ユリ熊嵐・第12話・最終回
銀子の代わりにるるが蝶子に撃たれて死亡(と言う扱い)。銀子は難を逃れたとは言ってもやはり蝶子達の包囲の中にいるのは変わりない。あの屋上で排除の儀が行われる。
蝶子のいつもの演説。
「友達は何より大切ですよね」
この強制を伴う同意ってのは同調圧力以外の何物でもないな。そして「空気を読めないものは悪です」と。
紅羽は椅子に縛り付けられ、銀子は屋上から着きだした板の上に立たされる。この立ち位置は海賊船に捕まった人間が鮫の餌にされる場面と同じか。紅羽は自分が悪だと言うのなら銀子は関係ないと言うが、蝶子はこれは悪であるあなたへの罰、あなたが友達を殺すのだと返す。
だが銀子は銀子で紅羽は私の友達じゃないと叫ぶ。でも銀子、そんな事を今叫んでも誰も信じないし、ましてや紅羽が受け入れる訳がないじゃないか。蝶子の主導で沸き上がるシュプレヒコール「排除!排除!排除!」これで紅羽が「思い・・・出した!」(禁呪詠唱かよ)
子供の頃にこんな排除の儀と同じ事があった。クマと友達だと言う事で周囲の子から「排除!排除!排除!」と人民裁判にかけられた。その時にかくまった銀子。紅羽は銀子がクマの姿をしているからこんな事が起きるのだと考えて断絶の法廷で銀子を人間の姿にしてくれと頼む。るるの話とは逆だったじゃないか。
断絶の法廷で紅羽は銀子が人間の姿になったら幸せになれると言うのはお前の傲慢だと言われるが、それでも銀子が人間の姿になるのを望む。では貴方の一番大切なものを代償にする事になる、それはあなたの銀子を好きだと言う気持ちだと。これ、前回は銀子にとって一番大切なもの=紅羽が銀子を好きだと言う気持ちと言う、間接的な一番大切な物だったのがちょっと腑に落ちなかったのが、これならストレートに納得出来る。
そして今。一旦銀子の事を忘れた紅羽だったが、ここに来て漸く本物のスキを見つけた。それを聞いた断絶の法廷の三人、これぞセクシーとみんな了解してクマの姿に。今度の紅羽の願いは自分をクマにして欲しいと言うもの。クマリア様=純花が顕現してユリ承認。純花はあんな願いをしてしまった紅羽を最後まで導いてくれるクマリア様の化身だったと思えば良かったのだろうか。でないとあれだけスキを諦めないと純花に固執していた紅羽は何だったんだと言う事になるから。
しかしこれらを見ていた(どこまで見えたのか分からないけど。何も見えてないんじゃないかな)蝶子はヒトがクマになるなど許せないと発砲を命じる。蝶子部隊、これも紅羽と銀子の関係性をどれだけ見えていたのか分からないが、構える銃が震える。そしてあの殺熊光線砲の中に居たメカこのみは走れなくなっていた。
蝶子部隊の動揺を余所に、漸く紅羽と銀子は約束のキスをして約束の場所へ。。
二人の物語は「スキがキスになる場所」のみるん王子とるるの見届ける事になった。みるんはこれを見て、約束のキスは求めるだけでなく、自分からすれば良かったんだと。みるん王子の求めていた約束のキスはるるだったのかな。
ヒトの世界ではクマ出没警報が取り消され、蝶子は恐るべき悪の排除に成功したのですと高らかに宣言していた。でもこれでまた新しい悪探しをするとか。そしてそこにはまた新にクマと仲良くなる子が。殺熊光線砲の動力となっていたものの肝心のタイミングで動けなくなって動作不良として捨てられたメカこのみを、光線砲のオペレーターをやっていた子が拾う。
ヒトの世界はまた将来透明の嵐が吹き荒れるままになるのか。
幾原邦彦作品なので、そう言う目で見ていたが、透明な嵐やクマとは何なのかをもうちょっと具体的に表現されるかと思ったものの、これは見たままで終わった。同調圧のある世界とスキを貫く子達とどの辺りを一番表現したかったのだろう。やっぱりスキを貫く子達かな。
心残りだったのは横尾忠則の「東京Y字路」を持っていたのに、紅羽の家の元ネタに気が付かなかった点かな。