中国・青島に漂着した緑藻について
痛いニュースでとりあげられた2ちゃんねるの反応や、それを受けた各ブログの反応の中で「どう見たってアオノリじゃねえだろ」と言うのがあるが、これには異論を挟みたい。
そもそも第1報ではこの緑藻の正体はアオサと言う事だった。私もあの大量に漂着した緑藻を見て興味を持ったがアオサと言う報告にはそれなりに納得が行くものだった。アオサなら規模の桁は違うがああいううちあげはまま見られるものだから。
それが8月2日のニュースではアオノリと判明した為に韓国に輸出するとなった。
(検索をしてみたら、7月8日の時点で既にアオノリとされていたらしい。参考サイト:中国青島でグリーンタイド発生の報道)
実はアオサ(アナアオサ Ulva pertusa)とアオノリ(ウスバアオノリ Enteromorpha linza)は同じアオサ科(Ulvaceae)に属する緑藻である。これまではアオサ属(Ulva)は藻体が細胞2層、それに対してアオノリ属(Enteromorpha)は細胞が1層で管状と言う形態的な特徴で属を分かって来たが、近年の分子生物学的研究では両者を別属扱いすべきではないと言う提案がなされている(Shimada et al. (2003) 参考サイト:北大総合博物館セミナー)。したがってこの考え方によればアオサもアオノリもアオサ属(Ulva)と言う事になる。そこまで近縁のものだ。
だからアオサ→アオノリと言う同定結果の変更は全くもっておかしい事ではない。「アオノリじゃねーだろ常考」とは一概に言えない。生物を自分が見た事のある典型だけで判断するのはやめた方がいい。
但し、問題はアオノリとした上で食用として韓国に輸出する事になった点だ。かりにアオノリだったとして何故あれ程に大量漂着したのか。海洋汚染の影響ではないのか。そう言う事を考えた場合に安易に食用として輸出する姿勢はおかしい。これまでの農薬が混入したほうれん草や抗生物質まみれのうなぎなど、中国は食の安全を全く顧みないと言われても仕方のない事をしてきている。今回の「アオノリ」にしても状態を確認するのがまず先決だろう。
ちなみに中国産食品は上記の様な危険性をはらむ為に日本の消費者は忌避していると言うのに、毎日新聞は記者の目:安い割には美味 中国・台湾産ウナギ=小島正美などと言う脳天気な記事を載せて中国産の食品を擁護しようとして逆に袋だたきにあっている。わざとやっているのかと勘ぐりたくなる。