波よ聞いてくれ・第7話
最初に白状します。この作品のせいでラジオ買いました。しかも50年前に生まれてはじめて自分用にと買って貰った思い出のラジオを中古で。なんちゅう投資をさせるんやこの作品は。でも今の御時世、防災用にラジオが1台あってもいいよね。ネットは繋がらなくなる可能性があるから。
ミナレのクレイジーな番組を聞いてFAXを送って来た沖進次の部屋へ行くミナレと瑞穂。悪霊退散の為に神主と巫女のコスプレをして。そして入ってみたら大量の御札と、天上から滴り落ちる黒っぽい腐臭漂う液体。この尋常ならざる風景で早速二人は収録を始めた。
危ない状況にミナレは保険をかけた。中原に電話してスタンガンを用意してこの部屋の外で待機していてくれと言うのだ。いや、普通の家庭にスタンガン無いです。そうこうするうちにのたうち回る沖。その様子を瑞穂がはじめの一歩で見た事のある構えっていうんだけど、分からんよwそもそもはじめの一歩って名前は知ってるけどどんな作品なのか知らない。ホントこの作品は自分と社会的生活範囲が違う。ピーカブースタイルと言うらしい。
そして愈々語られる阿曽原律子との関係。律子とは沖が堂ヶ島温泉ツアーで知り合ったスラブ系三世の女性。趣味はマンガと温泉。風貌がメーテルみたいだな。ツアーに参加していた若い人間が沖と律子の二人しかいなかったので何となく話をし始めたと言う。爾来一緒に温泉巡りをする様になったが、恋愛関係には踏み込んでいなかった。
そしてある時、その一歩を踏み出そうとして彼女に告白すると、露天で混浴のとびきりの秘湯に二人で行こうと彼女は応えてくれた。どこにするか。二人は手をつないでダーツを投げてそれが当たった場所に行く事にした。吐き気がする程の恋愛脳とツッコミを入れるミナレ。この場面、それ以上は思わなかったが、実況を見たらダーツの旅だと言われていた。その番組も知らない。
場所は蔵王のかもしか温泉。最初はてっきり架空の温泉かと思ったら実在する。昔は山荘があったものの、雪崩によって崩壊して現在は建物も無く源泉の湯溜まりがあるだけとの事。沖によって語られた様に、火山性硫黄にやられる可能性がある。沖は他の人間が近寄らない様な積雪期の火山性硫黄が溜まりそうな無風の日を選んで律子と登山をしてかもしか温泉に向かった。
現地に到着して服を脱いで愈々と言う時に沖は意識を失った。ミナレは火山性硫黄にやられたんですねとツッコミを入れた。確かに湯溜まりのすぐ近くに噴気孔があるらしい。沖の話では火山性硫黄が溜まる様な時に行ったと言うからその可能性はあるだろう。だが、その後がおかしい。気がついたら沖は村の人に助けられていた。しかし救助した人は女の姿をみかけなかったと言う。ガスにやられたのなら二人ともその場で倒れている筈だが。沖は律子の捜索を試みたものの、杳として行方は分からなかった。
ここでまたミナレが質問する。あなたがFAXで送って来た内容では行方不明ではなくて、律子が死んでいる事になっていると。沖はそこを突っ込まれて、これを書いた時はそう考えたのかも知れないと言う。
話を一通り聞いたミナレは天上から滴り落ちる黒っぽい液体の正体を探りに入る。この部屋は自分の部屋と同じ作りだ、だからここに天井裏へ入る蓋があると。この「自分の部屋と同じ」と言うのがミスリードで、実はミナレの部屋は直上ではなかったんだよね、後から分かるけど。でも以前の酔っ払って自分の部屋と間違えて戸を叩いたと言うから、同じ方向だと思ったんだが。
瑞穂から懐中電灯を借りてミナレは天井裏に入る。そこは蝿が飛び回る空間だった。そしてどす黒い液体がそこら中に。ふと見ると配管に亀裂があってそこから水が漏れている。但しその水は汚水ではなさそうだった。階上の人間が手とか洗った時に流れる排水なのだろう。
だから腐敗の原因は別にある。ミナレは天井裏を移動してそれを探した。転んで腐敗液だらけになりながら。そしてそれは奥にあったのだ。いくつかのビニール袋が山積みになって蝿がたかっているのが。数からして死体を切り刻んだ物を入れたとしてもおかしくない量の袋が。ここでミナレは確信して外の中原に連絡する。踏み込め。その時に瑞穂を人質にとろうとするかもしれないので容赦なくスタンガンをかませと。そしてミナレは警察に連絡。お、受けたのは札幌北警察署だ。ミナレと沖のアパートは札幌の北方面だったのか。
こうしてパトカーが何台もかけつけて沖は逮捕された。聴取の時ににミナレは警察からあれは死体を切ったものだろうと知らされる。
翌日ミナレはこの貴重な体験をボイジャーで中原とマキエに語った。まあ中原は逮捕の瞬間は立ち会ったんだけど、話の中身は知らないから。聞いた話だけなら幸せそうなカップルだったのにと言う中原に、ミナレは想像力とフェロモンが足りないと言って、勝手な想像上の話を語った。
律子がスラブ系だと言うのがポイントだと言う。律子は東側のスパイ(いや、もうヨーロッパには東側無いけど)。沖が薄々気がついたが、それは二人だけになったあの時にとうとう直接聞いたのだ。律子は銃を取り出して沖に照準を合わせる。だが既に情が移っていた律子は銃の照準を合わせられず、その律子を沖が近くの岩で叩き殺した。もう何から何まで無理しかない話ではないか。
そんなミナレに北警察署から電話。これから来てくれと。昼の営業が終わってから行くと答えるミナレ。一方藻岩山ラジオ編集局ではミナレの録音を聞いて、これはこのまま使えないが良いネタだと言う。しかも場合によってはこの番組の宣伝が出来ると言う。何故なら警察沙汰の殺人事件となれば当然ニュースに乗る。そこでこの番組に誘導出来ると言うのだ。え?いきなりブレイクの予感ですか?
でもこの時点でちょっと引っ掛かってた。まず作品的にそんな殺人事件の話が入るだろうか。しかも犯人が沖で。それに沖は自分からFAXで藻岩山ラジオ編集局にこの件の話をして来た。自分からバレる様な事をするだろうか。そして二回目でもうブレイクとか話の展開するだろうか。
案の定そこにミナレがやつれて入って来た。あれはバラバラ死体じゃなかったのだ。腐敗が激しくて最初は鑑識も間違えたがあれは人間の肉ではなかった。マトン。そう、マトン。前回の話を思い出します。新巻鮭を送りつけられて怒ったミナレが電話していた時に以前はマトンを持たせただろうと言われていた。あれか、あのマトンか。しかもそのマトンがやはり量が多くてミナレは床下格納に全部放り込んでいた。それが重さに耐えかねて一階の天井裏に落下。そこから腐敗が始まり、漏れた排水で天井裏全体に広がる。ミナレの下の部屋は空室だったのでその被害に遭ったのは沖だけだった。
と言う訳でミナレはマトンで迷惑をかけた上に、殺人事件の冤罪まで沖になすりつけたのだ。こうしてミナレの番組の収録が始まる。沖を目の前に座らせて。流石にこれだけ自分が原因でしでかしたとあって、今回はミナレのテンションが低く謝罪で始まる。北海道新聞Web版にはこの件は載ったらしい。この事件は全部自分のせいでおきたものだと。そして最後にこの番組のレギュラーにしたい人探しのコーナーと宣言して(勿論、兼嗣も瑞穂もそんな話聞いてない)あの律子の特徴を話して心当たりのある人は藻岩山ラジオ編集局まで連絡して欲しいと話す。謝罪の上で、人探しを電波に乗せた事で沖はなんとか告訴を取り下げてくれるそうだ。
ミナレ、この番組をタオル地みたいな番組にしたいと言っていたのに、ミナレが自身で真綿で首を絞めるみたいな番組になりつつあった。