まおゆう魔王勇者・第4話
同盟に常に水平を保つコンパスを送った事で、紅の学士とは一体どんなヤツなのだと言う探りを入れに青年商人がやって来る。訪れる方も、それを受け容れる方も、どちらも交渉相手の出方に色々用意をしている。魔王さんの方はメイド長の指示によって殿方に好印象を受けやすい胸のよく見えるドレスを、そして青年商人の方はなにやら手はずどおりにとの話。
青年商人は紅の学士が見目麗しい女人と知って驚く。何やら好印象でさっそく交渉に入る。魔王さんが見せたのは、
ほう、トウモロコシが来ましたか。
トウモロコシは乾燥や陽射しの強い地域での生産性が高い。イネや小麦はC3植物で、いわゆる暗反応部分にカルビン・ベンソン回路があるが(先週のはがないnextで星奈達のテストでも出たカルビン・ベンソン回路)この時の最初の炭素固定の産物が炭素3分子の物であるのに対して(だからC3植物と言う)、トウモロコシは最初の固定産物が炭素4分子(だからC4植物と言う)で、カルビン・ベンソン回路の前に濃縮回路が存在する。この点からイネや小麦よりも高温・乾燥した土地に強い(他にもC4植物の構造上の特徴もあるが)。
と、細かい説明はいいんだよ、をすっとばして、このトウモロコシを使えば現在不毛の土地となっている大陸中央部の広大な場所で耕作するのに相応しい。青年商人はすぐにその意味を掴み取る。新しく耕作された土地はトウモロコシを生み出し、そして巨大な市場となる。同盟はそこで多大な利益を得る事が出来る筈だ。だが、その話を持ちかけた紅の学士は一体何を得ると言うのか。
紅の学士の望む物は勝利でも敗北でもない戦争の早期終結。
青年商人は人間の魔族に対する勝利以外の戦争の終結などありえない!と激昂するが、紅の学士は至って冷静。紅の学士が同盟に求める物は取引だ。同盟の損得勘定を信じると言う。天地において、2番目に強い絆たる損得勘定を。これには生粋の商人の青年商人はすっかり気に入った。
激昂した時は辣腕会計に潜ませておいた兵の動員を促したが、これで状況は一変。さっそく契約書をと。いやあ、荒事にならずに済んで良かったね、どちらも。メイド長も監視をしていたみたいだが、あの場に武装集団がなだれ混んできたら何が起きていた事やら。そしてそれは同盟側にも魔王側にも何も益をもたらさない。魔王の意図した道は開けないし、同盟は利を得損なう。
帰り際、青年商人は紅の学士に2番目に強い絆が損得勘定なら1番強いのは何かと問うと、紅の学士は「愛情だ」と。もう、青年商人、すっかり紅の学士に惚れ込んで求婚してしまう。当然魔王はそれを拒否するが青年商人は全然諦めない。粘りますよと。
と言う事もあったが、とりあえず同盟との交渉は軌道に乗り始める。
冬の国でも魔王の指導が実を結び始めていた。王子は農業革命による生産性の向上が国富の向上をもたらしたのを見て、戦争の終結が可能なのではないかと思い始めた。
ところが、ここに来て出兵の噂が立ち始めた。中央の指示で魔族が占拠している島の奪還作戦を行え、でも中央からの軍の派遣はないぞと。したがって南部諸国がそれを出兵しなくてはならないが、そんな損耗戦は無謀だと考える冬の国の王子に対して、白夜の国だけは中央とのパイプを強くしようと主戦論に立っていた。それにひきずられて戦闘が始まりそうなのだ。
魔王の館で教育を受けていた三人の青年もいよいよ戦いだと浮き足立っていたが、それをあの女剣士が戒める。お前等はまだ未熟だ。何故死ぬのかも分からずに死ぬ事になるだろうと。だから死ぬ事は許さんと。
あの三人、無事で帰ってくればいいね。
さて、こんな事になっている魔王さんの所だが、魔界に行った勇者からは手紙しか届かない。もう半年も勇者に会っていなくて魔王さんは欲求不満。実はちょくちょく帰って来ていた勇者だが、今の自分が魔王さんに対してどう必要な勇者なのか、それが確立できていなくて顔を合わせるのを憚っていたのだ。
魔界で一旗あげてからの帰還かな、勇者は。