ひそねとまそたん・第12話・最終回
ミタツ様を臥殿に鎮座させる為には楔女によってミタツ様を眠らせなければならない。それは楔女が永遠にミタツ様の傍に残ると言う事で、即ち生け贄なのだ。樋本は74年前に八重ちゃんとのモンパルナスの約束を果たせなかった。
巫女達には楔女となってミタツ様の生け贄になるのはあの時より気持ちいいと言われていた様だが生け贄は生還していないのだからそのなものは巫女達を納得させる為の言い訳だろう。でもそれのおかげで巫女達はあっけらかんとしていたのだから意味はあった。
樋本はひそねに問う。恋をしたDパイはOTFから拒否されるか吻合を免れなかった筈なのに、それを両立させたひそね、ミタツ様を鎮座させるのと生け贄を助けるのと二律背反をどう考えるのかと。
ひそねは即座に反応した。反応はした。マツリゴトは完遂させてミタツ様を鎮座させる。でも楔女は助ける。そんな事一体どうやってと問い返されてもその方法は何も浮かんでいない。でもとにかく楔女を生け贄にはさせない。
そして儀式中の棗の所へ飛び出す。このまま生け贄になって良いのか。そんな事をしたら私が小此木とねんごろになってしまうぞと。棗はこれが小此木と自分との頂点であんたなんか1ミリも入る隙間なんてないと返すものの、その後で待ってるのは居なくなった棗を放って自分が小此木といちゃいちゃする世界だと言う。それが嫌なら生きろと。
司令室ではマツリゴトを滅茶苦茶にされて憤慨する飯干事務次官。マツリゴトを中断されてミタツ様は降下して行く。兎に角今は離脱するしかないので樋本は巫女達をカプセルの中に誘導した。
実はこの事態の収拾は樋本が棗の代わりに楔女になる事によって行われるんじゃないかと思った。八重の冠を手にしていたので代わりにそれを被り、そしてここで生け贄になる事によって74年の年月を経て八重の所へ行ける、そう言う結末もありなんじゃないかと。でもそれはひそまその物語とは違う終わり方だったよね。
棗が引っ張られた時に鈴を落とす。だから棗の代わりは誰かがやるんだろうとは思った。一方全員がOTFで離脱してミタツ様の外へ。本来の儀式は楔女の犠牲によってミタツ様が眠りについてから尾を結ぶしめ縄を切って臥殿へのお寝返りとなる筈だったが、先にしめ縄を切ってミタツ様を臥殿に落ち着かせようと。
しかし絵瑠がノーマで放ったケーブルは何かに弾かれた様に失敗。まだまだですと意気込んでやって来たひそねがまそたんから放ったケーブルは全然届かない。ひそねらしい。でもそれでも諦めないひそねはまそたんに噛ませる。噛んで切ろうと。単機でなかなか切れないのに絵瑠のノーマも加わって二機で切る事に成功してミタツ様は地上へ。ミタツ様を眠らせるにはこのタイミングで鈴で封じなければならないが、それはあの時に鈴を拾ったひそねがまそたんで突入して封じられた。
まそたんはその隙に逃げてねと言ったひそねだったのに、まそたんの一番はひそねになっていたのだからひそねを置いて逃げるなんて事はしなかった。こうして二人はミタツ様の中に。ミタツ様は山と化した。
マツリゴトが無事に終わったのでOTF特別飛行班も解散。Dパイも各々の基地に戻る事になる。尾長が真弓の連絡先を知りたそうだったが、真弓は本人がちゃんと言って来たらと。一方莉々子の方はキングダムなら連絡先がほしいとか。いいのかそれで。
そして財投には絵瑠が。絵瑠は聞いたのだ。マツリゴトを行う為にわざと財投があんな事を言ったのを。セフレでも良いと言う絵瑠に財投はそう言うものじゃないと言うと、絵瑠はじゃあ何にしたいのかと聞く。財投の答が良かった「大事にしたい」。したいの意味が変わってるけど返事としては最高じゃないか。
飯干事務次官はジョアおばさんに戻った樋本に深々と頭を下げて私のもジョアをと言うが、本当に100万円を要求された。
あれからもう三ヶ月。ひそねは戻って来ていない。いいかげんどうしたんでしょうねと言う莉々子だが、もうじれて迎えに行ったヤツが居るとの事。それはガラケーを買い集めてミタツ様が化した山に登った小此木だったのだ。山頂にあんなに鳥居の並ぶ場所、露見したら登山者が一杯行きそう。そこでがちゃがちゃとガラケーを入れた袋を取りだしたら大きな音とともにまそたんが突進して来た。あっと言う間に小此木が飲み込まれ、どうやら中ではひそねが無事だったらしい。じゃあ三ヶ月どこでどうしてたんだ。
ともかくこうして誰も生け贄にならずにマツリゴトは成し遂げられる。ひそねらしい終わり方ではないか。
と言う事で、ひそまそ、なかなか面白かった。
話は綺麗に終わったしオリジナル作品と言う事なので続編は無いかな。