メイドインアビス・第13話・最終回
素晴らしい1時間スペシャルの最終回でした。
ナナチはレグの火葬砲を見てある決意をした。そしてそれをレグに頼む。
ミーティを殺してくれ。
ナナチは以前は寒い地域の孤児だった。そこでの生活を何とかしたいと思っていた所へボンドルドはやって来た。アビスへの冒険を望む者は集まれと。今の苦しい生活から抜け出す為にナナチはボンドルドについて行く。ボンドルドが集めた子供達の中にミーティが居た。ミーティは元気な女の子で、それがかえって他の子達には鬱陶しがられていたが、ひとりで孤立していたナナチの所にもやって来て、やがて二人は仲良くなる。
ボンドルドの所に集められた子は一人、またひとりと、順番に名前を呼ばれて外に出て行く。どうもアビスへと連れて行って貰っているらしい。ナナチとミーティは二人だけになるまで呼ばれなかった。そしたある夜、ミーティが呼ばれて連れ出された。
ナナチはミーティがどうしたのか気になって外に出てみるとボンドルドの話し声が聞こえる。ボンドルドの隊員がこんな事をして人道的にどうなのかと言うのに対して、ボンドルドは大丈夫です、私はあれらを人間として運用していないのだからと。
完全にモノ扱いだ。それはつまり何を意味するのか。先に連れて行かれたミーティが何をされているのか。ナナチが走ってミーティを探し回ったが、探し当てた場所にはミーティが檻の様な物の中に入れられているのを見つけた。驚いたナナチに、ボンドルドは丁度いいタイミングだ。君もあの片方に入り給えと入れる。
二人は並んだ籠の中に入れられる。そしてボンドルドは今回の「実験」の主旨を話す。二人同時に上昇負荷を与え、片方にもう片方のアビスの呪いを押し付ける実験だそうだ。
こうして二人は深界六層にまで一気に落とされ、そしてその籠は再び上昇を始める。自ずと上昇負荷が二人を襲う。だがボンドルドの実験装置によってナナチのアビスの呪いはミーティへ押し付けられた。激しく苦しむミーティは耐えながら、そして最後には殺してと呟く。
苦しみに耐えかねて死にたくなったのか?
いや、違うのだ。
アビス信仰と言うのがある。それはアビスで死んだ冒険者の魂は死んだ後に一番親しい相手の所へ戻ると言うものだ。ミーティは死ねばナナチとまた会える。
呪いの押し付けによって人間性を喪失する。あのレグが見た姿だ。意思の疎通も全く出来ない。だがアビスの呪いは二重に受けた筈で、それは「死ねない」身体になってしまうと言う結果をうんだ。ボンドルドがある日ナナチをミーティの所へ連れて行く。ごらん、君の呪いを受けてミーティは死ねない身体になった。何をどうやっても再生して来る。その凄惨な実験を見てナナチは決心する。
ミーティを背負ってナナチはボンドルドの所を逃げ出す。逃げてごめん、もう絶対逃げないと。でもここまで見た限りではナナチが逃げた様には見えなかった。有無を言わさず籠に容れられて有無を言わさず実験体にされた。逃げる事はそもそも出来なかったのではないか。原作にはもうちょっと違う事が描かれているのだろうか。あんなにあっさりボンドルドの所を脱出出来たのも不思議だし。
死ねない身体になったミーティだが唯一ボンドルドが持っていた遺物「枢機へ還す光」で貫かれた片目は無くなっている。それは火葬砲と同じ原理で、だからレグの火葬砲ならミーティを殺せる筈なのだと。
レグは驚いたが、ナナチがミーティを殺してくれと言われた理由は分かった。だがナナチにレグは問う。何も今殺さなくても良いのではないか。しかしナナチはこれまでに散々色々試していた。それは尽く失敗していて、そしてどんな手段を用いても意思の疎通は出来ない。やがていつか自分は死ぬだろう。その後永遠にミーティは苦しむ事になる。こんな火葬砲を持っている相手などもう二度とお目にかかれはすまい。だから今、レグが居る時に頼むだと。
レグは了解した。但し一つだけ条件がある。ミーティが死んだ後もナナチはちゃんと生きる事。リコを助けたその後も生きる事。
お別れの時、ナナチはミーティの周りを精一杯の物で飾ってやる。そしてそれをめがけてレグが火葬を撃とうとする。だがナナチはやはりミーティを殺す事に躊躇した。そして改めてミーティに謝るのだ。それが済んだところでレグは火葬砲を撃ち放つ。
何もかもが消し飛んだ。勿論ミーティも。
この時にはじめてナナチが思い切り泣き叫ぶ。
こっちも泣いちゃう。
火葬砲を撃ったのだから当然レグは二時間は気を失う。夢の中ではライザが食べ物を作ってくれた姿が見えた。そして良い臭い。レグが目覚めてふと見るとリコが目覚めていたのだ。そしてリコがミーティの食事の手伝いをしている。
良かった、リコが起きた。レグは喜んだ。
そしてリコの料理が出来上がった。
今迄のナナチの料理とは全く違って臭いだけでも美味しそう。形だけはどうにかなっていたレグの料理はナナチのそれよりもまずかったのに対して、リコの料理は別格。
一口食べたナナチはそのまま全部食べ尽くしてしまった。食事をしながらリコは、ここにはもうひとり居たんじゃないのかと聞く。ミーティの事など知らない筈のリコなのに。リコが何故そんな事を思ったのかと言うと、毒で気を失っている時に自分の苦しい状態よりももっと悲しそうな泣き声が聞こえて来て、そっちに行ってみると瞳だけが悲しそうにこっちを見ていた。それ以来ずっと瞳と瞳で見つめ合っていたが、ある時焦げ臭いにおいがしたと思ったら女の子の様な横顔が旅立とうとしたのに引っ張られて自分の目が覚めたと言うのだ。
ああ、やはり前回見た瞳はミーティで、そのミーティが最後にリコをすくい上げたのか。
ナナチは二人を傷によく効く温泉へ連れて行く。羽虫が血を吸いに来るからリコを守ってやれよとレグをリコと一緒に入らせる。レグ、機械人形のくせにリコと一緒に入るのを恥ずかしがる一方で、リコが全く無頓着。おまえらちゅーしたくせにまだそんなふわふわした関係なのかよとナナチが笑う。
その後はアビスの底を目指す旅の準備が始まった。ナナチはリコとレグに一緒に来て欲しいと言われて、なー、仕方ないなー、と行く事になった。料理うまいしね。その前にやっておかなくてはならないのはリコの腕から水キノコを外科的に取る事。あれを移植した時に取る時はすげー痛いと言っていたが、やはり普通の痛さではない。まあ今回は生きる為の痛さなので見てられる。
そして深層へ持って行く物の準備。それから上の人達への連絡。自分達はこれから、深層四層を出発すると言う知らせ。それはシーカーキャンプのマルルクやオーゼンに届きさらに上のナット達の所へ。
こうして三人は旅立った。
メイドインアビス、非常に良かった。そもそも設定が面白そうだなとは思って見ていたが話もよく出来ている。情け容赦無いアビスの世界とそこに挑むリコ達。そこにナナチの話も加わっての最終回が素晴らしい。
この先も是非とも見てみたい。