放課後さいころ倶楽部・第8話
生徒会長にボードゲームの魅力を伝えてめでたく学園祭でのボードゲームカフェの開催を取り付けて、今日は出町柳にオープンしたボードゲームカフェを視察に行く事にする美姫達。
ところが店に入ってみると人が居ない。未だなのかなと思ってよく見ると金髪少女がテーブルに突っ伏していた。彼女が起き上がったので「はじめまして」と声をかけたら、既に見かけた事があるので二度目ましてだと言う。そう、これまでにチラチラ登場していたドイツ少女のエミーリア。ボードゲームカフェの名前は「ゲシェンク(Geschenk)(贈り物/ギフト)」。
エミーリアも9月から美姫達の高校に通う事になると言う。日本に来てボードゲームをやる女の子の友達が居なかったのが、こんなに可愛い子達と一緒になれて嬉しいと喜んだ。何となくエミーリアが綾と通じるものがあると感じる翠。
さっそく何かやってみようと言う事でエミーリアも入れて四人で「ケルト」をやる事になった。ケルトと言えばラテン系やゲルマン系の民族が押し寄せる前にヨーロッパに居た、そしてブリテン島のウエールズにおしやられたと言うケルト人。イギリス系の古い話を絡めた作品には必ず登場するケルト文字とか。このケルトもケルト紋様を取り入れたデザインが施されている。そしてエミーリアの胸のアクセサリーも。
ケルトは四人で囲んでやるにはちょっと向きが一方だけな気がする。扇状に拡がる道をコマを進ませるのだが、進ませるにはカードを出して行かないとならない。カードは同じ色のカードを降順か昇順に出して始めて進める事になる。つまりそう言うカードが無いとコマを進められない。マス上には連鎖のマスやハート型のマスがあり、連鎖のマスに乗るともう一回コマを進める事が出来る。ハート型のマスはそれを手に入れて自分の得点を倍加する事が可能。但し、マイナス点も倍になるので注意。
最初は誰からかと言うと、じゃあ最近アイルランドに行った事のある人からって、おい。エミーリアも翠も連鎖のマスを使って順調にコマを進める。一方で要領を掴めていない綾が例によって遅れを取った。濃い緑のエリアに3コマが突入したのでゲームは終了。その時点での得点を数えてみると、エミーリアが31点。しかし翠がそれよりも高い34点。エミーリアはこのゲームで負けた事が無いと言っていたのに。
美姫がアチャーと思ったが、エミーリアはケルトで自分に勝つ人が居て凄いと喜んだ。
学園祭当日。しかし、ボードゲームカフェがあてがわれたのはひとつだけポツンと離れた旧校舎だった。副会長、ここまで嫌がらせするか。そんな訳で未だだーれも来ません。
そんなボードゲームカフェを目指す男子ありけり。あの翔太。綾の事を好きになってしまった男子。そんな訳で当然綾の居るボードゲームカフェを目指すのだ。その途中で友人の吉岡龍二が女子に囲まれているのを見かけた。剣道馬鹿できまじめなヤツめと、視聴者に紹介しながら旧校舎へ向かう。
ついさっきボードゲームカフェは閑古鳥などと描かれていたのに翔太が近づいた頃には教室から沢山の声が聞こえる。エミーリアが客寄せの手はずを全部やってくれたのだ。先ず美姫達にはメイド服を用意してそれを着せる。そしてそれを校内SNS(クローズドなマストドンかな?w)にうpする。噂の美人転校生のみならず美姫や綾や翠のメイド姿が載ってあっと言う間に客が押し寄せたのだ。そして翠には早々にメイド長などと言う愛称までw
翔太がやって来たのを見かけた綾、大繁盛で人手が足りないと言ってゴキブリポーカーをやってと頼まれた。翔太は一度プレイしたからな。でも男を放り込まれたテーブルの連中が怒るw
そこに何故か龍二もやって来ていた。それを翠が見かけて美姫に手持ちぶさたにしているお客さんがいるから相手してと言うのだ。さらには生徒会の面々もやって来る。ゲッと思った翠はそれも加えて美姫に押し付けた。
美姫はそう言われて龍二によかったらこのゲーム一緒にやりませんかと差し出した。
いや、こんな顔で言われたらどこをどうとっても断れないばかりか喜んでやるだろう、普通の男子は。
美姫が差し出したのはドブル。円形のカードの中に8個の絵が描かれてある。各々のカードはどれか一つだけがどれかのカードと共通の絵がある。プレヤーはカードを一斉に見せ合って、同じ絵のあるカードを指してどの絵が同じなのか指摘しあうのだ。早い方が遅い方にカードを押し付ける事が出来る。
ゲームを開始したら龍二の指摘が他の子達より一歩早い。剣道をやっていて視認性が優れているらしい。だが龍二はこんなの面白いのかと懐疑的だった。と言う事で、ますます龍二がここにやって来た理由が分からない。ボードゲームに興味があって来たのなら面白味を探そうとすると思う。しかし龍二は提示されてこれが面白いのかと疑問を持つのだ。と言う事はやっぱり誰かお目当ての子が居るんだな。そしてそれは声をかけてきた美姫ではない誰かなのだろう。美姫が目当てなら最初に声をかけられた時にドギマギしてる筈だから。
こうして龍二が有利にゲームを進めていたのだが、ドブルの面白味はその後で出現した。先ずは水滴。龍二が思った雫と誰かが思った涙とで名称が違うのだ。そりゃ絵だから人によって解釈は違うだろう。それを踏まえた上で分かる名前を先に言った方が勝ち。龍二はこれにも不満ではあった。そんな曖昧な事で良いのか。そしてさらに進んでそれは起きた。カードを出し合う。そして確かに相手に同じシンボルはある。ある。あるけど、それって何?
指摘しあう僅かな時間で龍二が考えついたのは「にっこりウニ」。ああ、そのトゲトゲをウニと見たか。私はそれを見た時は「金平糖」を思いついた。しかもにっこりとか思いつかないよw これには生徒会長悠人が大笑い。このゲーム、こう言う所に面白さがあったのだ。それでええんよと美姫に言われる龍二。
ふと思ったが、ドブルっていつも同じプレヤーでやると名称は固定されて意外性が無くなるから、一度使った名前はダメとか言う縛りもつくのかな。
ボードゲームカフェ成功。学園祭も成功。副会長、結局会長の言ったとおりかと。