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八男って、それはないでしょう!・第11話

クラウスがヴェルにクルトに代わってバウマイスター家の次期当主になってくれ、これは恐らく王室の望みでもあるだろうと言う。それを聞いたブランタークがよくもまあこの辺境に居て状況証拠だけでそこまで推測出来たものだと出て来る。ここ、ブランタークが都合よく通りかかった訳じゃなかったんだ。

ブランタークとて全部を知っている訳ではない。が、憶測も交えてヴェルに王国の事情を語った。ヘルムート王国の南方には広大な未開地が広がっている。ブライヒレーダー辺境伯領のさらに南のバウマイスター騎士爵領に。王国としてはこの広大な未開地を開拓したら王国の財政が豊かになると思っていたが、代々の無能なバウマイスター騎士爵当主によってそれはかなわなかった。そして次期当主のクルトはその無能だったこれまでの当主に輪をかけて凡庸な上にクズ。そこにヴェルがバウマイスター家に出現したので王室は次期当主のすげ替えを図ったのだ。
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これにはブライヒレーダー辺境伯も当然絡んでいて、例のアンデッド浄化にかこつけてバウマイスター騎士爵家にヴェルを呼び戻す。そして遺品の特定作業が終わる迄と長期に騎士爵領に留める。そのうちに領民はクルトに比べて断然違うヴェルを領主に望む様になるだろう。それを知ったクルトが暴発したらその時にクルトを廃嫡してヴェルに変わらせる。この手順も踏まずに王室がバウマイスター騎士爵領を召し上げたら他の貴族が自分達もいつか口実をつけて狙われるのではないかと動揺するから、誰もが納得するクルトの暴走を誘発させようと言うのだ。

そんな事したら自分が殺されてしまうかもしれなかったじゃないかと言うヴェルに、だからブランタークは、自分はここに来ても一滴も酒を飲まずにヴェルを見張っていたと言う。そう言う訳で、クラウスが話を持ち出した時にもブランタークが都合よく出て来たのだ。

それでも事前に教えてくれたっていいじゃないかと言うヴェルには、だって初めから言っていたらお前は嫌がるだろうと。クルトが暴発してそれを取り押さえられたら追放だろうかと言うヴェルに、ブランタークは貴族社会はそんな甘いものじゃないと言う。まあクルトは処刑だろう。それどころかその子供も禍根を残さぬ様に始末されるのは間違いない。ブランタークは付け加えた。ともかくはっきりしているのはもう動き出してしまったと言う事だ。

ヴェルは気にしていた。水飴をねるねるしながら。その時のエル達との会話からエル達にはあっさり話してしまった様だ。これはちょっと何とも言えない。結果的にはこれで良かったが王室に扇動されたお家騒動にエル達を巻き込む事になるのは、どうなのか。

そこに来客があった。アマーリエが息子達を連れて訪問して来たのだ。甥達と接するヴェルをエルが見て、ヴェルの一番の気がかりはこの二人だったのだなと思った。幼い甥達には何の罪も無いのに。

ヘルマンと相談している時に騒動が持ち上がる。領民が直訴に来たのだ。クルトの領地経営は側近の領民だけに良い目を見させてそうではない領民からは重税を取る。このまま次の領主がクルトになったらもう生きて行けない。だからヴェルに次期当主になって欲しいと言うのだ。それを突如言われても困ると言うヴェル。だが明日にももうヴェル様は帰ってしまうと聞いた、だから今日意を決して来たと。ヴェルはここで驚く。そんな予定は無いと。領民は誰にそそのかされたのか。ブランタークはその後ろにクラウスを見た。

クルトは勿論この話を聞いて激怒した。その取り巻きもヴェルは一体いつまでここに留まるのか、このままではまずいと。

ヴェルは決心した。王室の意向は分かったが、そのとおりの筋書きではさせないと。こうしてヴェルによるバザーなどを介しての撫民が始まる。エル達が作っていたのはマヨネーズだったんだな。てっきり今週はプリンかと思ったよ。そして服や農機具、さらに工芸品など、王都の技術による製品を売る。領民達は今までこのバウマイスター騎士爵領で売られていた粗雑な製品と比べてずっと出来の良い物をこぞって手に取る。

こうなると黙っていられないのはクルトの取り巻きの職人達だった。自分達の物を誰も買わなくなる。このままヴェルを放置して良いのかと。

クルトには訴えたものの、取り巻き三人はもう駄目かもなあとクルトの屋敷から帰る途中で話あっていた。そこにヴェル出現。クルトの取り巻きとして始末されてしまうのかと思った三人だが、ヴェルの魂胆はそうではなかった。
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三人に金を与えて王都での修行を勧めたのだ。三人は職人だったから王都でちゃんとした修行が出来るのなら、しかも資金を出してくれるのならと喜んでヴェルの勧めに従う。これがまた最後に残った取り巻きからクルトに伝わる。どんどん怒りのボルテージが上昇するクルト。

追い込んでおいてヴェルはクルトに交渉に行った。今までのバウマイスター騎士爵領のうちの耕作地はクルトにそのまま安堵して、自分に未開地を継承させてくれと言う。王室の目的は未開地開発だからそこだけヴェルが継承すればクルトはそのままで居られるだろうと言う目論見で。だが、実際には何の役にも立っていない未開地ですら、ヴェルに奪われるのは我慢出来ないクルトは怒ってこれを拒絶。

部屋から出たヴェルはアマーリエに嫌われる提案かもしれないが、これが救いの道だと思ったのだがと打ち明ける。そのアマーリエもヴェルに打ち明けた。そう、アマーリエは画策していたのだ。とは言っても息子達をヴェルと一緒に遊ばせて情に訴える作戦を。自分はどうなってもこの子達の将来を何とかしたいと。それをヴェルに打ち明ける。なんですか、だったら別にヴェルがNTRしてしまえばいいんじゃないですかね。クルトの怒りも有頂天()になるでしょうに。
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そして最後にクルトが主催する村の集まりに誰も来なくなる。最後に残っていた取り巻きも、あの三人同様にヴェルに金を掴まされて王都での修行にと逃げてしまった。

孤立したクルトはとうとう我慢出来ずにナイフを取る。以前は魔法使い相手に襲撃など出来るかと取り巻きを叱っていたのに、その自分の言葉を忘れてしまう程に追い詰められた。だが、ここに協力する者が現れる。あのルックナー会計検査長だ。ヴェルの恩恵にあずかれない、兄も蹴落とせない、ヴェルさえ亡き者にしてしまえばと思うルックナー会計検査長は魔道具をこのクルトに渡すのだ。ドラゴンを操る笛を。

このシリーズ、クルトを廃嫡してヴェルが後継に収まるので終わりなんですかね。

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