本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません・第4話
今日はマインが料理してみました。トゥーリとギュンターが一口食べてみておいしい!と驚く。それを聞いてエーファも食べてみたら美味しい。この世界では野菜の煮汁を捨てているが、それをスープとして利用したのだ。
ここがちょっと疑問だった。野菜の煮汁をわざわざ捨てると言うのが分からない。食料が大事な時代なのだから少しでも食べられそうなのは利用すると思う。そう思っていたら実況ツイートの中で「食中毒防止の為に捨てる」と言うのを見かけた。煮汁に出る何かがあるのだろうか。
マインの料理が美味しいと言う事が意外な方向に進む。これなら料理人になったらいいんじゃないかと。これを聞いてマインは慌てる。自分がなりたいのはそれじゃない。ところがこれに対する返しが具体的な職業を想起出来なかったせいか「森に行きたい」になってしまう。だから両親は将来の話をしてるのに今行きたい所か、子供らしいなと笑った。
それはそうとしてマインが森へ行くのはトゥーリが真っ先に反対する。それもその筈でマインの身体では到底自力で森へは行けない。誰かに迷惑をかける事になる。トゥーリ達が薪拾いの為に森に行ってるが、それは生活の為のいっぱいいっぱいの作業で、薪を拾わないで誰かをおぶって行くだけの人員なんて割ける筈がない。
それでもマインは森に行きたいのを必死で訴える。以前よりは寝込まなくなった、歩ける様になったと。
そこでギュンターは妥協案の様なものを出した。城門まで問題なく行ける様になってから森へ行くのを認めよう。城門に行くのはオットーからの頼み事をする為。あの日以来、オットーはマインに計算の手伝いをして欲しかったのだ。かと言って子供の労働は禁止されているから(生活の手伝いと労働の境目は何だ。報酬のありなしか)オットーに文字を習いに行く事にしようと。文字も習えると聞いて喜ぶマイン。
こうしてマインの城門通いが始まる。城門では他の子供達も来ていてオットーから文字を習っていた。この世界の文字の数は35種類。この数だとやはり表音文字だ。アニメではキャラが話している名前の様な固有名詞の発音がこの世界の発音と同じかどうかの担保がされていないので何とも言えないが、もし同じだとして以前マインの名前を書いた文字数が4文字だったのでアルファベットの様な表音文字と推定される。言ってしまえば元も子もないが、異世界物だと大抵はラテンアルファベットの置き換えがほとんどなので多分そうなのだろう。但し英語で使うアルファベットは26文字なのでそれより9文字多い。特殊な発音などの為に多いと思われる。例えばドイツ語はアーウムラウトとエーウムラウトとウーウムラウトとエスツェットの4文字が英語より多い様に。因みにロシア語は子音が続くケースが多いのでそれらを表現するのに便利な様にもっと多くて33文字ある。これに近い。
しかし見習いで来てる子達は小さい子だから飽きっぽい。これを察知したマインはオットーに今日はもう此処までにしようと提案。オットーはそんな生ぬるい事で良いのかと言うが、その代わりちゃんと復習して来ないともっとしごくとマインは言う。現代の教育法で臨むマイン。
ところで35文字しか無いのでマインがオットーから「文字を習っている」と言うのは単語の綴りなのだろう。とは言っても英語は発音と綴りが乖離しすぎている特殊な言語で、果たしてあれと同じなのだろうか。普通は発音と大体同じ様に綴ればそうハズレにはならない筈。マイン程の知識があるとオットーから長い期間かけて習わなくてもいいんじゃなかろうか。それとも本来のマインが持っている語彙力が乏しいのを補う為に習っているのか。
こうして少しづつマインは歩いて城門迄行ける様になる。とは言っても何日か通っては何日か熱を出して寝込むと言う具合ではあったが。そしてとうとう5日間通って熱を出さない日が来た。
ここまで来たのなら森に行っても良いだろうと言われたその翌日、折角楽しみにしていたのにマインは熱を出してしまったのだ。マインが漸く森に行ける様になったのはもう春が来た頃だった。
初めて森に行った日、森に到着してからはマインはその場に留まって休憩を取り、その間に子供達は薪拾いに出かける。よし、これでとうとう念願の粘土板作成だとマインは自分で作ったのか木製のスコップを取り出して土を掘り出した。しかし固い。木製じゃね。
少し掘っても期待する粘土層は出て来ない。粘土板を作る為に粘土が欲しくて、だから森に来たがった。城内じゃそんな隙間なかったんだな。残念ながらマインの知識では粘土層がどの辺りにあるのかが分からない。そうこうしてる所へルッツが戻って来て何してるんだと激しく叱責。
ルッツが此処まで本気で怒るのは、マインの身体を気遣っての事で、今日は森に来たそこで大人しく休むと言うのが約束だったのだ。だからそんなに頑張ったらまた熱を出すかもしれない。約束を最初から破るつもりでスコップを持ってきていたマインをだから叱った。
マインはそれを認めて謝る。謝ったのを見てルッツは仕方ないなと、粘土層が欲しいと言うマインの言葉を聞いて湿った場所を選んで掘り始めた。湿った場所=粘土層があるから下に水が染みこんでいない、と言う理屈か。
ルッツのおかげでかなりの粘土が手に入る。これを板状に伸ばす。そしてそこに文字を描き始めるマイン。こんなものが何になるのかと思うルッツに、マインはこうやって色々な事を書き残す事で知識の継承と伝搬になるんだよと嬉しそうに話すマイン。
何枚か粘土板を書いてこれでとうとう本への一歩がと思ったのに、戻って来た他の子供達はなんだこれーと楽しそうに粘土板を踏みつけて行く。まあ何も知らない子供だとやるよね。でもこれはマインには許し難い行為。一体粘土板を作る為に自分がどれだけ苦労して時間をかけたのか。それを一瞬にして台無しにしてしまって、絶対に許せない。
ここでマインの様子がおかしくなる。目の色も変わる。何だろう、何の兆候だろう。この作品は特殊能力は無い物と思っていたのだが。
トゥーリやルッツがマインを宥めて、ルッツがみんなで粘土板を作り直そうと言ったのでマインの怒りも漸く収まった。
粘土板に何を書いたかと言うと、はじめての夜に(この表現にトゥーリは疑問を抱かなかったのか)、未だ自分がマインとして馴染めずに熱をだした時にエーファがマインに語ってくれた物語。それを後にずっと残しておきたいと書いたのだ。
完成した粘土板は家に持ち帰って(これ、マインが持ち帰られる筈がないのでルッツ達が運んだよね。結局はルッツ達に頼らないと粘土板の本は出来ない)、乾燥して固める為にマインは竈の中に粘土板を入れた。
え?それ大丈夫なの?
と心配したらやっぱりダメだった。粘土板爆発。
エーファがマインに雷を落とす。
本作りの道のりはまだまだだね。