幼女戦記・第4話
帝都の軍大学へ入学して大満足のターニャ。講義にも上々の成績を収め、このまま行けば軍中央での昇進も叶いそうだ。しかし何故講義にまで小銃を持ち込んでいるのかと思ったら、いつ何時でもあの存在Xを消し飛ばせる様にと言う理由だった。理由は分かったが、銃で存在Xは潰せないんじゃないのか。
或る日図書館に居ると参謀本部のゼートゥーア准将が本を取ってくれがてら声をかけて来た。少し話をしたいと言って准将の部屋に連れて行かれる。しめた、これで中央にコネが出来たとニンマリ顔のターニャ。
ゼートゥーアはターニャにこの戦争をどう見るかと問うて来た。ターニャにはそれなりの第一次世界大戦の知識があるからそれに似たこの戦争を見てこれは世界大戦になると答える。世界大戦と言われて興味を持ったゼートゥーアは、何故そうなるのかと重ねて問うた。ターニャは我が帝国は共和国との一対一の戦争ならば文句なく勝てようが、そうなっては大陸での国力のバランスが崩れる、これを連合王国と連邦が黙って見ている筈は無く、結局のところ国力の全てを費やす総力戦になってしまうだろうと答えた。
この時点でも未だ総力戦になっていなかったのか?
では我が帝国はどうしたら良いかと言うゼートゥーアの問いに、ターニャはうっかり正直に自国の消耗を抑えつつ相手の消耗を多くして講和に持ち込むと答えるが、そこまで言ってしまったこれでは敗北主義者に見られてしまうと気がついて、慌てて戦争に勝つ方策を提案した。
それには魔導師大隊を一個組織してそれを機動的に運用して敵軍に打撃を与えた所を通常の軍団が叩くと言うものだった。
あーあ、そんな事を言って本当にその部隊が組織されたらターニャお前がそこに放り込まれるだろうに。ゼートゥーアは非常に面白い提案なのでそれを論文にして提出しろとターニャに命じた。
論文を受け取ったゼートゥーアはこれに基いて魔導師大隊を作って投入する戦争遂行計画を立てる。そして或る日、ターニャと人事部長との席上に同席して人事部が出した幾つものポストの他にこれを渡すのだ。それは即ちターニャに選択の余地は無く、魔導師大隊の大隊長をやれと言うものだ。
だが自分はやっと中尉になったばかりだとターニャが言うと、そんなものはどうにでもなる、取り敢えず編成官として大尉にし、すぐに少佐にする手筈は整っていると言うのだ。
やられた!
あんな提案をしたのは大失敗だった。かくなる上は人選になるべく時間をかけるしかないと考えるターニャ。そうやって出したブラックなw募集要項に予想に反して大量の応募が押しかけ、おかげでこれには時間がかかるぞと思ったターニャの所にある人物が現われる。
ヴィーシャだった。
それにしても確かに第一次世界大戦中のファルケンハインなどは兵を単なる道具の様に戦線に投入したが、このゼートゥーアもそう言う感じだ。幼女のターニャをそんな大隊の隊長にするか。
まさに神の使徒、悪魔だな。