先輩がうざい後輩の話・第4話
武田からマフラーを貰ってウキウキの五十嵐だったのに、風邪ひいちゃいました。珍しいよねとか言われていたし、五十嵐自身も一人暮らしはじめて初めての風邪とか言っていたのであまりひかないタイプなんだ。あとから武田がひくけどあいつは普通は風邪にかからなそう。
でもそのお知らせを武田は知らない。桜井や風間達は知ってるのに知らない。グループに入ってないから。だって武田は会社支給のガラケーなのだ。ってのは会社としてまずいんじゃない。直接上司と思われる武田に風邪でお休みしますって連絡が行ってないのだから。企業のメールか企業向けグループチャットで真っ先に報告するものだろう。
ひとりで風邪で寝て心細いと言う所におじいちゃんからLINEが入る。鍋おいしそう。思わず風邪ひいちゃったと返しそうになったが、そんな事をしたらゆるキャンのおじいちゃんみたいにバイクで飛んできそうなのでやめた。でも心細い。
武田は上述のとおりに風邪なんてひかないタイプだからその準備が無いのは分かるとしても五十嵐も冷却枕持ってないんだ。冷凍庫に2~3個は入れとくものじゃないのか。
何か食べなくちゃと言いつつ冷蔵庫を開けてみても空っぽ。今度スーパーで買おうと思っていた矢先だからだそうだ。後で武田に料理上手いと言われる程なので料理出来ないから買ってない訳でもなさそう。じゃあ買いに行かなくちゃって、おい、パジャマにコートひっかけただけで外に出るのか。あと布団から出たら必ず靴下履くんだ。風邪をひいた時はまず足から温めるんだ。
流れ的に武田が来てくれるんだろうとは思ったが、なかなか来ない。五十嵐が愈々買い物にと玄関のドアを開けた時に武田が立っていた。行き違いにならなくて良かった。食べ物買って来たぞ。
武田、これであっさり帰ろうとする。この辺が「まだ」なんですかね。それとも武田の節度なんですかね。その帰ろうとする武田の袖を引っ張って誰か作ってくれたら助かるんですけどって五十嵐ちゃんかわいい。
と言う事で武田がうどんを作ってくれました。最近売ってる麺と汁が別で麺を茹でて汁は別にお湯で割るってタイプじゃないのか。例の月見うどんが好きな五十嵐には良い病人食。
五十嵐が寝てる時にふと部屋の中を見る武田。ここで五十嵐の友達の黒部の顔を知るのかな。
寝てるうちに熱が下がった五十嵐。無事に出社。後から出社した武田がもう良いのか、結構熱出てたからななんて言っちゃうから必然的に武田が五十嵐の見舞いに行った事がバレてしまう。
もっと早く行ってやりたかった、お前が風邪ひいたの俺だけ知らなかったと言ってふと武田はRoftBankの店を見る。これはもうスマホを買うしかないか。でも何買ったら良いか分からないと言う武田に今度の休みに教えてあげると言う五十嵐。RoftBankでスマホ買おうかと言う発想になったのに行ったお店はcodomo。どんな機種って、こう言うおっさんいは身近の人間が持ってる機種と同じのが良いぞ。どうせ分からなくて聞く事になるんだから。
これでいつでも連絡出来るなと言う武田に五十嵐がスマホを差し出す。連絡先交換しないと連絡出来ないでしょと。ほう、連絡先交換ってそうやるんだね。LINEやる友達居ないから全然知らなかったよ。
そしてその姿を黒部に見られる。
その晩、スマホの前で着信を待つ五十嵐がかわいい。
でも着信したのは黒部。見てたんだよ。武田先輩はただの職場の上司。
名前知られましたね。
でも武田からは電話もメールも来ません。
それもその筈、武田はスマホからメールを出せないでいたのだ、昨日の夜から。
五十嵐が会社でスマホを眺めていたら桜井が声をかける。画面を見せちゃったから武田の連絡先貰ったんだねと言われると五十嵐の弁解が秀逸「昨日武田先輩がスマホを買った【らしい】ので」。
Bパートでは武田が風邪をひいて会社を休んでしまいました。
武田はつまみみたいなのとビール飲んで寝ていた。それ病人が食べるものじゃない。夕方になっても下がらない熱。いや、熱って二三日は下がらんだろ。武田レベルだと数時間で下がるのかもしれない。武田も何か買いに行くかと、いや、だから寝てた時の格好にドテラ着ただけでは...いや武田なら大丈夫なのか。
そして玄関を開けたら今度は五十嵐がチャイムを鳴らす寸前だった。
と言う訳でお見舞い返しで来ました。
ネギを切る手際が良いのでやはり五十嵐ちゃんは料理出来る子。五十嵐が作ったのは葱と生姜がたっぷり入ったお粥。めっちゃうめーぞ。こりゃいい奥さんになるな。
自分の風邪がうつったのかと心配した五十嵐だったが、武田がひいたのは柔道の寒稽古で滝にうたれたのが原因らしい。武田が寝たのでボーッと部屋の中を眺めていた五十嵐、あの時のネクタイがちゃんとあるし、武田の寝顔見て思わず接近して、でも髭がゾワゾワで済んで良かったね。
そして治って出社した武田。見舞い来てくれてありがとなと五十嵐に大声で言う武田。何で言っちゃうんですかと恥ずかしがる五十嵐。