本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません・第6話
サブタイに「会合」と出た瞬間は何だそれと思ったけど、すぐに思い出した。ルッツがオットーと会合するんだった。それを考えた時にマインの熱も下がったと言う。
会合と言うか、面接をひかえてマインによる面接時の心得の教授。まずは見た目をちゃんと整えましょう。人は見た目が第一印象。と言う訳でルッツの髪の毛を簡易チャンリンシャンで洗ってあげる。するとルッツの髪の毛もツヤツヤに。
さらには旅商人になる理由をちゃんと答えられる様に。ルッツはマインはどう言う理由なのかと聞いたらマインは商人になるのは第二希望だと言うのだ。第二希望として商人をあげたのか。この年齢から将来の職業を決めておかないとならないんだなあ。
待ち合わせの広場に早めに行くのも面接の心得ですwマインは前世では司書になるのが決まったところで死んじゃったと言う事は、既にそう言うのをくぐり抜けている。
程なくしてオットーが来たが、別の人を伴っていた。誰だ。オットーからの紹介が無いので先ずはオットーに挨拶。オットーによると彼はベンノと言うオットーの友人にして商人。
ベンノはマインを一目見て驚いた。なんだこの綺麗な髪の毛は。しかしマインはそれを実家の秘伝として教えなかった。さらには髪にささっている物に注目する。それは何だと言うのでマインは簪を引き抜いて見せた。ただの棒じゃないか。そうです、ただの棒です。でもそれで長い髪の毛を纏めている。ベンノ、これだけでマインは普通じゃないと気が付いたと思う。ルッツの髪の毛も綺麗だったからルッツに聞いてみたものの、マインにやって貰っただけと知って「ちっ、ダメだったか」と。
改めてルッツの会合の方へ。いきなり旅商人はやめておけと言われるルッツ。その理由は市民権を失うから。市民権を失ったら今迄都市で享受出来たものを全て失う。例えば水が欲しくなったらどうするか。市民権の無い者が都市の井戸は使えない。では川で?旅先でどこに川があるかなんて分からない。つまりいきなり旅商人になると言う事は、ろくな事前情報も持たずに登山する様なものだ。飲用に使える水場がどこにあるのか分からない、ましてや道を歩いていて分岐点でどっちに行ってはいけないと言う情報も持ってない。登山なら遭難しに行く様なものだ。旅商人はそう言うのを親から引き継ぐ。いきなり参入して来るルッツに誰も教えてくれない。それこそ実家の秘伝。
さらにルッツに対してそうまでして旅商人になってその先はどうするんだと聞く。ルッツがそこまで考えてなかった(子供なんだから仕方ない)が、旅商人の最終目標は市民権を得る事だと言うとルッツは驚く。なんと言う事か、それではルッツの目的は本末転倒ではないか。市民権を捨ててなった旅商人が市民権を得る為にやってるなんて。夢砕かれたルッツは、商人見習いをマインから提案された、商人で何を売るのか、それなら俺はマインの考えた物を何でも作ると宣言。
マインの第二希望も商人だった。では第一希望は?それは司書です。司書とは?本の管理者。それは貴族のする事だと言われてまたもお貴族様めーと思うマイン。そしてそれは容易に叶いそうもないので第二希望の商人になり、紙を商いたい。その紙は動物由来ではなくて植物由来の物。もっと大量生産出来るしコストも下げられる。それを聞いてベンノは驚いた。植物由来の紙だと?
一年後、自分達が洗礼式を受ける時までに植物由来の紙を開発して見せましょう。そう約束してベンノとは別れた。ベンノはこれは自分の所の商人見習いにするしかないと考えた。
大見得を切ったものの、マインは一体どうやって紙を作ろうかと頭を抱えた。家ではエーファもトゥーリもマインが商人見習いの了承を取り付けて来た事に驚いていたし、ギュンターなどは頭から無理だと思っていた。
マインは植物から紙をどうやって作るのかの知識を持っていた。いつそんな具体的なやり方を身につけたんだ。普通は植物を原料にドロドロにした材料をすいて平らにして乾かす程度しか知らないだろ。ともかくそうやって作るのだが、道具が無い。植物を蒸す道具、紙をすく道具。紙漉の道具を描いたのをルッツに見せて作れないかと聞いてみる。
えー、そんな立体的な絵って羊皮紙しかない時代にさらさらっと描いたらもうそれだけで大騒ぎですよ?そもそも立体視に慣れていない筈のルッツも見て何とも思っていないのはどうかと。
ともかく作れそうだけど釘は?と聞き返された。しまったー、(紙作りの)道具を作る為の道具が無い!釘を何とか調達するのをオットーに聞いてみたら簡易チャンリンシャンの作り方と交換と言われた。作り方は秘伝なのでそれ自体を渡すと言う事で交渉成立。オットーの家に行く事になる。
オットーの家に行ってみたらでかい。貧しい人達が住んでいる地区と富める人間の住んでいる地区で建物自体も違うが(何しろ窓がガラスですよ)その中でもでかい。実はオットーは入り婿で、嘗て旅商人だったのが、この町に来て今の妻のコリンナを見て一目惚れ。全財産をはたいて市民権を得て結婚したのだそうだ。その妻の実家がここ。
入ってみたら綺麗な人妻コリンナが出て来た。約束通りにコリンナの髪の毛を簡易チャンリンシャンで洗ってあげる。綺麗な髪になったコリンナを見てオットーがもう辛抱たまらん状態に。マイン、急用を思いついたんじゃないかと。自分をおっぱらいたいんだなと悟ったマインは釘をごっそり貰う事でそこから去る。そしてオットーはこのあとめちゃくちゃ(ry
マインの凄さに舌を巻くベンノだったが、オットーからでも身体は凄く弱いんだと聞いて熱の出方からそれはひょっとしたら「身食い」ではないかと言う。そしてもし「身食い」ならまもなく死んでしまう。マインの病弱ってそんな深刻な問題だったのか。どうやって克服するんだろう。