甘々と稲妻・第2話
「私とご飯を作って食べませんか?」なにこのプロポーズ
「なんでですか?」盛大なボケ
いや、ひょっとしたらこれが教師の立場を守る高度な返しなのかもしれない。
かわいい顔してもダメです。
小鳥にはお断りした公平だったが、つむぎの朝食や弁当は以前よりもちゃんと料理を考える事にした。あとから自分は味付けが壊滅的にダメと言うのもあってか、焼いたり塗ったりするだけの料理だが、既製品をまるごと詰め込むとか、買ってきたパンを与えるだけとかからは一応脱する。
公平の用意した朝食はつむぎに言わせると「素材の味がする」だそうだw
ところで公平が小鳥に「なんでですか?」と聞いた小鳥の回答は、母が不在がちでこの店のあかりが消えるのを何とかしたいと言うものだった。まあ確かに不定期にしか開いてないお店には自然と行かなくなっちゃうよね。たまに不定期に休むのならまだしも、この雰囲気は開いてる方が少なさそうで。
公平は実に正直にこの件を保坂先生に相談する。保坂先生が年配のまともな先生だったから公平の相談にも騒がずにちゃんと答えてくれた。最近は生徒と校外で関わるのはとやかく言われるけど自分の頃はそうでもなかった、そうやって相談して来るって事はやる気もあるんだろう?と。
ともかく、これで隠れてこそこそやってる、と言う事ではないお墨付きが付いたと思う。
つむぎはこの間の美味しいごはんの事を絵にして公平に見せる。これはどんどん外濠が埋められているって事かな。
公平は今度小鳥の母親とちゃんと話してみようと考えていたが、休み時間に巨大なパンを食べている小鳥を見つけて母親と話をしたいから居る日を教えてくれと聞いた。すると今日は居るから来て欲しいと言う事で、いきなり今日行く事になる。
と言う事でつむぎを連れて恵に行ってみたら小鳥がいらっしゃいませしてる人状態。
ああ、こりゃ母親居ないなと公平にはすぐに分かる。急な用事で出かけたのだそうだ。だったら今日は用無しなんだが、つむぎが黙っていない。母はいないけどごはんを食べて行って欲しい、今日はハンバーグと豚汁を用意しようと思っていると言ったらつむぎがもう絶対ここで食べたいオーラを出す。
仕方ないので今日は特別だからと言う事で食べていく事にする。ご飯の用意はもう出来ていて(但し、水につけた状態)、あとは材料があるだけ。レシピは小鳥母が用意してある。
と言う事で作り始めるのだが、野菜は公平が切ってほしいと言う。公平も不慣れなのだが、時間がかかるから小鳥にも手伝ってほしいと言うと実は小鳥は刃物が怖くて持てない。だから料理をゼロから作る事が出来なくていきおい公平を利用した様な感じになる。でも公平はそこは責めない。出来る事を分担しようと。
と言う事で豚汁作りから始まるが、豚汁ってあんなに材料入れるんだな。私は豚肉は食べられるから豚汁悪くないのだが、いかんせんそれ以外が食べられなくて普通に食べた事がなくて何が入ってるのかよく分からない。よくカレーと材料は同じとか言われるよね。
切った野菜を入れて味噌を少しづつ溶かして味を見て行く。やはり料理は味見しながらですか。味見したら洗剤をご飯とかに入れる事件は起きないよね。
こうして完成した豚汁。つむぎが美味しいと言ってくれるのを見て公平は嬉しくてたまらない。そりゃ愛娘にそんな顔されちゃお父さんまいっちゃいますよ。