色づく世界の明日から・第9話
撮影会を重ねて写真を撮る面白みを感じる様になった瞳美は、将におすすめの撮影スポットをきく。将からどんな物を撮りたいのか、風景か、人間か、動物か、と聞かれてその辺は考えてなかった瞳美が全部ですと答えるものだから、将はだったら一緒に行こうと誘う。うーん、絶好のお付き合い機会を将に与えたね、瞳美。将は机の上にのっている写真に瞳美と唯翔が写っているのを見て思うところがあるみたいだし。
写真を見て思うところがあったのは将ばかりではない。PCで写真を整理していたあさぎも、瞳美と将が写っている写真を見て、しかも将が瞳美を見ているのを見て、やはり将は瞳美の事が・・・と強く思う。
崇福寺の電停(どこだそれ?と思ったけど、これって今年の7月までは正覚寺下だった電停)で唯翔と一緒になった将は、唯翔にはちゃんと言っておかないとと、俺は明日瞳美と写真を撮りに出かけると告げる。この一言で、唯翔も何もかも理解出来るのだが、それでもやはり何故俺にそんな事を言うんだと言うしかない。
瞳美の方は何とも思っていないから、と言うか、そう言う気持ちと言うのが完全に無かった。だから何の躊躇いも無く将と写真を撮りに行くと言うのを琥珀に話す。でも琥珀の方はびっくりだ。いや待って、唯翔といい感じじゃなかったの?それより何よりあさぎが将の事を好きなんだけど。だからと言って口を挟める事じゃない。
将のLINEには瞳美から明日を楽しみにしていますとメッセージが来るが、将は俺も楽しみと返そうとしてそれを消し、ビシビシ行くと部長の顔で返すのだ。
そして当日。撮影が始まるが、その場面を胡桃と千草に目撃された。あれってデート?とか思うものの、その様子はどう見ても写真技術の教授にしか見えない。でも一応この事は内緒ね胡桃が言うと、千草はあっさりとあさぎには言わないと言う。気づいていたのかと驚く胡桃に鈍感ズとは違うと言うのだ。誰だ、鈍感ズって。
一日いっぱい写真を撮っての帰り際の夕暮れ。大浦天主堂(おそらく)の電停でとうとう将が告白する。琥珀に屈託なく将との写真撮影の事を話した位に全くそんな事を考えていなかった瞳美なのだから、これには大衝撃。
驚愕の表情は戸惑いの表情へと変わり、ごめんなさいと言って逃げ出すしかなかった。逃げる途中で転んで身も心も痛みにさいなまれて。夜になっても帰って来ない瞳美に、琥珀は将にどうなったのかと連絡を取ってみたものの、随分前に帰った筈だと。やがて瞳美は帰って来る。しょげかえった子供の様に。夕食もとらず、翌朝の朝食もろくに食べず、昇降口では靴を取り落とす。将の姿を見たら逃げ出す。これはもう何かあったのか一目瞭然。
そして瞳美が言い出すのだ。例えばの話として。いや、その切り出し方は例えばの話しじゃないんだけど。
「琥珀が誰かに好きって言われた事ある? 」
「はい、来たー」
取り敢えずこの話は誰も居ないところで。女子は恋バナ?と寄って来るし男子は天を仰いで嘆く。後からあさぎが教室に入って来て、何事?と言う顔をする。これはもう遅かれ早かれあさぎの知るところとなるだろう。
改めて相談に乗る琥珀は、こればかりは瞳美がどう思うのか次第で、そしてどんな言い方をしたって自分なら傷つく。でもそれはしょうがない。その上で、相手には瞳美の思っている事をきちんと伝えないといけない。まさにその通りだね。
あさぎは将が最近また撮ったらしい写真を貼り出しているのを見て、また行ったのかと尋ねた。昔はよく一緒に撮りに行ったねと言う話から将は今迄のつきあいを感謝するのだが、相変わらず妹扱い。
翌日、やはり部活を休みそうな瞳美のにあさぎが話大丈夫?と話かける。だがここであさぎは知るのだ。瞳美があさぎに好きな人が居るか告白された事があるかと言った時、瞳美が持っているカメラの中にある写真、将が貼り出していた写真と瞳美が撮った写真が同一である事を。だから同時に今の瞳美の悩みも分かってしまう。そして自分にも好きな人が居る。瞳美がどう思っているのかと尋ねるが、瞳美は分からない、好きになる資格も好きになってもらう資格もないと言う。資格とか言っちゃダメだ。だからあさぎはちゃんと考えなくちゃダメ、その人が可愛そうだと言って部活へ。
瞳美は意を決して将を呼び出して、あの時にびっくりして逃げてしまった事を謝る。そして今の自分の気持ちはどうも別の人に向いている様に思える、だから将の気持ちには応えられない、ごめんなさいと。
握手をして別れる二人。
ふられてしまった将だが、彼は屋上で思い切り叫んで気持ちを切り替えるのだ。
唯翔「凄いな、おまえ」
本当にそう。
兎にも角にも将の方はそうなったのだが、問題はあさぎだね。
あさぎにちゃんと答えたよと言おうとした瞳美なのだが、あさぎは自分は将の事が「好きだった」と言って駆け出してしまった。ここで初めて知る瞳美。
鈍感ズの一人はやはり瞳美か。