青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない・第10話
和室の棚はトラップじゃなかった。鳩サブレーだった(ちょっと違う
咲太が家に帰ってみるとかえでが奇妙な格好をしている。笑わないかと言うので笑わないと保証してやるとかえでは制服を着て部屋から出て来た。兄が次から次へと女を取っ替え引っ替えして連れて来るので自分もちゃんと学校へ行く様にしないとと考えたらしい。何とも言えないきっかけだが、かえでが学校へ行く気持ちになり始めたのは良いこと。
無理に麻衣を完璧にこなそうとしなくて良いと言われたのどかは、12テイクもしたものの、OKを貰ってCMの撮影に成功。帰りがけにまた咲太と江ノ島近くの海岸へ。事情が事情だけにこんなに一緒に出歩いて良いのかと思ったが、あとで良くなかったのが発覚する。ともかく、そこで今度は麻衣から預かったチケットをのどかに渡す。次のライブのチケット。チケットを見ながら、アイドルは続ける、そしていつか自分がメインの曲を貰える様に頑張る、そうしたら母だって喜ぶだろうと。これ、フラグだったんだな。麻衣がやるのどかのライブと言う点できっと見せつけられる事になるとは思ったんだが。
マンションに戻ったら車が停まっていた。そこにはのどかの母が乗っていた。のどかを返せ、あなたのマンションに居るんでしょうと言って来る。何%かは当たっているのだが、でものどかの姿の子は麻衣のマンションには居ない。なんだったら見てみるかと言われてのどか母は引き下がった。
梓川家も複雑な家庭事情で、あのマンションに咲太とかえでしか居ないのは、かえでの思春期症候群に母が受け止められず入院してしまったのを父が付き添いに行っているからなのだそうだ。
そしてスイートバレットのライブの日。あれ位のハコを埋めるグループなんだ。のどかは麻衣がのどかの役割をどうこなすのかを見ていたのだろう。麻衣は完璧にこなす。いや、完璧以上に。センターをやっていたづっきーがマイクを取り落としたのをすかさず拾い、そして歌いながらそれをづっきーに戻す。のどかはそれを何あの完璧な子はと言う目で見ていた。
次のシングルのセンターの発表。紙がづっきーに渡されて指名されたのはどかちゃん。ライブが終わってお見送りのハイタッチ。その中でのどかに対して母が手を握って、よかった、とうとうセンターを獲得したと喜んで涙も浮かべていた。
そうなのだ。七里ヶ浜の駅でいつか自分がメインの曲を獲得したら母も喜ぶだろう、安心するだろうと言っていたのに、それをやったのはのどかの姿の麻衣だった。
帰りにのどかは海に行きたいと言い出す。仕方ないなと咲太は付き合うが、海岸に着いたらのどかはずかずかと海の中に入って行った。当然咲太は止める。しかし今日の母の姿を見て自分を必要としていたのは誰も居ない、母も結局は麻衣が必要だったのだと。咲太の方はこんな自分が助けるのを前提として試すのはやめろとのどかを止める。あんたが大切なのも麻衣なんでしょうと言うのどかに、咲太はそれはそうだが、その麻衣が大切なのはお前なんだと返すと、それは嘘だと叫ぶのどか。だって嫌いって言ったじゃないか。
それが嘘なんだ!と叫び返した咲太。
そして証拠を見せてやるとタクシーでマンションに帰り、あの鳩サブレーの缶を開けて見せてやった。そこにあったのは麻衣のトラップではなくて、麻衣がのどかから貰って手紙全部。全部大切に保管していた。私の宝物を勝手に開けないでと、麻衣はそこに来ている。忙しくて何もかもわからなくなっていた頃、のどかが心の底から応援してくれた手紙が自分の救いだったのだと言う。確かに紹介されたばかりの時は戸惑ったが、のどかの飾りのない応援が救いだったのだ。だから、逆にあとになってのどかが無邪気に麻衣を応援していたのは姉に重しになっていたと考えたのは、すれ違い。
泣きながら麻衣に抱きつくのどか。これでもうのどかはどうしても麻衣と同じにならなくて良いんだと気がつく。これで思春期症候群は解消だ。
いや、でもあの「バリっ」って音がして姿が入れ替わるのはちょっと不気味だったな。
あの姿のまま中身が戻るのではないのは、あとで理央と話をした時に、理央が見えていた姿の方が入れ替わっていたからだろうと言われても、バリっはどうなんだ。
のどかが実家に戻って、これで晴れて麻衣とイチャイチャ出来ると思った咲太だったが、麻衣の部屋に行ってみたらのどかが荷物を片付けていた。今度は正式にこっちに麻衣と一緒に住むのだそうだ。母とまた喧嘩したから。
これで麻衣とのイチャイチャ生活はまたお預けかと思った咲太だが、そんな場合ではない。今回やたらと麻衣姿ののどかと一緒にいたのをカメラに撮られていた。
まあいいんじゃないの。麻衣の活動スタイルなら恋人居ますって言ってもそう差し障りが無い気もする。