私が岩波書店の本を避ける様になった理由
中学生・高校生、そして大学生位までは岩波書店の本をよく読んだ。中学校へのバス通学の時に岩波新書青版の「資本主義経済の歩み(上・下)」を分かりもせずにw読み通したのはいい思い出だ。あの頃は資本主義には未来がなくてお先真っ暗みたいな論調が日本の「知識層」では支配的だったが、ガキながらも私は人類が私有財産制度を放棄するなどありえないとそれに反発していた時期だった。
その頃を皮切りに岩波書店の本は随分買った。ところがある時期からおかしいと思い始めた。どこをどう見ても関係が無さそうな本の内容なのに巻末あたりになると無闇と日本の体制批判やらを唱え始める本に何回となく遭遇したからだ。それ以降岩波書店の本は、このおかしな現象に辟易として余程の物でも無い限り買わない様になったのだが、そう思うのは自分だけではないと言うのが以下の書評で分かった。
ワーキングプアの「派遣」先は、戦場~『ルポ 貧困大国アメリカ』堤未果著(評:栗原裕一郎) (毎日1冊!日刊新書レビュー):NBonline(日経ビジネス オンライン)
2ページに亘っているが、後半部分で評者がこう言っている。
このくだりを読んでびっくりした。やはり私以外にもこの手の作りの本には「うえぇぇ」となっている人がいるのだ。折角の内容が巻末で台無しに。興味深い内容も吹っ飛んでしまう。
といっても、加藤さんの醒めっぷりにではない。唐突に憲法9条を持ち出す著者の思考形態に、である。
こ、これは……と思いつつエピローグに進むと、案の定、グローバリズム批判が展開されていた。第三国の搾取をはじめ、環境破壊や食糧危機などグローバリゼーションが引き起こしたとされる問題を解決するべく「地球市民」として連帯することを呼びかけ、日本もアメリカの二の舞になるぞ! と脅すという、サヨクの人たちがこれまで繰りひろげてきた基本フォーマットを忠実になぞったものである。
冒頭に戻って確かめると「世界を覆う巨大な力」というフレーズが見つかる。レーニン以降アントニオ・ネグリまで連綿と受け継がれてきた「帝国主義」史観だ。
出版不況が言われる近年、岩波書店はこのおかしな部分を削除した版も出したらどうか。きっと今よりは売れると思う。岩波新書ライトと言う名前で。ライトが「L」なのか「R]なのかは知らんが。