クロムクロ・第5話
由希奈の知らないうちに剣之介は同じ立山高校なばかりか同じクラスに編入していた。うん、まあ、その方が話が作りやすいかもしれないが、近世の日本人が現代の高校に入っても知識が全く追いつかないだろうに、どうしてそうしたかね。一応分からない言葉を調べる為の電子辞書は渡されていて、流石に若いからか苦労しながらも使える様になっていた。でも言葉の設定を掘り下げると困った事になると思う。カタカナ言葉はこれは知らない。それは視聴者側も実際にありえる設定も納得出来る。でも現代人が日本語だと思っている明治以降に作られた漢語を剣之介が知る訳が無い。だから「保健」の「先生」は音で聞いても分からないし文字で見てもきっと分からない。そこを突き詰めるとそもそも剣之介はいきなり由希奈と口語で会話なんて出来ない。そこまで行くと話が成り立たないので、妥協点はカタカナ語が境目だろうか。
由希奈が好きな赤鉢巻(赤バンダナ)の赤城(分かりやすいなw)は、剣之介が由希奈の家で一緒に住んでいると聞いて動揺。お風呂でどっきりと聞いて大動揺。
剣之介に現代日本を慣れさせようとしたのか歴史研究会や剣道の部活を見せてやる。しかしあの「天下布武ー!」じゃダメだろw とは言っても普通に近世の日本人に歴史を教えるとしたらどうするかね。剣之介が生きていた時代より後ろの元号は当然剣之助は知らない。ましてやキリスト歴など知らない。そうなると干支で言わなければならないが、これは逆に我々現代日本人が関ヶ原の戦いが干支でいつかなんて頑張って調べないと分からないのでなかなか大変。それから「武士の世の中が終わった」と言う観念が持てるのか。ひょっとして建武の新政の様にまた公家に支配されたのかと勘違いするかもしれない。作中では剣之介はあっさり納得したけど、我々が未来に行ったとして「議会制民主主義などと言う古臭い制度は無くなりました」と言われてすぐに納得出来る?
剣之介の溶け込め無さに心配してオロオロやって来たのが養護教諭の宇波茉莉奈先生。カウンセリングすると言われてもカウンセリングの意味が分からない。「相談役」で一応納得した。
ここにやって来たのがソフィー・ノエル。一応それより前に国連研究所でグラハム少佐から守備隊の4人の紹介をされた時にソフィーがその一人であるのを知って由希奈はちょっと安心していた。何しろトム・ボーデンの言い様が酷かったから。
ソフィーは四字熟語を並べて剣之介を非難する。
いや、剣之介はそんなに外れてはいないんじゃ。
剣之介が何のために戦うのかと聞いて、勿論剣之介は主家の敵討ちの為だと答えるがソフィーは人類共通の財産のアーティファクトをそんな目的に使うとは失望したと言う。これ、剣之介には全く理解出来ない概念だろう、本当は。「人類共通の財産」なんて考え方は存在しないし、そんな訳の訳のものより「忠義」の概念の方が遥かに上だろう、剣之介には。
同じ質問をソフィーは由希奈に向けるが、由希奈には酷だ。だって「そうなっちゃった」としか言えないのだから。由希奈が居ないと「馬」は動かない。「馬」が動かないとクロムクロは動かない。クロムクロが動かないと富山が「鬼」に破壊されてしまう。だからやむなく乗るしかない。
何はともあれ普通の高校生活が始まったかと思ったら、現代国語の授業中に「鬼」が富山に降下して来て緊急呼び出しがかかる。ソフィーはセバスチャンの乗ったヘリに乗せられて研究所へ。由希奈と剣之介は、いつの間にか学校に持って来ていた「馬」に乗る事になる。由希奈が近くに居るから「馬」も反応。
剣之介「乗れ、由希奈!お前が必要だ」
まるでプロポーズの様な台詞に全校騒然w