クロムクロ・第19話
温泉旅行の時にカクタスで由希奈を攫ったヨルバは、それをムエッタと勘違いしていた。まあムエッタとミラーサを回収する様に命令されてムエッタを探していたら遺伝子レベルで同じ由希奈がムエッタの反応があった場所に居たのだから仕方あるまい。但し回収して来た由希奈を相当ダメージを受けていると言っていた。あの時にピンピンしていたのにダメージって何だろう。生体情報の一部が取れないから、それをダメージだと思っているのだろうか。そしてそれはミラーサにとっては自分が殺しかけたムエッタの状況と一致してしまう。
一方国連の研究所の方にはムエッタが回収されていた。こちらは事情を知っているから遺伝子レベルで同一でもそれは一致しただけで別人物だと言うのを理解している。ミトコンドリア遺伝子が同じなのはまあ良いとして核の遺伝子まで同じってのは一体どう言う事だ。まさか先祖返りで同じになりましたとか言わんだろうな。そんなのあり得んよ。
ムエッタと間違えられて由希奈が攫われたと知った洋海はじっとして居られない。NASAに電話したり今度は国連事務総長に電話したり。しかしオペレーター室で洋海がどこに電話してるのかが筒抜けってのは如何なものか。
トム達も由希奈奪還をどうするかとグラハムに詰め寄るが、いかんせん宇宙に連れて行かれたものをどう奪還するのかなど思いもよらない。人類にはエフィドルグのトラクタービームの様な宇宙と地球を自由自在に行き来する道具は無いのだ。
さらに由希奈が居ない事でクロムクロが動かせなくなった。こんな状態でエフィドルグが攻めて来たら一体どうするのか。GAUSは単座式にして3体を動かせる様にはしたが。ソフィーは4体目はと聞くが、4体目が出来たところでソフィーを乗せる訳には行かないと言う。ソフィーはフランスに帰らねばならない。
グラハムにもうここへは来るな、自宅謹慎だと言われたソフィーは大いに不満ながら命令には逆らえない。その不満を剣之介にぶつける。雪姫が居れば由希奈はもういいのかと言うが、剣之介だって自力で出来ない焦燥がある。宇宙に行ける行けないの概念があるのか知らないが、そもそもその由希奈が居ないとクロムクロは動かないのだ。
ムエッタの容体ははかばかしくなかった。エフィドルグの生体ならもうとっくに治癒しても構わない筈だがと首を傾げるハウゼン。調べた結果、治癒を司るナノマシンに対して、それを妨害するナノマシンもあのミラーサの剣撃で流し込まれたらしく、それが拮抗して治癒が進まない。そこでハウゼンは剣之介に剣之介のナノマシンを入れてバランスを崩そうと提案する。
これでムエッタは快方に向かう。グラハムは動ける様になったムエッタでクロムクロを動かせるかとハウゼンに聞くと、それは可能だと答える。いざとなったら拘束したままクロムクロに搭乗させて動かそうと言う事か。
剣之介はこの話を聞いた訳でもないが、本能的にムエッタが雪姫と同じだと考えていて雪姫ならクロムクロを動かせる、どうしても手助けして欲しいとムエッタに頼んだ。ムエッタと間違えられて攫われた由希奈を助ける為に。
最初はぶーたれていたムエッタも剣之介のたっての願いで、では自分がクロムクロを強奪した事にして揚陸城へクロムクロを入れようと言う。
クロムクロで揚陸城へ行く作戦は洋海が藁をもつかむ思いで是認した作戦。どちらかと言うと洋海が先頭を切って進めている作戦。荒俣とポーラも洋海の希望を助けるべく、剣之介とムエッタの搭乗の手助けをする。
揚陸城ではミラーサがムエッタ(由希奈)にとどめを刺そうとしたが、中は空っぽだった。そりゃ由希奈はダメージを受けて動けなくなっていた訳じゃないから。でもその端切れは一体どこから掠め取ったのか、由希奈。
これらの動きとはまた別にゼルと名乗る「鬼」がソフィーと接触を図って来る。研究所の中で一番冷静に話が出来そうな相手だと言う事で。
今回、色々な話が動いたな。
あと、ハウゼンさん、一体誰に話をしてムエッタに薬を注入しようとしたの?