Re:CREATORS・第21話
颯太の作り出した物語、それはアルタイルのよく知った駅とよく知った人物。だって彼女がこの駅で命を落としたからアルタイルが生まれたのだ。
「こんにちは、やっと会えたね」
そう言ってアルタイルに近づいて来るセツナ。思わずアルタイルは呟く。こんなのは卑怯だ。きたないぞ。颯太だってそう思う。だが、物語だから許されるって、そうなのか。
セツナはアルタイルに会いたくて、会ってごめんねと言いたくて顕現したのだ。自分が清瀬駅で自殺したからこの世への恨みを呪いとしてアルタイルが生まれた。いや、絵としては生まれていた。でもそれが顕現したのはセツナが死んだから。
被造物にして創造主セツナにこう言われて今まで「余は」などと偉そうに口走っていたアルタイルが女の子になってしまう。こんなやり方はきたないぞと剣を差し出してもそれはふるえない。自分には出来なかったけど世界を許す事があなたには出来ると言われて今そこに居るセツナをこの世界に繋ぎ止めておきたいと思っているであろうアルタイル。
しかしそこに西武線の駅特有の電車の接近警報音がなり始める。そうだ、電車が来るのだ。あの世界を颯太がそのままに作り出したとするならば、その時はやって来るのだ。駅の下り線の男声接近放送が1番線に通過電車が進入する事を告げる。
(あれ?西武池袋線って男声の接近放送が下り、女声の接近放送が上りじゃなかったけ?でも1番線は上り線だぞ)
あなたの世界では私はいてはならないと言うセツナはあの時と同じ様にホームから線路へ。迫り来る西武20000系。セツナを失わせてなるものかとアルタイルは同時に飛び込んでホロプシコン第23楽章を発動。先頭から消えて行く西武20000系。しかもなおも迫る西武20000系。
セツナを失った0.5秒を変えて世界を作り直すと言うアルタイルい観客の承認力が高まる。そうして世界は作り変えられた。
ウユニ塩湖な世界でセツナから落ちたメガネを拾って渡したアルタイルだが、それを見てセツナは気がついた。このメガネは私の物ではない。このメガネの持ち主に見てもらいたくてアルタイルを作ったのだと。颯太、もうここで泣き崩れてもいいよ。