宇宙よりも遠い場所・第3話
暑そうな駅前で佇む少女。
「軽く死ねますね」
館林=夏の最高気温が日本トップレベルと言うのを思いだしたが、これ、未だ夏じゃない。
前回の歌舞伎町誘惑事件ですっかり株を落としてリーダーまで解任された報瀬。他に手段が無いと言うけど、だからと言ってあれはどうなのかと。報瀬の立てた無計画な計画が破綻した為に新に南極に行く方法を探らざるを得なくなったが、「南極 女子高生」で行ける手段がそう簡単には見つかる訳もない。
あれ?あった?
見つかったのは女子高生タレントが南極観測隊と一緒に行くと言う「南極チャレンジ」と言う企画だった。先を越されたぁと叫ぶ報瀬なのだが、いや、お前の目的は母の情報探しであって後先の問題ではないのでは。
さっそく電話しろと言う報瀬。でも自分で出ない。押し付け合っている間に来客があった。白石結月と名乗る女子学生。それってたった今みつけた南極チャレンジの女子高生タレントではないか。
結月がここに来たのには理由があった。自分は南極に行きたくないからそっちの誰かが代わりに行ってくれと言うものだ。結月は北海道の人間で、寒いところに今更行きたくないと言うのだ。それにしてもどうして報瀬が南極に行きたいのか知られたのかと言うと、あの歌舞伎町の現場に居たのだそうだ。
あの現場に居たから報瀬が南極に行きたがっていると言うのは分かる。しかし家はどうして分かったのか。あの帰りの電車の中に結月が乗っていたのでストーカーしたのか。それとも民間南極観測隊の人達からあれは誰ですかと聞いて小淵沢貴子の娘と聞き、それで住所を割り出したのか。隊員が住所を漏らしたとしたらそれはそれで問題だけど、帰りの電車で一緒だったので取り敢えず館林まで行ってから調べたのか。
チャンスが向こうから転がり込んで来たとテンションが高まる報瀬。もう駄目だこの子w
そこにさらに来客あり。新どさん娘プロモーションの白石民子。白石?そう、結月の母だ。結月が子役の頃からマネージャーをやっていた。そして今回の企画も立てたらしい。その企画書を離せ報瀬w
報瀬達は結月の代わりのアピールをするが、民子は報瀬に対してちゃんと喋られるのかと言うと、報瀬はしどろもどろ。喋りなら私が出来ると日向は言うが民子はルックスが問題と言う。なんだよ、日向ちゃんかわいいじゃないか。そこで折衷案として報瀬と日向の二人羽織って、そりゃ迷走しすぎだろ。
当然お話にならないと民子は結月を連れて帰ってしまうが、民子から条件が出された。結月が南極へ行くのを嫌がっているので、結月を説得出来たら推薦しましょうと(でも推薦すると言うだけで「あの子達を連れて行ってはどうですか?」「はぁ、駄目ですか」でも約束を果たした事になるからなあ)。
と言う事で、三人は結月の宿泊しているホテルの前で待ち伏せして偶然を装って会って話す事に。まあ無理があったし、報瀬達にそんな芝居は無理だけど。
結月はファミレスで勉強をしようとして外に出たのだ。そこなら飲み放題で落ち着けるから。聞いてみたら結月はずっと子役でやって来たので学校での友達が居ない。友達が一人も居ないって最近別の作品でも無かったっけ?
こんな話を聞いてマリが思わず結月に抱きついた。人の相談に乗れる人、何となく話したくなる人って、理屈とは別に居るんだよね。マリはそう言う子だと思う。結月はせっかく高校に入って友達を作ろうとしてRINEの登録もしたのに、お誘いにも乗れないし写メも厳禁。こんな自分の様な気持ちを親友三人で賑やかにしているあなた達には分からないだろうと。
でもこの三人、出会ってから未だ一ヶ月しか経ってない。親友なんだっけ?と。それを聞いて結月は驚いた。
その晩、結月はホテルの窓を叩く音を聞いた。窓の外を見てみると三人が梯子で手を伸ばして来たのだ。こんな高さ危ないと差し伸べた手をマリが掴んだと思ったら梯子が倒れて・・・と言うのは夢だった。
あんな夢を見るなんてと思った結月が携帯を見てみたらRINEで登録した二人が退出してしまっていた。これは悲しい。
そんな時だった。ノックの音が聞こえたのは。ドアを開けたら報瀬とマリと日向。おはよー!と言うマリ達に思わず結月は泣き崩れる。ここに友達になれる子が居たんだ。
結月は母に連絡する。あの三人と一緒じゃないと南極には行かないと。そして四人は立川の「国立極地研究所 南極・北極科学館」へ。
愈々南極へ行くのが現実味を帯びて来たぞ。