紫陽花が咲いている。前回梅雨の話だったし。そして普通救命講習会。そう言うのを今どきの高校ではやるんだ。この後はていぼう部で別の講習がある。暗い顔をした大野先輩と一緒の所をさやか先生に見つけられて、ていぼう部はこっちだよーと招かれる。
何かと言うと、着衣のまま海に落ちた時の事を考えた着衣水泳の講習。なんだかさやか先生が張り切っていて、いや、誰だよあんたw
普段色々面倒くさそうにしている部長も今回は真面目に参加。何しろ生死に関わる事だから。
さやか先生が張り切ってるのは、そもそもさやか先生が大学の時にライフセーバーの資格を取ったからだと言う。本格的な水着着てる。
服を着たまま浮かぶ練習。お手本を部長にやって貰う。未だ6月で水が冷たいと胸の付近に水をかけていた。ソロソロとプールにはいるんじゃないのかなと思っていたが、水で胸部を濡らして冷たい感覚になれておいて、一気にプールにドボン。確かに水に落ちる時ってそう言うものだから。その状態から着衣で水に浮く為の講習。
頭をあげないでリラックスして腕や足を広げて大の字に。息は軽く小刻みにして常に肺に空気が入っている状態にして浮く。基本は救助を待つ事になるから暴れないで浮いたまま助けを待つのだそうだ。
部長はリラックス出来てこのまま寝る事も可能と言うが、寝たら死ぬから真似しない様に。
と言う事迄教えて、では実際に二人一組になって浮いてみましょう。一年生組の陽渚と夏海がペアで、必然的に大野先輩は部長と。陽渚も大して泳げないので海は怖いけど、でも足のつくのが分かっているプールなら大丈夫。大して大野先輩が部長にしがみついている。一番でかいんだから文句なく立てるのに。
ガチガチの大野先輩を部長が支えてなんとか浮いてる形に。そこにペットボトルの浮きを渡す。ペットボトルには安定性をもたせる為に少し水を入れて、それを胸で抱えるのだそうだ。そうなんだ、思わず浮き輪感覚で身体の下に入れたくなっちゃうけど。クーラーボックスを浮きにする時も同じ理屈との事。
さて、ここで先生から新兵器の紹介です。待望のライフジャケットウエストタイプが到着しました。OPとかでみんなが腰につけていたのはこのライフジャケットだったのか。
仕組みとしては中の装置が水を感知すると圧縮されたガスが出て浮き袋を膨らませる。普段はこんなに小さいから装着しやすい。当然ガスボンベなので一度使ったら交換しないといけない。でも陽渚さん、何か聞いてもピンとこない感じ。
ピンとこなければ実際にやって見ればよい。着衣水泳がうまく出来ない大野先輩にやって貰いましょうとご指名。但しボンベは一回使うと交換しなければならないので一人だけ。逡巡する大野先輩だが、自分がここでちゃんとやっておかないと何かあった時にみんなに迷惑をかけてしまう。思い切って飛び込んだ。
あ、さやか先生ヤバい。
ライフジャケットは見事に動作して浮く事が出来た。ああそうか、こうなるのか、浮き輪みたいになるんだ。これは面白いと部長と陽渚と夏海も飛び込んだ。またも巻き添えを食らうさやか先生。
そしてさやか先生は怒り心頭。だって替えのボンベは残り1個しかない。今日無駄遣いしたボンベはちゃんと部費で責任持って補充する様に。1本2000円。やっぱり結構するな。まあ非常時にしか使わないから。
梅雨が明けて久々に晴れ間の釣り。でも雨が多かったので海も濁っていた。穴釣りしたかったなと言う陽渚だが、夏海や大野先輩はこう言う時の方が釣れるものもあると言う。魚は目でも匂いでも餌を感知しているから、餌があったら人間の姿が見えない分警戒が薄れるのだ。
と言う事でアラカブ釣り開始。でも15cm以下はリリースしてねと。さっそく釣れた陽渚だったが、13cm程度しかなかった。と言う事で海に返そうとしたら堤防の上に落としてしまう。ごめんねと拾おうとしたら目の前に大きな鳥が。思わず悲鳴をあげる陽渚。
あたふたしているうちにその大きな鳥のアオサギに海に返そうとしたアラカブを取られて食べられてしまった。折角リリースしようとしたのに横から攫って食べてしまったと憤慨する陽渚。あの鳥嫌い。見た目も怖いし。
部長達も、下手に餌付けしてしまったら良くないから関わらない様にしろと。そう思ったのにまたもリリースしたアラカブを横から掻っ攫われておかんむりの陽渚。だがその陽渚が気がついた。
あのアオサギ、足の指が揃ってない。そして片足に釣り糸が絡まっている。捨てられた釣り糸とかに絡まって足の指どころか片足を失う鳥もいるのだそうだ。自分で取れないから無理に引っ張ってやられちゃうのかな。
取り敢えずこの日は近場で釣り糸とか落ちていないかの掃除をして引き上げる。糸と針を分離して捨てないといけないか。それに糸をそのまま持ち歩くのが邪魔だからああやってまとめる道具ってのもあるんだ。
気になった陽渚はその晩ネットで調べてみたら結構海鳥がそう言う被害に遭っているらしいのだ。そこで翌日みんなに提案。なんとかあのアオサギの糸を取ってやりたい。そりゃ全部の海鳥にそんな事は出来ないけど、目に入ったあれだけは外してやりたいと。何より絡まった糸はほぐしたい。そっちかよ。
と言う事で全部部長が準備してくれた。アオサギ捕獲用の道具。そしてそれをする為の許可も取ってくれた。
陽渚が堤防で釣りをして、三人が網の中に隠れる。するとあのアオサギがやって来た。それを見計らって陽渚が言う「やったー、釣れたー(棒)」。おまえ、アオサギ相手に棒読みかよ。しかもこれっておとりだから餌そのものなんだけど。そんな事とはつゆ知らぬアオサギが興味を示してそちらに注意が向いたところで夏海が飛び出して足を掴み、部長と大野先輩が網でアオサギを動けないように抑えて陽渚が糸を取る。
こうして無事にアオサギは糸を取って貰って飛び立った。