GREAT PRETENDER・第13話
君には天賦の才がある、贋作絵師としての才が。
そう言われたシンシアと一緒に暮らしていた頃のトーマス・メイヤー。
勿論最初はメイヤーだって贋作絵師にと言われてはいそうですかとは言えない。だが段々コールマンに説得されて行く。世の中には売買を重ねているうちに所在が不明になる名画が沢山ある。折角の名画が埋もれたままになるのは人類の損失。それをこの世に生み出すのが君の仕事であり、それによって自分も儲かると。
だがそれを生み出した後で本物が出てきたらどうするのか。コールマンはこう言う。誰も君が描いた物が贋作だなどと証明出来ないと。
まあ試しに10枚描いてみてくれ。そうしたら君を新進気鋭の画家として私が売り出そうじゃないかとコールマンはメイヤーの肩を叩いて出て行った。
どうやらメイヤーはコールマンの言葉を飲み込んだ様だ。贋作の絵を描き始める。それによってメイヤーの金回りはよくなり始めた。それ以前のシンシアと肩を寄せ合ってシンシアの為に婚約指輪を「描いた」のとは様変わりして行く。それにしても貧乏画家が婚約指輪を描いてプロポーズするとはなんとも素晴らしいやり方だ。これって以前にもどこかでやられた事があるのだろうか。
メイヤーには新しい住居がコールマンから提供される。これならどんどん描けそうだと言うメイヤーをコールマンが頼もしそうに見ている。しかしシンシアの目は違う。何も言わずに出て行ってしまう。シンシアが出て行った後でコールマンはメイヤーにこう言った。もうあの女はここに入れない方が良い、女のケツを追うよりも君にはなすべき事があると。
そしてある日破局が訪れた。メイヤーはシンシアを食事に誘った。もう既に身なりは貧乏だった時代とは全く違っていた。そして出て来たワインの味にも文句を言う。これなら一番高いワインにすれば良かったと。シンシアはそんなメイヤーにもうコールマンの言いなりになるのはやめて、どうせ利用されているだけだと。だがメイヤーはこっちも利用しているのだからお互い様。さらに続けるシンシアに、もうこれ以上僕の邪魔はしないでくれと言い出す。
「邪魔」
自分はメイヤーにとって邪魔なのか。これでシンシアは完全にメイヤーから決裂した。
その稀代の贋作絵師メイヤーを今回のコールマンからロンドンの雪詐欺計画に使おうと言うのでエダマメはシンシアの指令でメイヤーを探し始める。だがどうやらメイヤーはよからぬ連中に目をつけられていたらしい。酒場でお前がメイヤーを探してるんだって?と悪党どもにたかられた。取り敢えずその時は財布を奪われただけで済んだが、金が無くて何も食べずに戻ったアジトで冷蔵庫の中にあった缶を取り出そうとしたらシンシアがこれは賞味期限切れだと言って取り上げてしまう。
エダマメ、仕方なくメイヤーを続けていると、メイヤーが悪党どもに囲まれているところに遭遇した。一緒にしめられそうになったエダマメ、悪党どもに自分の話に乗ったらちゃんと借金も戻ると説得してメイヤーを連れ出したらしい。
そしてメイヤーを連れて行った場所は、あのシンシアと破局したレストランだ。中で酔っぱらいの女が待ってるから行けと言われてメイヤーは中へ。その席上でシンシアはメイヤーに計画をはっきり告げたみたいだが、メイヤーはもう贋作は描かないと席を立つ。
そんなメイヤーをほだすのは純朴そうな人物をやらせたら詐欺師として一番のエダマメ。メイヤーのところを訪ねて説得する。メイヤーはこの仕事を引き受けない理由を話してくれた。ある日美術館に行くと自分の描いた贋作を一生懸命スケッチしていた子が居た。あの子は贋作を本物と信じて描いている。それに衝撃を受けたメイヤーはそれきり贋作を描くのをやめた。それだけではない。借金をして200万フランで自分が描いた贋作を全部買い戻したのだ。だから今こうして借金まみれになっている。そう言う贋作から離れた人間に贋作を描けと言うのはないだろうと。
しかしエダマメが切り札があの缶だ。中を見てみろと言ってメイヤーに開けさせてみると、中に入っていたのはあの時に描いた婚約指輪の紙片。シンシアが後生大事にこれを持ってる。彼女は詐欺師になったと言うが、彼女の中は何も変わっていないと。そしてあの時のコールマンにやり返してやるのが今回の絵なのだと言う。
これでメイヤーがその気になった。そしてそんなメイヤーにエダマメが提供したのは嘗てメイヤーが使っていた部屋。シンシアと一緒に居た部屋だ。モントーヤの絵を描くのは難しかったが、今度は真作が隣りにある。これなら描けると、メイヤーは必死の形相で贋作を描き始めた。やがてボロボロに疲れ果てながら絵を完成させた。そこにエダマメがシンシアを招き入れるが、彼は長らく筆を取っていなかったのがこんなにも必死になってやった、彼もまたあの時のままなのだと。
お、エダマメさん、アビーに続いて今度はシンシアの過去をほぐしてやるんでしょうか。
一方、コールマンは釣れた。アビーが潜り込んでコールマンからあのフランス人の素性を調べろと言われて、ローランが裏世界専門の業者だと吹き込む。アビーは唾棄すべきやつだと言いながら、それに対してコールマンは立派だと。すっかりアビーが気に入ったコールマンはアビーを膝の上に。やはり若い女は良いなゲヘヘみたいな顔で。
そしてそのアビーに誘導されてコールマンはローランにコンタクトをする。その時にローランはあの絵は裏オークションに流すからもし欲しかったらそこで買えばよいだろうと。本格的に釣れましたな。