群れなせ!シートン学園・第4話
キングがボスでなくなってしまったせいでシートン学園の王者の席が空席となり、それを目指して相争う肉食獣の雄達。あんなもの争ってどうするんだと思うジンであったが、色々な噂が飛び交っていた。その一つに勝ち残った者には100年分の餌が手に入るとか。そんなに寿命無いのに。
荒廃したシートン学園だと思ったが、あの超凶悪な先生方が放置している所を見るとこんな状態は未だ未だらしい。
しかし他校がシートン学園を狙っていると言う噂も流れている。最近肉食獣めり込み事件が起きていると言うのだ。ねらわれた学園。
ランカ、料理部は私が守ると。お姉ちゃんみたいに強くなって。実はランカはこの学園に来る時に他種の動物と群れを作ると言う事で姉と言い争いになって来たのだと言う。姉はランカが北の地で寒い時も服を貸してくれた。因みにそんな寒い土地でも狼が大丈夫なのは足の部分にカウンターカレント(対向流)があるからだそうだ。
(多分この図だと何が何だか分からないと思う)
ああ、カウンターカレント、動物生理学で習ったよ。講義で出て来たのは確かアザラシあたりだったけど、狼もなのか。身体の中心は一定の温度を維持しないとならない。一方で足(アザラシの場合はヒレになっている足)は冷たい環境にモロにさらされる。血流が人間の様に普通に流れると足で冷えた血流が身体の中心に戻って来るので身体が冷えてしまう。そこでカウンターカレントがある。
ウォッシュレットで温かい水が吹き出るのは細いパイプを水が流れる時にその周りにある熱源と瞬時に熱交換するから温められる。それと同じ仕組みがアザラシの足にはある。即ち、温かい血液が動脈で足(ヒレ)の方向へ流れ、冷えてしまった冷たい血液が静脈で身体の方向へ流れる時に近接した血管同士でこの熱交換が発生し身体の中心へ戻る血液は温められ、足(ヒレ)の方向へ流れる血液は熱を失う。これで身体の中心の温度を維持する。
これを講義で聞いた時は「へー」と思った。動物は専門じゃなかったが、動物も面白い仕組みを持ってるのだなあと。因みに動物生理学でもうひとつ面白いと思ったのは鳥の肺。鳥は空を飛ぶのでエネルギーを生成するのに大量の酸素が必要であり、血液が肺において効率的にガス交換出来る仕組みを備えている。興味があったら「鳥の肺」で検索してみて。
その噂のランカの姉。近くに来ていた。密かに室内のランカの様子を伺っていた。手下を従えて。こいつか?他校の生徒がシートン学園の肉食獣めり込み事件を起こしていると言う張本人は。久しぶりにランカに会うがランカは覚えているだろうかと。いや、つい最近シートン学園に入ったばかりでしょと突っ込まれる。そして中を見ていたら例によってランカがジンに懐く。辛抱たまらんと突入するランカ姉のフェリル。
料理部の全員が驚いた。だってランカはあんなにちっこい。その姉が異様にでかい。ランカにいつも上着を貸し与えていたせいで寒さに対応する為に巨大化すると言うベルクマンの法則が適用されたのではないかと言うジン。いや、何年かではそこまで巨大化しないだろ。
フェリルはジンをこのチンパンジーめが妹に何をすると凄むが、ジンって意外と豪胆で動じない。チンパンジーじゃねーと。そしてこれまた意外と巨大化にコンプレックスを持っていたフェリルに対して大型化するのは無理もないと言うジンの言葉はちょっと良い印象をフェリルに与えた。
それでもジンと群れになるのは許さんと言うフェリルに対してランカが立ち塞がる。ジンに危害を与えようとするお姉ちゃんなんて嫌いになっちゃうから!ランカにこう言われてショックのフェリルはその場から飛び出してしまった。
ところがあのフェリルをジンが撃退したと言う噂だけがシートン学園に広まる。折しもシートン学園は王者の座を狙って争っている時。フェリルを撃退したジンを倒したら実質王者じゃないかとライオン達に囲まれたジン。この時は例のフェリルがやって来るのかなと思ったら違う。初登場の斑刃イエナ(ブチハイエナ)が弱い者いじめするなと群がるライオンの雄を全部倒す。
翌日の登校の時、イエナは同種のハイエナ達からかっこいーと持ち上げられていたのを、ジンは遠慮なく指摘する。お前、雌だろ。ハイエナ達、分かってはいたけど黙っていたんだね。ジンはいつも情け容赦無く切り込むからなあ。
しかしこれはイエナにとっては心外。自分は雄だと。でもシートン学園で雌は擬人化されて雄は動物のままだからなあ。だから見た目でズバリと雌だと言われてしまう。
ふざけた事を言うと料理部もろともぶっ潰すぞとリンゴを握りしめて潰すイエナだがコアラの握力は1トンと言う都市伝説に基づいたユカリさんがカボチャを握りつぶしてみせた。
イエナが料理部に殴り込みをかけたと言うのは生徒会にも把握されていた。あの一件依頼監視していたからね。早速ミキ会長に連絡が入った。あんな料理部とは言っても、生徒の問題を解決するのが生徒会と立ち上がるミキに、実際今どうなっているのかと映像が入っているので見てみたら…w
雄だと言うのを証明してやるとイエナがズボンとパンツを脱ごうとしていた。ジンがそれを止める。またもジンが嫌がるイエナを剥こうとしているかの様な構図。ミキには刺激が強すぎて倒れてしまった。いや、あんた普段から剥かれているじゃないか。
ジンが止めている理由はそんな部分を見せるなと言う以上の意味があった。だってハイエナの雌にはアレがあるから、見せたって区別にならないのだと。やったやった、つい先日異種族レビューアーズでやった。それで知った。これでもう絶対忘れませんねw
今までずっとイエナは自分が雄だと思っていた。子供の頃に雌みたいな顔と言われていじめられていたが雄だと思っていた。父親にこんな顔嫌だと言った時に、父はイエナにお前は亡くなった母とそっくりな顔なんだ、嫌だなんて言うなと言われて顔の事は気にしなくなっていた。それ以来強い雄を目指していた。
ところがジンのせいで気づいてしまった。家に戻ったイエナに父はなんだ勘違いしていたのかと。父からも言われてイエナは雌である事を受け入れる。雄らしく(何この矛盾)。そして父はこんな事もあろうかとちゃんと女子の制服も用意してあった。