一足先に電子書籍化
米Amazonで電子書籍のガジェットAmazon Kindleを販売しだしたのは記憶にまだ新しい。あの話は方向性としては大歓迎だがKindle自体はまだまだだなと言う印象だった。そもそも米Amazonだし。端末がもっともっともっと(3段階ぐらい)洗練され日本Amazonでも扱う様になったら電子書籍もやっと使えるかと思った。
ところが最近ひょんな事からあるシーンで一足先に電子書籍化に一歩足を踏み込んだ。
それはzipで固められた同人誌である。
実はとっくの昔に今回の環境は出そろっていたのである。
zipで固められた同人誌はもう何年も前からネット上に存在していた。そして手元にはNASと無線LANとサブノート工人舎SA1Fがある。
これだけあればもう十分だ。NASにzipファイルを置き、SA1Fでスライドショーソフトでアーカイブの中身を見れば良いのだ。無線LANだからコードは無い。SA1Fは液晶部が裏返せるから握って持てる表示デバイスになる。900g強なのはちょっと重いけどw
この形態の電子書籍化はつっこめばこれは色々問題はある。先に言っておきたいのはこれは現時点での電子書籍化の第一歩でここから話が膨らんで行けたらよいなと言う物。
問題点その1はなんと言っても「zipで固められた同人誌」と言う物は、現時点で最も流通しているのは無断で「炊かれた(本の形の同人誌をスキャンしてjpgにする行為)」ものである点だ。話を簡単にする為にその同人誌が創作同人誌だったとしよう。この場合は同人誌を描いた人に全面的に著作権があるのだが、無断で炊かれた同人誌は著者の同意を全く取っていない。だからそれをデータとして利用するのは大いに問題がある。だが残念な事に同人誌の中身の流通は圧倒的にその形態が多い。
その2以降は機械的な問題点。
その2として、上述したとおり小型軽量のSA1Fと言えども900g超は電子書籍デバイスとしては重い事。持ち続けると分かるが900gの物を宙に浮かして一定時間持って見るのは辛い。膝とかに置きたくなる。
その3としてはハードの操作性。やはり本をめくるほどの簡便さは得られない。これはAppleがiPod touchばりのMacを出してくるのを待ちたいが、それが1Kg超だったりすると(Airは1.3Kgもしやがった。何が「軽い」だ。)使い物にならない。
その4はソフトの操作性。NASにためてみれば分かるが、zipアイコンが並んでいても視認性が悪くて嬉しくないのだ。これはディレクトリ内にあるzipファイル内の連番ファイルの最初(あるいは任意)のイメージをアイコン表示して、それを選べばスライドショーになる、と言うソフトの登場を期待したい。そう言うソフトって既に無いの?
但し、どれもこれもあと一歩進めば何とかなりそうな内容だ。最大の問題は1で、自分でも同人誌を出している身の上から考えれば勝手にzipにされるのは噴飯ものであるのははっきりと分かる。かと言って読みたい同人は必ずしもネット頒布している訳ではなく(大抵してない)、自分で入手したあとにzip化するのはもの凄い手間だ。と言うか、作業時間的に無理。同人が無理なら商業コミックがこちらに踏み出せばいいんじゃないかとかの話は長くなるのでここでは踏み込まない。要は「マンガならzipで固めたデータを用意するだけで電子書籍化がすぐ出来る土壌がもう既にある」と言う事を言っておきたい。別に私の様にサブノートを持っていなくともこれだけ同人誌のzipファイルが出回っていると言う事は、PCで閲覧する需要が非常に旺盛にあると言う事だ。やりようによってはAmazonの電子書籍デバイスが日本に上陸する前にこの市場は制覇できる可能性がある。
うかうかしてるとAppleに持って行かれそうだけどね。