アクションヒロイン チアフルーツ・第9話
御前は以前から不運キャラだった。あれだ、あんはぴに出たらいいんじゃないだろうか。と言うか花小泉杏みたいな気持ちの持ち方したらどうだ。あのテニスの試合の時って確かブラが外れたんじゃ。それをアキレス腱が限界なのと路子に弁解していた。
だから美甘が追加戦士として御前にも出て欲しいと言った時も自分の不運がヒナネクターに伝搬してしまってはと思ったらしく、裏方で忙しいからと拒否してしまう。
そんな御前を路子は部屋に呼んで舞台に出ようよと説得するものの、相変わらず御前は自分の不運がヒナネクターに伝搬するかもしれないと首を縦に振らない。じれた路子が御前はいつも努力している、一回や二回うまく行かないからって逃げてはダメだと言うが、御前の場合は一回や二回じゃないんだよね。人間、多くの場合は数回ダメだと諦めると思う。
そんな事を言う路子に御前は自分の気持ちが分からないと言って飛び出してしまった。
二人がそんな状態になって愈々興行当日になった。例の花火の演出のある興行なのだが、生憎と天候がよくなり。予報によるとクライマックスの時の降水確率が70%。これを聞いて杏が3割も降らないなんて一流バッター並み」とか喜ぶのだが、御前に必要なのはこの脳天気さではなかろうか。
ともかくその花火の時間が決まっているので演出の元気は今回は特にアドリブ禁止を厳命する。特に紫村さんと果音さんとむらむらちゃん。全部同じだw
こうして始まるチアフルーツショー。お約束の悪役果音と路子が先ずは登場して会場の子供達を脅す。質問の答え次第ではただではおかんぞ、と言って近くの子供に今日は何で来たかと問う。お母さんの車でと答えると路子が怒る。車なんかで来るな、今度は鉄道で来いと。そうだよねー、自家用車なんかに乗ってるから町の鉄道が廃止になるんだよ、良い事言うじゃないか。そうしてその子に悪のきっぷ「悪い子行き」を差し出すのだ。おい、貴重なグッズなので貰っておけw
そして美甘の口を塞いでしまうが、ここで美甘がこっそり団扇で合図をして子供達にヒナネクターを呼ばせる。いいね、この演出。
そこに登場するヒナネクター。でも二人だけ。二人だけだと悪の幹部二人には勝てないのか。だから末那に促されて他のヒナネクターを呼ぶ子供達。呼ばれてヒナネクター全員集合。ついさっきまで悪の手下をやっていた杏も含めて。舞台の上でアクションが始まるのだが、ギリギリのアクションに思わず果音がアドリブに突入してしまいそれに杏が応えてしまうので、思わず元気が灰皿を投げそうになってしまった。そこを路子が介入してうまく抑える。
手はずはうまく行っていた筈だったが。だがここで花火師から電話が入った。雨模様がよろしくなく、10分遅れて打ち上げると言うものだ。さっきアドリブを抑えたのに、今度はアドリブで10分延ばさなくてはならない。舞台にはその合図を送って、杏や路子達が必死にアクションを延ばすのだが、やはりただ単に戦っているだけじゃ物語が動かなくて子供達が飽きて来る。ああ、これか、ここで御前の登場かと思ったのだが、この作品の脚本はもう一歩を用意してくれた。そのうちに雨で濡れたステージで路子が脚を滑らせて転んでしまうのだ。すっかり舞台がしらけてしまいそうになったこの危機。
これでもう御前が黙っていられない。白い布を羽織って急増のキャラ、時空の彼方から来たプラチナムとして舞台に飛び出した。登場だけでは時間が稼げないが、そこはイイ意味でアドリブ。味方でもなければ敵でもない。さらにははつりがお姉様と言って抱きつく。私はお前の姉ではないと揉めているうちに元気に花火師から電話が入った。今から打ち上げると。ああそうか、前回からどうするんだろうと思っていたのだ。いくら大体の時間が決まっているとは言っても打ち上げと同時なんて出来ないだろうと思っていたが、ああやって御前が話を通した事で向こうからタイミングを連絡してくれたんだ。
時は来た。プラチナムははつりを突き放してお前達に力を与えたのでそれで戦うが良いと言って舞台は転換。背景の絵がでかいなあと思っていたらそれを倒して山が見えてその背後から花火が上がる。見事に今回の演出は大成功。
御前も参加したし。