も感心して大きくなりましたねと言ってくれた。これをスマホに撮って大葉先生に見せる。そりゃあれは持って行けないからね。大葉先生もいいねこれと褒めてくれた。
その後も次々と褒められる。いや、これまるでフラグじゃないか。
そしてコンクール。課題は「食事」。でもここで八虎は詰まった。いや詰まったとは思ってなかったかもしれない。下から3番目だった。だって縁の絵の焼きまわし。鮮度がない。挑戦も工夫も無い。まああの絵はそのとおりだね。まさに焼きまわし。八虎は本当にあれで良いと思ったのか。
また悩む日が来る。好きなことをやるっていつでも楽しい事じゃない。
そこにあの世田介から電話が入るのだ。