涼宮ハルヒをWeb2.0的成功と言う人達
涼宮ハルヒのWeb2.0的成功要因分析、ウルシステムズ(itmedia.co.jp)
私はそこまで言えるものだとは思えない。敢えて言えばウルシステムズの中村氏はハルヒ言いたいだけだったんちゃうんかいと。
確かにハルヒが放送されたこの時期は既にブログでアニメの感想を書く文化が成立しており、そこへまさにこの時期に日本でYouTubeがが認知された時でもあった。だから2ちゃんねるやブログで噂を聞いた未視聴者乃至は視聴不可環境の者がYouTubeでハルヒを見る事が出来、それがまた噂が噂を呼ぶ形になったのは確かだ。だが、ハルヒの公式サイトの作りがそれに大きな影響を与えたかと言えばはなはだ疑問だ。影響が無かったと言えば嘘になる。3月中旬に4月期のアニメ新番組をチェックする為に各作品の公式サイトを見に行ったが確かにハルヒの公式サイトだけがSOS団の訳の分からんマークがあるだけで「何だこのアニメ」と思ったのは確かではあるがそれが第1話を迎えるまでの期待感にどれだけ影響があったかと言えばほとんどない。逆にハルヒを放送開始まで記憶から消し飛ばす方向に働いた。一方で未視聴者及び視聴不可環境者が第1話の噂を聞いて公式サイトに行って、それであのページと遭遇したらそれは確かに本編を見たい衝動にかられたかもしれない。第1話放送当時に萌える理由は十分にさんがメモ:『涼宮ハルヒの憂鬱』で劇中自主制作映画の再現にこだわる京アニと言う記事を書いてハルヒを見られない環境への悔しさを滲ませているのが今でも印象に残っている。
だがここでよく見て貰いたい。あくまでも第1話の強烈な印象あってのその後の成功だ。「劇中自主制作映画の再現にこだわる京アニ」と言う凄まじいコンテンツの提供があってこそのその後のバイラルな展開であって、どんなに環境を用意しても最初の点火が無ければ燻りもしない。ハルヒはその後も視聴者の期待に応えて相応のクオリティの話を提供し続けた。まさにドイツのホッホドリックプンペ(或いはLASTEXILEのスコロペンドラ砲)の様に点火し続けられたのだ。
だからハルヒの成功の要素にWeb2.0のインフラが少しは役に立ったかも知れないがあくまでも成功に値するコンテンツがあっての事でWeb2.0的しかけをしてちょっと点火をしたからと言ってどうこうなるものではない。そもそもその「しかけ」の方法も定かではない。今回も恐らく一番最初の点火薬は2ちゃんねるだ(アニメだしね)。ニュース速報板のスレがハルヒスレで埋められるほどの環境が醸成された頃にYouTubeでハレ晴レユカイのMAD動画が雨後の竹の子の如く貼られ始めた。奇しくもその頃にネットレイティングスの2006年3月期のインターネット利用動向調査と言うYouTubeが初めてクローズアップされるニュースが流れた。MAD動画がMAD動画を呼びこれまでに作られた動画はどれだけあるのか分からない。但し、作り手の気持ちになれば分かるが箸にも棒にもかからない素材ではMAD動画は作れない。素材にパワーがあったと言う事だ。
これらを通してもし制作側がコントロール出来る点があったとすればそれは作品の中身だけであって「しかけ」にはほとんど手を下せない事が分かると思う。成功は結局は中身の問題なのだ。だから「Web2.0的しかけによって××を成功に導く。ハルヒの様に(別にハルヒではなく別の物を引き合いにしても)」などと言うプランがあったとしたらそのほとんどは眉唾物のプランであり、そんな勝利の方程式など未だ(この先もかもしれない)誰も手にしてはいない。今回も勝利の要因はあくまでも中身だったのだから。
ではWeb2.0的しかけはダメなのかと言うとそうでもない。
それはまた別の記事で。
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