JR西日本福知山線・尼崎列車脱線事故
単独列車事故でこんな大惨事が平成になってから起こるとは夢にも思わなかった。原因は未だ分からないのでそちらへの言及は避けるが列車の脱線にまつわる大事故と言うと以下の物が思い出される。
昭和22年2月25日:八高線・列車転覆事故
昭和23年3月31日:近鉄奈良線・ブレーキ故障事故
昭和37年5月3日:三河島事故
昭和38年11月9日:鶴見事故
事故写真が白黒である様な時代の出来事だが、ただし近年では平成3年5月14日の信楽高原鉄道の事故がある。鉄道はその誕生時から他の交通機関同様事故との格闘の歴史でもある。今では当たり前になっている信号による衝突防止システムも鉄道誕生時にはまだ考えられておらず衝突事故もままあった。事故の度にシステムを見直して安全性を高めて来たのだ。例えば上記の八高線の事故以降、それまで多かった木製の車両から鋼製の車両への切替を急いだ。
だからこの新聞の社説がそんな背景も調べもせず好き放題書き散らす程には手抜かりがあったとは考えられない。少なくとも現在の鉄道車両はこれまでの安全対策上「車両が真横から堅牢な構造物に衝突して行く」事など想定外の設定だ。多分過去から現在に至る全ての鉄道車両であれ、マンションに側面から激突したらああなっていた事だろう。軽量ステンレスだから強度不足であれだけ潰れたとは言い切れない。
但しどんな事をしてもそれを凌駕するヒューマンエラーで事故は起こり得る。信楽高原鉄道の事故も赤信号なのに発車したのが直接の引き金だ(但し信楽高原鉄道の事故に至るまでの検証は別途詳細なサイトを参照して欲しい)。今回少なくとも分かっているのは急ブレーキ前の速度が100km/hだった事だ。それだけでこの様な脱線が起きるのかそれは今後の検証を待たねばならないし、それによって防止策も考えねばならない。日本の鉄道はそれをやると思う。
ある国の新聞が「まるで後進国の事故」とか「日本の自尊心が崩れた」とか見出しにしているが、そう言う姿勢では将来の事故防止は望めまい。もっともその国の鉄道事業者までそう考えているとは思えないが。
それはともかく今回の犠牲者には心底お悔やみ申し上げる。
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